テレワークで実現できるDXとは?行うべきDXの内容についても解説

働く人にとって通勤の負担が減ったり、家事や育児との両立ができたりとメリットの多いテレワーク。企業側には勤怠管理の問題など苦労が多いイメージですが、実はDXを一気に押し進めるチャンスでもあります。

今回はテレワークの普及によって可能になるDXと、具体的な内容を紹介します。時代に合わせて自社の組織体制やワークフローを変革したいと考えている企業の皆様は、ぜひ参考にしてください。

DXとは?

DXとは?

DXはDigital Transformationの略で、デジタル技術による仕事や生活の変革を指します。ビジネスパーソンのなかには、DXをIT化と混同して理解している人もいるのではないでしょうか。DXは、単に業務へIT技術を取り入れることではありません。DXで重要なのは、IT技術によって業務の仕組みや組織体制そのものに変革を起こすことです。

例えば営業活動を自動化できるツールを導入することで、営業プロセスそのものを見直して再構築するといった変化がDXにあたります。ツールを導入するだけでは業務の一部が効率化するに過ぎませんが、DXに取り組むことでシステム全体の効率がアップし、メンバーの意識改革にもつながるのです。

テレワークで実現できるDX

テレワークで実現できるDX

社内でテレワークを進めるなら、DXにも取り組みましょう。テレワークとセットで実現できるDXには、以下の3つがあります。

  • コミュニケーションのデジタル化
  • ペーパーレス化
  • クラウドの有効活用

それぞれ詳しく解説します。

 

コミュニケーションのデジタル化

テレワークする従業員が増えれば、対面にこだわらない自由なコミュニケーションが一般的になり、組織内の風通しを良くするチャンスが生まれます。

自宅や外出先で業務を進めるテレワークでは、組織内のコミュニケーションもデジタルツールに頼らざるを得ません。メールやチャット中心のやり取りは一見冷たく感じられるかもしれませんが、場所や時間にとらわれないために、かえってコミュニケーションが活発化するメリットもあります。また相手の顔を見て話したいときには、オンライン会議システムも利用できるでしょう。

デジタルツールであれば記録も残るため、情報の共有や管理にも便利です。上司と部下とのやり取りも透明化することで、パワハラ対策にもなります。テレワークをきっかけとして、理想のチームづくりが可能になるでしょう。

 

ペーパーレス化

テレワークは、社内のペーパーレス化を進める良い機会にもなります。自宅やカフェで業務に取り組むとき、大量の紙の資料を持ち運ぶことは現実的ではありません。テレワークでも滞りなく作業するためには、自ずと電子データやクラウドサービスを活用することになります。

ペーパーレスが進み、あらゆる情報にパソコン・スマホ・タブレットなどの端末一つでアクセスできるようになれば、業務全体が効率化します。また紙を使わないことでコスト削減にもなり、地球環境への負荷も軽減できるでしょう。SDGsの概念が広まった現代では、ペーパーレス化は避けて通れません。テレワークと共に取り組んでおきたいDXの一つです。

 

クラウドの有効活用

自宅や外出先でもオフィスと同じ作業に取り組みたいときには、クラウドサービスの利用が便利です。クラウドサービスとは、インターネットを介して提供されるソフトウェアやインフラを指します。

クラウドサービスは必要な機能を必要なときだけ、インターネット上で手軽に利用できます。管理の手間やコストもかからないため、ITスキルを備えた十分な人材が確保できない企業でも、最新のデジタル技術を駆使して業務に取り組むことが可能です。

これまでセキュリティなどの不安からクラウドサービスを敬遠してきた企業でも、テレワークの推進を機にクラウドサービスを有効活用するケースが増えています。いつでも・どこからでもアクセスできるクラウドサービスがあれば、従業員は生活環境などに左右されず柔軟に業務へ取り組めるでしょう。

DX×テレワークを実施する際に気をつけるべきこと

DX×テレワークを実施する際に気をつけるべきこと

DX×テレワークにはさまざまなメリットがありますが、同時にいくつか注意するべき点もあります。特に初めてDXに取り組む企業は、以下の4つのポイントに気をつけましょう。

  • セキュリティ管理を徹底する
  • ネットワーク環境を整える
  • 働く環境(場所)を整える
  • クライアントに迷惑をかけない

それぞれ詳しく解説します。

 

セキュリティ管理

テレワークとDXを進める際には、特にセキュリティ管理に気をつけなくてはなりません。テレワークでは従業員が自宅やカフェなどで業務に取り組みます。企業の管理が行き届かないところでの作業になるため、セキュリティ管理は一人ひとりのリテラシーに大きく左右されます

そのリスクを低減するためにDXが必要ですが、慣れないツールやクラウドサービスの利用で手一杯になると、セキュリティ対策にまで気が回らない可能性があるでしょう。

まずは暗号化の技術などを導入して安全な通信環境を確保すること、そしてパスワード管理やアンチウイルスソフトなど基本対策の徹底が大切です。DXの取り組みは、常にセキュリティ管理を意識しながら進めるよう心がけましょう。

 

ネットワーク環境

「テレワークで一気にDXを押し進めよう」と企業側が考えていても、実際に作業する従業員側に適切なネットワーク環境が整っていなくては、思ったように実現しません。

テレワークでオンラインによるコミュニケーションが主流になったり、大量のデータを頻繁に送受信したりするには、高速で安定したネットワーク環境が必要です。しかし、自宅や外出先などでは回線が不安定になることもあります。こうした障害を受けて思ったように作業が進まないと、せっかく推し進めたDXへの意気込みが低下してしまう恐れも。最低限確保すべきネットワーク環境のガイドラインを設け、テレワークではそれに従った作業環境を用意するよう指導しましょう。

 

働く環境(場所)を整える

ネットワーク以外にも、従業員の作業環境全般を整える必要があるでしょう。必要な機材を用意したり、自宅やカフェで作業する場合は機密情報が一目に触れないよう対策したりと、業務に取り組むのに適した環境を用意しなくてはなりません。その責任を従業員個人に負わせるのではなく、相談に乗りつつ一緒に取り組む姿勢が大切です。

急激にテレワークやDXを推し進めたために、作業環境の整っていない従業員が取り残されてしまうことがないよう気をつけましょう。

 

クライアントに迷惑をかけない

DXは組織体制や業務フローそのものの変革なため、影響は社内にとどまらずクライアントにも及びます。DXの取り組みの前提として、クライアントの満足度を下げることがないよう十分に配慮しながら進める必要があるでしょう。

従来のやり方と変更点があるときには、事前にクライアントへ丁寧な説明を実施することが大切です。特に対面でのコミュニケーションからオンラインに切り替える場合や、クライアントにも新たな手順を求める場合には、しっかりと納得してもらったうえで変革を進めるようにしましょう。

何よりも大切なのは、納期や品質は必ず守ることです。DXやテレワークを言い訳にして、遅延やミスを看過する雰囲気をつくらないよう気をつけましょう。

まとめ

デジタル技術は日々めざましいスピードで進化しており、それに伴いビジネスパーソンの働き方にも変革が起きています。出社することなく、自宅で作業できるテレワークもその一つです。

クラウドサービスの活用やコミュニケーションスタイルの変更が求められるテレワークは、社内のDX推進のチャンスとなります。今の時代に合った、より合理的でオープンな業務システム構築に取り組んでいきましょう。