リモートワークによって起こる健康への弊害|有効な解決策とは
リモートワークは通勤の負担がないぶん、働く人にとって楽な働き方というイメージを持つ人もいます。しかし、実際には運動不足や食生活の乱れ、あるいは孤独感などから健康に深刻な影響を与える可能性もゼロではありません。
今回はリモートワークを始める前に知っておきたい、健康への弊害について解説します。記事の後半では、リモートワークで起こり得る心身のトラブルを予防する方法も紹介しているので、ぜひ健康管理の参考にしてください。
リモートワークによって起こる7つの健康リスク
リモートワークを始めると、1日のうちの大半を主に自宅で過ごすという特殊な生活になります。そのような状況が続くと、懸念されるのは主に以下の健康リスク7つです。
- 運動不足になりやすい
- メンタルが弱くなりやすい
- 肩こりや腰痛が起こりやすい
- 睡眠不足になりやすい
- 食生活が乱れやすい
- 飲酒癖がつきやすくなる
- 筋力が低下しやすい
それぞれ詳しく解説します。
1.運動不足になりやすい
多くの人がリモートワークを始めたことで感じる問題の一つが、慢性的な運動不足です。リモートワークでは通勤や外出がほとんどなくなり、歩く機会や運動量が圧倒的に少なくなります。運動不足は肥満や生活習慣病の要因になりますし、免疫力が低下することで病気にもかかりやすくなります。健康な身体を保つためには、適度な運動が欠かせません。
さらに運動量はメンタルにも影響します。体を動かせば気分がリフレッシュし、ストレスの予防にもつながるのです。反対にリモートワークで運動の機会を奪われると、うつ症状に見舞われるケースもあります。
2.メンタルが弱くなりやすい
リモートワークで自宅に籠もりきりなり、人と接する機会が減ることでメンタルに支障をきたすケースもあります。オフィスで働いているときには同僚と雑談したり、上司から声を励ましてもらったりして、気持ちを前向きにできることもあるでしょう。しかしリモートワークは、作業中ずっと1人です。仕事の締め切りやミスで追い詰められても、精神的にフォローしてくれる人が誰も側にいません。
さらにリモートワーク下でのコミュニケーションはチャットやメールが中心で、事務的な文面は冷たくドライな印象を与えることも、受け手のメンタルに少なからず影響しています。「相手を怒らせてしまった」「自分の存在を認めてもらっていない」などネガティブな気持ちになり、ストレスを感じやすくなるのです。
3.肩こりや腰痛が起こりやすい
リモートワークが続くと、それまで感じなかった肩こりや腰痛の症状を訴える人もいます。リモートワークでは、1日のほとんどを机に向かって座って過ごすことも珍しくありません。長時間座っていることは、楽なように見えて実は身体に大きな負担がかかっています。
オフィスで働くときには通勤や会議室への移動で歩く必要があります。ランチのために外へ出かけることもあるでしょう。しかし、リモートワークでこうした機会がなくなると、仕事中に立ち上がる必要がほとんどなくなります。
特に机や椅子の高さが自分に合っていない場合は要注意です。無理にパソコン画面の高さに視線を合わせようとして姿勢が悪くなり、肩こりや腰痛が起こりやすくなるでしょう。
4.睡眠不足になりやすい
リモートワークは休む時間を確保できるイメージを持つ人もいるかもしれませんが、意外にもリモートワークが原因で睡眠不足になるケースもあります。
リモートワークは出勤時間や退勤時間が比較的自由になるため、これまで規則正しく生活していた人でもリズムが乱れがちです。仕事の時間とプライベートの時間の切り替えがうまくできず、フレックスタイム制で遅くから仕事を始め、深夜まで働いてしまう人もいます。
また自宅が仕事場にもなることで、仕事が終わっても気持ちが落ち着かず、うまく寝つけないと悩む人も。睡眠不足は集中力や判断力の低下を招くだけなく、免疫力の低下にもつながります。結果的にさまざまな病気を引き起こす要因になるでしょう。
5.食生活が乱れやすい
リモートワークは食生活の乱れにも注意が必要です。料理が気分転換になる人であれば、栄養バランスの摂れた食事を自炊することでかえって健康になることもあるでしょう。しかし、人目のないリモートワークでは、食事がいい加減になってしまう人も少なくありません。インスタント食品を多く食べたり、つい甘いものを間食したりして、肥満になる可能性もあります。また外食やデリバリーの食事は、油分や塩分が多すぎることも問題です。手軽で美味しいからと、これらの食事で3食済ましていると、成人病の要因にもなります。
6.飲酒癖がつきやすくなる
リモートワークによって、飲酒の頻度が増えるタイプの人もいます。翌日出社しなくてはならないと思うと、夜遅くの飲酒は控える人は多いでしょう。一方リモートワークの場合、翌日もずっと自宅にいられる安心感から、つい飲み過ぎてしまうことがあります。
それが度重なると飲酒が習慣となり、なかなか止められなくなる人も。なかには孤独感を解消するために飲酒量が増える人もいるでしょう。一度ついた飲酒癖を治すのは簡単なことではありません。アルコールの量が増えると肝臓に負担がかかり、重度の場合はアルコール依存症になる可能性もあります。そうなると業務にも支障を及ぼすでしょう。
7.筋力が低下しやすい
リモートワークが続くと、気づかないうちに筋力が低下するリスクがあります。筋力が低下すると基礎代謝が落ち、肥満の要因となるので注意が必要です。また筋力がなくなると姿勢が悪くなり、内蔵の機能にも影響を与えることがあります。
筋力が一度低下すると、取り戻すためにかなりの運動量が必要になります。しかし、リモートワークで働いていると、運動の時間を確保することも簡単ではありません。ある程度の筋力を維持できるよう、日頃から適度な運動が大切です。
リモートワーク時の健康問題を解決するための6つの対策
リモートワークで働く人は、どのようにこれらの健康問題を予防すればよいのでしょうか?必要な対策は以下の6つです。
- 運動習慣をつくる
- 食生活に気をつける
- 作業環境を整える
- 定期的に誰かと接する機会をつくる
- 自分がリフレッシュできる方法を知る
- 規則正しい生活を心がける
それぞれ詳しく解説します。
1.運動習慣をつくる
運動不足は、健康トラブルの根本原因になります。あらゆる健康リスクを予防するためには、やはり運動の習慣が大切でしょう。例えば仕事を始める前や、午後の休憩のときなどに10分程度のストレッチやラジオ体操をするだけでも効果があります。昼休みは食事を摂るだけでなく、近所を散歩したりジョギングをしたりしてもよいでしょう。
仕事が終わったあとや休日の運動習慣も大切です。日常的にリモートワークに取り組むなら、週末はスポーツやサイクリングを楽しむなど、積極的に身体を動かすようにしましょう。
2.食生活に気を付ける
日々の食生活も健康に大きく影響します。リモートワークでだらしない食習慣が身に付かないよう、栄養バランスや食事のリズムを意識しましょう。
身体のリズムを整えるためには、朝食をとることが大切。リズムが整えば作業の能率も向上します。また食事はできるだけ自炊にし、塩分や油分を控えるようにしましょう。忙しいときは外食やデリバリーもやむを得ませんが、頼りすぎないことが大切です。
またアルコールやカフェイン、甘いお菓子なども控えめにしましょう。仕事でストレスを感じると、ついこれらの嗜好品に手を伸ばしてしまいがちです。しかし、食べ過ぎは健康リスクの原因になります。ストレス発散は体を動かすなど別の方法に頼るようにし、正しい食生活の維持を心がけましょう。
3.作業環境を整える
リモートワークを始める前に、作業環境を整えておくことも大切です。特に机と椅子は長時間使うものなので、高さは自分の体に合わせて調節しておきましょう。パソコン画面の位置が目線と合っているかも大切。目線より少し下に調整すると、肩や腰に負担のない綺麗な姿勢を維持できます。
また部屋の明るさも重要です。自然光が十分に入る部屋は気持ちも明るくなり、うつ症状の予防になります。窓の向きなどの関係で自然光を部屋に入れることが難しい場合でも、照明などを調節し、明るい室内で作業しましょう。
4.定期的に誰かと接する機会をつくる
1人で自宅作業するリモートワークの気分転換には、外で人と会って楽しい時間を過ごすことがおすすめです。仕事の時間以外には、積極的に人と接する機会をつくり、食事やレジャーなどを楽しみましょう。リモートワークによる孤独感や不安が薄れ、うつ症状の予防になります。またプライベートで友人と会うことが難しい場合でも、オンライン会議システムなどを利用して、同僚と業務の合間に雑談をするだけでもリフレッシュできます。
また家族との時間を大切にするのもよいでしょう。会話を楽しみながら食事をしたり、子供と一緒に遊んだりすることで、特に外出せずとも充実した時間を過ごせます。
5.自分がリフレッシュできる方法を知る
自分なりのリフレッシュ方法を心得ておけば、リモートワーク中でもストレスを抱え込まずに済みます。例えば夢中になれる趣味や娯楽を見つけたり、気持ちが高揚する音楽を聴いたりと、仕事が終わったあとや合間の楽しみを持っておくことは大切です。あるいはアロマテラピーなどの香りの趣味であれば、勤務中でも楽しめるでしょう。
リモートワークは仕事とプライベートの境目が曖昧になりやすいため、自分で気持ちを切り替えなくてはなりません。そのためには「〇時までに仕事を終わらせたあとに趣味を楽しむ」といった算段をして、1日のスケジュールにメリハリをつけるのが効果的です。
6.規則正しい生活を心がける
自由度の高いリモートワークであっても決まったリズムを守り、規則正しい生活を心がけましょう。フレックスタイム制であっても、毎日決まった始業時間と終業時間を定め、仕事のリズムをつくることが大切です。終業後は仕事のことを考えず、プライベートの時間を充実させてメリハリをつけるようにします。
次に勤務時間に合わせて3度の食事も決まった時間に摂りましょう。決まった時間にしっかり3食摂ることで、自然と身体のリズムが整います。また1日に30分程度の運動の時間、6〜8時間の睡眠時間を確保すれば、リモートワーク中でも健康的な生活を送れるでしょう。
健康に支障が出ないうちに対策を打つことが重要
テレワーク時の健康対策は、早めの予防が重要です。実際に健康面に影響が出てからでは、自身の役割を十分に果たせず、周囲にも迷惑をかけることになります。日頃から健康的な食事や定期的な運動を意識し、仕事もプライベートも生き生きと過ごせるように努めましょう。
まとめ
新型コロナウイルスの感染予防のために、短期間で全国に一気に普及したリモートワークという働き方。当初は出社の必要がなく楽というイメージから歓迎されていましたが、実際に長期間リモートワークに取り組んだことで、さまざまな身体の不調を感じる人が増えてきました。
リモートワークによる健康への弊害は、早めの予防でリスクを抑えることが可能です。適度な運動・気分転換・人とのコミュニケーション・バランスのとれた食事・規則正しい生活などを心がけ、心身ともに常にベストな状態で仕事に取り組めるようにしておきましょう。