法務はフルリモートワークできる?メリットやデメリット、注意事項を紹介
フルリモートで法務の仕事ができるのか知りたい人に向けて、現状やメリット・デメリットを解説します。フルリモートの法務の仕事に興味がある人に向けて、課題や注意点、仕事の探し方も紹介しますので、自分に合った仕事を見つけましょう。
フルリモートで法務の仕事は可能か気になる人もいるでしょう。新型コロナウイルスの流行によりリモートワークが普及し、近年はフルリモートできる法務の仕事も増えています。
今回は、リモートで働く法務のメリットやデメリット、また働くうえでの課題や注意事項を解説します。フルリモートできる求人の探し方も紹介しますので、フルリモートの法務の仕事に興味がある人は参考にしてください。
なお、転職活動は、フルリモート正社員特化型の転職支援サイト「ReWorks」の活用がおすすめです。
法務はフルリモートワークが可能か
法務はフルリモート可能な職種の一つです。新型コロナウイルスの拡大によりリモートワークが浸透し、法務でもリモートワークが可能になりました。コロナ禍にあった2020年4〜5月に実施された「法務担当者のリモートワークに関するアンケート」(BUSINESS LAWYERS|https://www.businesslawyers.jp/articles/784)によると、法務担当者の在宅勤務の実施率は86%でした。そのうち「法務業務は在宅勤務で対応可能」と答えた人は89%と高く、法務業務がリモートワーク可能なことがデータで示されました。
もちろん、業務に応じて出社が必要な場合はありますが、求人情報サイトにはリモートワーク可能な求人が多数掲載されています。具体的な業務は、契約書の作成や管理、リーガルチェック、コンプライアンスやガバナンス業務、法改正関係のリサーチなどが挙げられます。
リモートで働く法務のメリット
リモートワークは、通勤や移動による時間が削減されるだけでなく、体力や精神的な面でも負担が軽減されます。自宅で働くため、体調に合わせて休息も取りやすく、自分のペースで仕事が進めやすい点もメリットでしょう。また、不要な会議や打ち合わせの減少にもつながり、生産性やモチベーションの向上が期待できます。
さらに深刻なトラブルに陥るリスクを回避したり、訴訟に対応したりするのも法務の重要な業務です。疲労やストレスが緩和できるリモートワークの方が、難易度の高い業務を遂行するのに必要な体力を温存しやすいでしょう。
リサーチも法務業務に含まれますが、調べものは来客や電話対応のないリモートワークの方がオフィスよりも集中できる場合もあります。加えて、出勤時間がそのままプライベートに充てられ、ワークライフバランスの改善にもつながります。
リモートで働く法務のデメリット
一方、リモートで働く際のデメリットとして、コミュニケーション不足や情報共有の問題、セキュリティリスクなどが挙げられます。法務は会議の頻度が高めです。法律や契約書など専門知識が必要なやり取りが多いうえ、社内や顧客先とも密接な連携が求められます。しかしオンライン上では、いくらコミュニケーションツールを使うとはいえ、対面でのやり取りほどスムーズに意思疎通や情報共有できない場合があるでしょう。
在宅勤務では、家事や育児との両立で集中できなかったり、緊張感が続かなかったりするかもしれません。また上司や先輩、同僚に気軽に話や相談できず、孤独を感じる人もいます。
リモートワークで働く法務業務の課題
リモートワークで法務業務を行う際の課題は、以下の5つです。
- 押印文化
- 契約書類の持ち出し、管理
- 参考資料や文献へのアクセス
- 部門をまたいだコミュニケーションへの不安
- 新人社員へのOJT
それぞれ解説します。
1.押印文化
契約書など重要書類は、紙でやり取りするケースが今も少なくありません。ペーパーレス化されていなければ、押印のために出社しなくてはならず、リモートでの対応が難しくなります。
しかし、法律上は契約書への押印は必須ではなく、押印しなくても契約の効力に影響はありません。契約成立を客観的に証明する点で有効であるため、安心材料として押印の慣習が根強く残っているのが現状です。リモートワーク推進の観点からは、必ずしも押印にこだわらず、不要な押印を省いたり、他の手段で代替したりすることが有意義と言えます。
2.契約書類の持ち出し、管理
リモートワークで紙の契約書類を社外に持ち出す行為には、紛失や盗難、のぞき見による情報漏えいなどのリスクが伴います。特に、経営に関わる極秘情報や顧客の個人情報が社外に流出した際のダメージは甚大です。そもそも、社外への持ち出しに関する社内ルールが定められていないケースもあります。押印と紙の書類に関する課題の解決には、リモート環境に対応した社内規程整備と契約書の電子化、現場の意識改革が必要です。
3.参考資料や文献へのアクセス
法務の業務では、関連書類や文献、過去の判例などの参照が欠かせません。しかし、業務遂行に必要な参照情報に紙ベースのものが多いことも、法務業務のリモート化の障壁になっています。必要な情報が書籍や雑誌であれば、出社せざるを得ません。さらに複数人が閲覧する資料の場合、持ち帰りもできないでしょう。
リモートワーク導入にあたっては、関連資料の電子化も急務です。資料の電子化には、検索性の向上や共有の容易性など、従業員の業務効率化につながるメリットもあります。
4.部門をまたいだコミュニケーションへの不安
法務業務では、部門をまたいだコミュニケーションが頻繁に発生します。そのうち契約締結の過程では、契約内容の詳細を把握している他部門の担当者と連携を図り、文書を仕上げます。そのため細かなニュアンスが、チャットやWeb会議では、対面でのやり取りに比べ伝わらないこともあります。しかし書類の作成で認識のズレや事実誤認は、トラブルに発展する恐れがあるため、避けなくてはなりません。
コミュニケーションの課題に関しては、オンラインならではの機能を使いこなせるかどうかもポイントです。例えば、画面共有を使えばよりスムーズに意思疎通を図れ、チャットの会話履歴は過去のやり取りの事実確認に便利です。このようにちょっとした工夫で、解消できる場合もあります。
5.新人社員へのOJT
法務は専門性の高い職種であり、一定の実務経験や法律知識が求められます。経験とある程度の能力があれば、リモートでも問題なく業務を進められるでしょう。しかし、新入社員など未経験者が入社後すぐリモートで働くのはハードルが高く、細やかな指導やフォローも難しいでしょう。そのような場合は、新入社員が慣れるまで現場でのOJTが必要です。またリモートワーク導入後にも、上司や先輩に気軽に話したり質問したりできるような雰囲気づくりが大切です。
リモートワークで働く法務の注意事項
法務業務では機密情報を取り扱うことも多く、オフィス内と同等のセキュリティレベルを確保しなくてはなりません。機密情報の漏えいや不正アクセスなどサイバー攻撃を防ぐため対策を講じる必要があります。また、最新のセキュリティ脅威動向を把握し、自社の対策をアップデートしていくことも求められます。
セキュリティの統制を図るうえでは、企業側から安全性の高いリモートワーク環境を提供するのがよいでしょう。総務省の「テレワークセキュリティ ガイドライン 第5版」によると、リモートアクセスの手法のなかでも、オフィス業務の再現性が高いのは以下の3つです。
- VPN方式
- リモートデスク トップ方式
- 仮想デスクトップ (VDI方式)
それぞれメリットとデメリットがあります。セキュリティ統制の容易性や導入コスト、アクセス集中時の影響度などの観点から、慎重に比較し自社に合う方法を導入しましょう。従業員のセキュリティへの理解を深め、意識向上を促すのも大切です。リモートワークに関する社内規定や情報セキュリティ関連規定を整備し、従業員への教育を実施しましょう。
さらに、社内外の関係者と円滑なコミュニケーションを取るための方法を確立しておく必要があります。状況に応じてさまざまなツールを使い分ける他、定期的な連絡や適切な情報共有も大事です。
フルリモート法務の求人ならReWorks
フルリモートで働ける法務の仕事は、求人検索エンジンや転職サイトで探せます。なかには上場企業の正社員や課長職での募集もあります。ただし、求人要項に「フルリモート可」とあっても、詳細な条件を確認しておきましょう。実際には出社が前提であったり、例えば押印のため輪番制で出社したりするケースも散見されます。
「ReWorks」は、フルリモート正社員に特化した転職支援サイトです。業界も多岐にわたり、こだわり検索で条件の絞り込みも可能なので、フルリモートできる法務の正社員求人を見つけやすいでしょう。
まとめ
新型コロナウイルスの影響でリモートワークが普及したこともあり、フルリモートできる法務の仕事は増えています。リモートアクセスの手法やツールも充実していることから、今後さらに対応可能な業務の幅も広がっていく見込みです。
ただし、導入にあたってはリモートワークに関する社内規定の整備が必要です。万全なセキュリティ対策と社内外とのコミュニケーション手法の確立も求められます。これらの点について、しっかり対策している職場を選ぶのもポイントです。
フルリモートの法務の仕事を探している人は、求人情報を積極的にチェックしましょう。フルリモートの正社員にこだわるなら、「ReWorks」の活用がおすすめです。