自宅に快適なワークスペースをつくるには? スペースのタイプ別にご紹介!

在宅ワークを始めるにあたり、仕事場となるワークスペースを自宅内でどう整えるかが重要です。快適に仕事をするためには、生活スペースと仕事スペースとを分けて環境を整える必要があるでしょう。今回は、タイプ別ワークスペースのポイントやそれぞれのメリット・デメリットなどをお伝えします。自分に合うワークスペースをつくりましょう。
快適なワークスペースを自宅につくろう! 仕事場を整えるときのポイントとは?
在宅ワークで求められる「ワークスペース」とは
新型コロナウイルスの影響や政府によるテレワークの推進により在宅ワークを行う人が増えたことで、ワークスペースの重要性が注目されています。「仕事をするため」に整えられたオフィスと異なり、自宅は「生活のため」につくられていることが大半でしょう。在宅での仕事に集中し働きやすくするためには、「快適なワークスペース」をつくることが重要です。
ワークスペースは生活環境や家族構成に左右されるため、一人ひとりに合ったベストなタイプは異なります。戸建て住宅や分譲マンションなどですでに書斎を持っている方は個室をワークスペースにでき、ワンルームに暮らす方は部屋の一角を整えることになるでしょう。
仕事をしやすくするためには以下の条件があります。
・集中しやすい
・作業効率が良い
・防音性に優れている など
自身の住環境や予算などに合わせながら、ワークスペースを整えていきましょう。
自宅のどこをワークスペースにするのがベスト?
在宅ワークをすることになり、いざワークスペースが必要になると「どこを仕事部屋にしようか」と迷うのではないでしょうか。「個室」「寝室」「リビング」「ワンルーム」について紹介するので、まずはおおまかにワークスペースの場所をイメージしてみましょう。
・個室
書斎やもともとある自室などをワークスペースにすれば個室で仕事ができます。在宅ワーク中に家族が自宅にいても、個室となる書斎や自室であれば、集中して仕事ができるでしょう。
使わなくなった子ども部屋、来客用にしていた和室など、使用していない部屋があるのなら、在宅ワークを機に仕事部屋として整えましょう。
・寝室
寝室のスペースに余裕があれば、デスクを用意してワークスペースにできます。寝室にしている部屋はもともと自宅内でも比較的静かな環境で、落ち着く雰囲気に整えてある方も多いのではないでしょうか。個室を用意できない方やリビングでは落ち着かない方は、寝室の一角をワークスペースにするのがおすすめです。
・リビング
「ワークスペースとなる部屋がない」「在宅ワークの時間帯は家族が不在である」といった場合には、リビングを仕事場として整えましょう。リビングは、自宅の中でも窓が大きくとられているので光が入りやすく、リラックスしやすいような環境に整えられている方も多いでしょう。長い時間でもストレスなく過ごしやすい環境なら、仕事もしやすいと感じるでしょう。
・ワンルームの一角
ワンルームにお住まいの方は、部屋の一角をワークスペースとして整えましょう。仕事に使用する道具がノートパソコンだけであれば、それほど広いデスクは必要ありません。デスクの幅80センチメートル未満、奥行き60センチメートル未満でも十分仕事ができるでしょう。「スリムデスク」「シンプルデスク」「コンパクトデスク」といった名称で販売されている、小さめの仕事用デスクを用意しましょう。
書類やプリンターなどノートパソコン以外にも仕事道具も広げる必要がある方は、ワゴンを用意したり、食事用に設置しているテーブルを仕事にも兼用したりして、スペースを有効活用できるように工夫していきましょう。
【ワークスペースのタイプ別】メリット・デメリットとは?
どの部屋をワークスペースとするか迷っている方は、それぞれのメリット・デメリットから検討してみましょう。「どのような環境で働きたいか」をポイントとして、考えを整理していくとよいでしょう。
・個室のメリットとデメリット
書斎や自室などの個室をワークスペースとする場合、1人の環境で仕事に集中できる点がメリットです。仕事中に家族が自宅にいても、個室であれば相手のことを気にせず働けます。
また、個室は自分が仕事をしやすいように環境を自由に整えられる点もメリットです。動線良く働けるように家具の配置を整えたり、好みの照明に変えたりと自分好みに調整できます。
在宅ワークでは、Web会議などオンラインでやり取りをする機会もあるでしょう。個室は他の家族の生活音が入りにくく、情報も守られるため、安心して会議に参加できます。
しかし、「個室に1人の環境では集中できない」「誰もいないことで逆にだらけてしまう」という方は、個室をワークスペースにするのはおすすめできません。「個室には趣味のものがたくさん置いてあるため気が散ってしまう」「仕事仲間にみられるものちょっと……」という方も、別の部屋をワークスペースにしましょう。
・半個室のメリットとデメリット
リビングやダイニングなどの共有スペースに、仕事をするときだけ仕切りなどを設置してワークスペースにするのが半個室タイプです。リビングやダイニングをワークスペースにすれば、新たに部屋を用意する必要がありません。
リビングにある大きなテーブルを仕事に使うので、仕事道具や資料が多い方も広げやすく、効率良く仕事ができるでしょう。また、仕切りを設置することで、家族がくつろぐスペースと区切り、集中できる環境をつくれます。静かすぎる環境では仕事ができない方にとって、適度に生活音がある点がメリットです。
しかし、半個室の場合、家族の生活音が大きすぎると集中力に影響してしまうでしょう。また、いくら仕切りを用意しても同じ空間に家族がいると、Web会議などでコミュニケーションを取る際に都合が悪いと感じるかもしれません。
・オープンスペースのメリットとデメリット
リビングやダイニングなどに仕切りをせずワークスペースにするのが、オープンスペースです。他の家族も同じ部屋を使用する環境で仕事をします。
子どもや家族の様子を見ながら仕事をしたい方は、オープンスペースがよいでしょう。リビングのテーブルで向かい合っていても、「子どもは宿題、自分は仕事」と、お互いに作業をすることがあれば集中できるでしょう。
また、リビングは自宅の部屋の中でも窓が大きいため光が入りやすい、洗面所やトイレ、キッチンが近く休憩しやすいなど、快適な環境が整っていることでしょう。リビングでは、リラックスして働けるのがメリットです。
ただし、1人で集中して働きたい方、他の家族の生活音が気になる方は、オープンスペースで快適に働くのは難しいでしょう。オープンスペースでは家族が行きかう様子が目に入り、生活音もします。外的要因で気が散ってしまうため自分自身が集中しにくいだけでなく、電話やWeb会議などもやりづらい点がデメリットです。
どうしても集中できない場合には仕切りを設置し、仕事の時間中は家族に協力してもらうなどの対応をしましょう。
ワークスペースのポイントとは?
快適なワークスペースをつくるには、ポイントをおさえて環境を整えていくとよいでしょう。デスクの購入や模様替えなど具体的に環境を整える前に、在宅ワークに必要なポイントをチェックしておきましょう。
・作業しやすい広さのデスク
自宅で仕事をするなら、作業に適した広さのデスクを用意しましょう。小さなデスクでも仕事はできますが、パソコンを置くだけでいっぱいになってしまうと効率が悪く、働きづらくなるでしょう。
作業に適したデスクのサイズは、使用するデバイスや用途により異なります。これからデスクを用意する方は、「デスクに何を置くのか」「どのように使用するか」を考えてサイズを検討しましょう。
【ノートパソコンのみ使用する場合の目安】
幅 60センチメートル〜100センチメートル
奥行き 60センチメートル
【デスクトップパソコンを使用する場合の目安】
幅 100センチメートル
奥行き 70センチメートル
【デスクトップパソコンにデュアルディスプレイや多くの資料を使用する場合】
幅 120センチメートル
奥行き 80センチメートル
また、デスクに置くものや使用方法だけでなく、部屋のサイズやデスクに合わせたチェアを置くスペースも考慮する必要があります。デスクに関する要素の兼ね合いを考えてデスクサイズを決定しましょう。
・コンセントの使いやすさ
在宅ワークをするときはパソコンの他に、デスクライトやプリンター、モニターなどを使用することも多いでしょう。その分のコンセントが必要となるので、配線に困らないようにデスクを設置する場所を考慮しましょう。また、コンセントがデスクから垂れ下がったままだったり、人が通るところを配線が這ったりしていては、動きづらいだけでなく大事な場面でインターネット接続が切れるなどのトラブルがあるかもしれません。
また、過電流やトラッキングによる火災を防ぐため、なるべく「タコ足配線」にならないようにしましょう。コンセントがいくつ必要になるのか、配線をどのように通すのかを考えて、ワークスペースやデスクを置く位置を決めるのがポイントです。
【コンセントが必要なものの例】
・パソコン
・デスクライト
・無線LANルーター(Wi-Fiルーター)
・プリンター
・モニター
・タブレットの充電器
・スマートフォンの充電器 など
・適度な照明
暗い環境は仕事がしづらく、目にも負担がかかるのでおすすめできません。ワークスペースには、部屋の照明以外にもパソコン作業に適した照明を設置して、快適な環境を整えましょう。
特に、壁に向かってデスクを設置する方は、デスクライトを用意するのがおすすめです。天井に明るいシーリングライトがあっても、壁を向いていると自分の体で影をつくってしまいます。
寝室の一角をワークスペースにする方も、デスクライトを用意しておくとよいでしょう。寝室の照明を落ち着いた明るさのものにしている場合、仕事用としては光が足りません。
JIS(日本工業規格)の照度基準では、事務を行う部屋の明るさの基準を300~750ルクスとしています。一方で、寝室では10~30ルクス、リビングでは30~75ルクスが基準となっており、自宅で仕事をするなら、この差を補うためのデスクライトが必要になるのです。
また、パソコンのディスプレイと手元の書類などの明るさに、あまり差が出ないようにしましょう。明るさに差があると、視線を動かすたびに目が疲れてしまいますよ。
・Web会議にも対応できる防音性
防音性に優れた環境かどうかは、仕事の集中力に影響します。また、仕事上、電話やWeb会議が必要な方は、生活音が邪魔にならないようにしておく配慮も必要です。
「適度に生活音があった方が集中できる」という方は、あまり気にしなくてもいい点かもしれません。しかし、電話をしたりWeb会議の予定があったりするなら、相手のためにも環境を整えておきましょう。
テレフォンオペレーターやテレフォンアポインターなどの仕事の場合は、特に音への配慮が必要です。働くことの条件に、「ドア付きの部屋」「静かな環境」などが挙げられているケースもあるので、業務をスタートする前に仕事に適した環境をつくれるか検討しておきましょう。
・使いやすい収納
仕事で使用する資料や道具が多い方は、デスク周りが使いやすくなるよう収納スペースも確保しておきましょう。椅子から立ち上がらなくとも、手を伸ばせば届く範囲に必要なものをまとめておくと、作業効率が上がります。
リビングで仕事をする方は、仕事関係の収納を増やしにくいかもしれません。キャスター付きの棚やワゴンに仕事に関連するものを収納し、仕事のときだけリビングに運ぶという方法もあります。仕事道具をまとめておくことで必要なものを整理でき、オン・オフの切り替えもしやすくなりますよ。
・自分好みのレイアウトやデスク周りの環境
自宅で仕事ができることを活かして、自分好みのレイアウトや雰囲気にしてみましょう。オフィスではなかなか自分好みの環境に整えられませんが、自宅であれば可能です。自分らしい空間で仕事をすれば、モチベーションアップ・作業効率向上にも良い影響があるでしょう。
自分の好みに合うデザインのデスクを使用したり、自分に合ったチェアを選べたりするのは在宅ワークのメリットです。好みや用途に合わせて、家具やインテリアを整えてみましょう。
【デスクの種類】
ワークデスクには、一般的な長方形以外にもさまざまなタイプがあります。集中力を高めるために立って仕事をするスタンディングデスクにしたり、収納力をアップするために書棚付きのデスクにしたり、デュアルモニターで作業効率をアップするためにL字型デスクにしたりと、仕事のスタイルに合わせた好みのタイプを選びましょう。
【チェアの種類】
在宅ワークでは、長時間座るチェアも大切な要素です。座り続けても体に負担が少ないよう設計されたチェアや体にフィットしてリラックスできるチェアなど、好みのものを選びましょう。机の高さと合わせやすいよう、調整機能のあるチェアがおすすめです。
【デスク周りの壁】
壁に向かって作業をするなら、気持ちが落ち着く写真やアイデアの元となる資料を壁に貼るのもおすすめです。壁紙を貼り変えるタイミングの方は、落ち着く色合いや集中しやすい色合いでアクセントウォールにしてみてもよいですね。
理想のワークスペースに整えられないときは
「このようなワークスペースにしたい」と考えていても、理想通りにいかないこともあるでしょう。できるだけ理想に近づけるよう、工夫する方法をお伝えします。
・仕切りを用意する
「個室で働きたいけれど、部屋を用意できない」という方は、ついたてや仕切りを用意しましょう。木製のパーテーションや樹脂製の軽いパネル、ロールカーテンなど、仕切るものが1つあることで視界を遮り、仕事に集中しやすくなります。
ワンルームやリビングで働く方は、「洗濯物や趣味のものが視界に入り気が散ってしまう」というストレスがあるかもしれません。デスクの上に小さなついたてを置くだけでも、生活環境を遮断できるのでおすすめですよ。
・DIYをする
家具を購入したり、リフォームをしたりする予算がないときは、DIYで必要なものをつくってみてはいかがでしょうか。「ここに置きたい」というスペースにぴったり合ったサイズのものがなかなか見つからない場合も、DIYなら自宅の間取りや広さ、高さに合ったものをつくれます。
・防音カーテンやイヤホンを使う
周囲の音が気になる方は、防音カーテンやイヤホンを活用しましょう。カーテンを付けられない場所でも、突っ張り棒を設置すれば簡易的なカーテンレールが完成します。また、イヤホンを使用すれば、周囲の音を遮断できます。さらに、ノイズキャンセリング機能が搭載されているイヤホンなら遮音性が高く、周囲の音が気にならなくなるでしょう。
・広めの収納をワークスペースにする
「個室はないけれど、防音に優れたワークスペースを用意したい」「部屋にはデスクを置くスペースがない」という方は、自宅の収納スペースを見直してみましょう。ウォークインクローゼットなど広めの収納がある方は、収納スペースの一角をワークスペースとして整えられます。また、納戸や物入れの棚をデスク代わりとして使用し、仕事の時間以外は襖や扉を閉めて目隠しするという方法もあります。
在宅ワークから出勤に切り替わる可能性がある方も、これらの方法ならワークスペースが不要になった場合には収納として使えるのでおすすめです。リノベーションで一室増やすと予算不足となってしまう方も、「ワークスペース+収納スペース」を検討してみてはいかがでしょうか。
・コワーキングスペースを利用する
「仕事に集中したいけれど、同居の家族がいてなかなか集中できない」と悩む方もいるかもしれません。仕事中に人の気配がすると、たとえ静かに過ごしてくれていても気になることがあるでしょう。そのような場合は、コワーキングスペースやレンタルオフィスを利用するのも1つの方法です。在宅ワークのメリットは若干減ってしまいますが、自宅近くのコワーキングスペースやレンタルオフィスを利用できれば、それほど不便は感じないでしょう。
まとめ
在宅ワークでは、ワークスペースを快適に整えることで、仕事への集中力・作業効率アップが期待できます。ワークスペースの場所、デスクの位置、コンセントの配置などを考慮して、働きやすい環境をつくっていきましょう。
現在の住環境や予算によって希望通りに整えるのが難しいという場合にも、諦めずに工夫をして、働きやすい環境に少しずつ近づけてはいかがでしょうか。