会計事務所にフルリモート可能な仕事はある?求人や仕事内容を紹介
働き方の多様化が進み、あらゆる職種でフルリモートワーク可能の求人が見られるようになりました。より自由なライフスタイルを求めて、フルリモートワーク可能な仕事への転職に興味を持っている人も多いでしょう。
今回は、会計事務所のフルリモートワーク可能な仕事について解説します。業務内容や採用されやすい人材の特徴、会計事務所を選ぶ際のポイントも紹介するので、転職を検討している人はぜひ参考にしてください。
会計事務所にフルリモート可能な仕事はある
IT化やデジタル化が進んだ現在、ホワイトカラーの仕事の多くは自宅でも作業できるようになりました。会計事務所は専門性が高く顧客とのやり取りも多いため、出勤のないフルリモートワークは難しいイメージがあるかもしれません。しかし、業務内容によっては十分に自宅での業務が可能です。
会計ソフトとオンラインサービスを駆使すれば、通常の経理業務や税務、申告書の作成などに取り組めます。さらに補助金や助成金の申請なども、現在はオンラインで手続きできる場合があります。顧客とのやり取りはオンライン会議システムと電話で対応可能ですし、情報の取り扱いにさえ気をつければ、会計事務所の仕事でも働く場所を自由に選べるでしょう。
フルリモートワーク可能な会計事務所の業務内容
専門性の高い会計事務所で、どのような仕事がフルリモートワークできるのか気になる人も多いでしょう。フルリモートワークで対応できるのは、主に以下の8つの業務です。
- 経理業務
- 税務申告書の作成業務
- コンサルティング
- 資金調達支援
- 申請業務
- マネジメント業務
- 巡回監査業務
- 会計税務のライティング
それぞれ詳しく解説します。
1.経理業務
会計事務所では、一般企業の経理業務の代行も行っています。具体的には、会計ソフトへの企業の取引記録の入力や、従業員の給与計算、月次・年次の決算業務などです。これらの業務は本来、企業の経理部門で対応するものなので、経理業務の経歴があれば会計事務所でも経験を活かせるでしょう。またクラウド会計ソフトを使用すれば、リモートワークでも顧客企業の経理代行が可能です。
また業務を代行するのではなく、経理の専門家として会計処理を指導する場合もあります。従来は顧客企業のもとに出向いて指導するのが当たり前でしたが、現在ではオンライン会議システムなどを通じて、遠隔で担当者とやり取りすることも可能です。
2.税務申告書の作成業務
税務申告書の作成も会計事務所の重要な仕事の一つです。すべての企業は、経理部門が作成した決算書や貸借対照表、損益計算書を基にして、税務署に提出する税務申告書を作成しなくてはなりません。会計事務所は顧客企業の依頼を受けてこの税務申告書を作成し、さらに税務署への申告も代行できます。また企業で行われる税務調査の立ち会いや、税に関する相談を依頼されるケースもあります。
これら税務に関わる仕事に携わるには、税理士資格が必須です。そのため、会計事務所には必ず税理士が所属しています。資格のない人でも会計事務所で働けますが、税務を任されることはありません。
3.コンサルティング
近年では、新たにコンサルティングに取り組む会計事務所も増えています。コンサルティング業務では、顧客企業の経営課題を分析して解決策の提案を行います。会計事務所は経理代行や税務を行うなかで、企業の財務状態を隅々まで把握しているため、正確な情報に基づいた分析が可能なのです。企業経営の問題点を数字から洗い出し、改善の的確なアドバイスを提供できます。
コンサルティング業務には顧客とのコミュニケーションが必須ですが、現在はオンライン会議システムを利用すれば、自宅にいながらヒアリング・解決策の提案ができます。会計事務所でもフルリモートワークでの対応は可能でしょう。
4.資金調達支援
会計事務所では、企業の事業運営のための資金調達を支援することもできます。企業の資金調達の手段は、主に銀行からの融資や公的な補助金・助成金などです。特に銀行の融資では、事業計画書や決算書の作成の仕方にコツがあり、ノウハウのある会計事務所が書類作成をしたほうが融資が通りやすいケースがあります。そのため会計事務所は顧客企業の依頼を受けて、融資を受けるために銀行に提出する書類作成や手続きのサポートを行います。
5.申請業務
会計事務所は税や補助金・助成金に関する、企業のさまざまな申請業務をサポートします。なかでも企業の設立時には税務上多くの申請や手続きが必要となり、経営者は会計事務所を頼るのが一般的です。資本金の額や役員報酬、設立日や決算日といった企業の基本的な事項も、経営者と会計事務所とで話し合いながら決定していきます。企業の設立に関する手続きでミスがあると大変なので、会計事務所は税務や会計のプロとして書類を適正に作成しなくてはなりません。
また企業の設立時には、経営者から法人登記を行う司法書士を紹介してほしいと頼まれることもあります。会計事務所では専門外である法人登記を行うことはできないため、そのようなときのために士業同士の横のつながりを保っておくことも大切です。
6.マネジメント業務
事務所のマネジメントも重要な業務です。現在は仕事の効率化や標準化、人材育成など、より良い組織体制をつくることが求められています。税理士や会計士の資格がなくても、マネジメントで実績のある人材を採用する事務所もあります。
マネジメントは職場全体を見渡して課題を分析する必要があるため、リモートワークに不向きなイメージがあるでしょう。しかし、売上などのデータから改善点を見つけ出し、オンラインツールでコミュニケーションを取りながらマネジメント業務にあたることも可能です。
7.巡回監査業務
会計事務所は税務申告を見据えて、顧客企業の巡回監査も行います。会計事務所は定期的に顧客企業を訪問して会計処理や税務処理の仕方をチェックし、問題があれば指導しなくてはなりません。税務申告の時期になって問題が発覚すると対処しきれないため、日頃からのこまめな確認・指導が大切なのです。
巡回監査も、経理の担当者とオンライン会議システムでつながることで、フルリモートワークに対応できます。必要な資料はデータで共有し、互いにそれを見ながら話すことができれば、訪問時の監査と変わりなく業務を進められるでしょう。
8.会計税務のライティング
会計事務所には、税金や会計処理の専門知識を活かしてコラム記事を書く仕事もあります。会計事務所のホームページやブログ、SNSなどに掲載するものもあれば、新聞やWebサイトなど外部のメディアに依頼されて寄稿する場合もあります。専門的な記事のため税理士や会計士の資格を持った人間が監修する必要がありますが、文章の作成自体は他のスタッフでも可能でしょう。
ライティングはメイン業務の合間のスキマ時間にも取り組めて、リモートワークと相性の良い作業です。会計事務所で働きながら資格取得を目指している人にとっては、良い勉強にもなります。
フルリモートワークを導入する会計事務所に採用されやすい人材とは
会計事務所のフルリモートワークは人気です。選考を通過して内定を獲得するためには、求人に応募するときのアピールポイントを知っておく必要があります。フルリモートワークを導入している会計事務所で採用されやすいのは、以下の特徴を備えた人材です。
- 実務経験がある
- ITリテラシーがある
- 協調性や責任感がある
- レスポンスが早い
- コミュニケーション能力が高い
それぞれ詳しく解説します。
1.実務経験がある
会計事務所は専門性の高い仕事のため、実務経験は必須です。税理士や会計士の資格がなくとも、経理・税務に関わる仕事をした経験を求められるケースは多いでしょう。
フルリモートワークは研修などを行うことが難しく、経験のない人材を採用して育成するのは容易ではありません。そのため採用されるのは、必然的に実務経験があって自身で仕事を組み立て進捗まで管理できる人材になります。
会計事務所で働いた経験があれば、選考ではその点を強くアピールしましょう。また会計事務所でなくとも、企業の経理部門など関連する経歴がないか一度キャリアの棚卸しをして、選考に臨む前にアピールできるポイントをまとめておくのがおすすめです。
2.ITリテラシーがある
会計事務所の仕事に限らず、フルリモートワークでは個々の従業員にITリテラシーが求められます。フルリモートワークを効率的に進めるためには、各種のオンラインツールを使いこなさなくてはなりません。
通常の作業で最適なツールを選択して使用することはもちろん、万が一トラブルがあったときに自分で対処する能力も必要です。会計事務所では顧客の機密情報を扱うため、情報流出を防ぐためのセキュリティ対策も欠かせません。
また会計事務所の仕事では、専用の会計ソフトを扱う機会が多くあります。フルリモートワークの場合は周囲に逐一教えてもらえない環境のケースが多いため、自分で使い方を理解し、必要であれば新たに学ぶための基礎的な知識が求められます。
3.協調性や責任感がある
1人で仕事しているイメージの強いフルリモートワークですが、実は協調性や責任感が大切です。会計事務所はチームで連携して業務にあたる場面も多い仕事です。互いの仕事の様子が見えないリモートワークでも、チーム全体の業務分担や進捗を把握し、他のメンバーと助け合いながら仕事を進める姿勢が必要になります。
またフルリモートワークは上司の目が届かないため怠けがちになる人もいますが、チームで仕事をしている以上、自分が怠けると誰かにしわ寄せがいくことになるでしょう。自身が求められている役割を意識し、強い責任感を持って業務にあたる人でなければフルリモートワークを認めることはできません。
4.レスポンスが早い
会計事務所のフルリモートワーク求人の選考過程では、レスポンスの早さも見られています。会計事務所の仕事は申請の期日などを厳守しなくてはならないため、スケジュール管理が甘い人には不向きです。
書類の修正なども、最終的な期日を守るためには、その都度迅速に対応しなくてはなりません。日頃からメールの返信などレスポンスが遅いと、顧客を不安にさせてしまうでしょう。
反対にレスポンスが早い人なら、リモートワークでも安心して仕事を任せられます。行動のスピード感が上司や顧客からの信頼につながることを心得て、内定を獲得するためには応募後のやり取りも迅速な返信や書類提出を心がけましょう。
5.コミュニケーション能力が高い
会計事務所の仕事では顧客とやり取りする機会が多いため、コミュニケーション能力も求められます。顧客と信頼関係を築くためには、高いコミュニケーション能力が必要です。
会計事務所は、顧客の「企業経営の中枢に関わることになるため、信頼を得なくては良いパートナーシップを築くことができません。特に税務コンサルティングやマネジメントの業務では、顧客の抱える課題をヒアリングし、最適な解決策を提案するプレゼンテーション能力が求められます。
フルリモートワークの場合は、対面で話す機会がないからこそ、オンラインでも通用する高いコミュニケーションの力が必要です。また電話やメールなどでは、端的に必要な情報を伝えなくてはなりません。シチュエーションに合わせて的確なコミュニケーションを取れる人材は、フルリモートワークで採用されやすいでしょう。
会計事務所を選ぶ3つのポイント
最後に転職を成功させるために知っておきたい、会計事務所選びのポイントを紹介します。転職活動では以下の3つを心がけましょう。
- 事業規模や業務内容を確認する
- 事務所や従業員の雰囲気を調べる
- 転職エージェントや知人から話を聞く
それぞれ詳しく解説します。
事業規模や業務内容を確認する
転職先を選ぶ際には、会計事務所の規模や事業内容をよく確認しておきましょう。一口に会計事務所と言っても、大手から個人まで事務所の規模はさまざまです。フルリモートワークでもそうした事務所の規模は仕事の環境にも影響するため、自分に合ったところを選ぶ必要があります。
また会計事務所によって、経理・税務・コンサルティングなど扱っている業務の内容も異なります。フルリモートワークでは自身のスキルや経験を活かして即戦力として働ける職場を選ぶのがおすすめです。会計事務所の主な業務内容を確認し、自分のキャリアと一貫したものを選びましょう。
事務所や従業員の雰囲気を調べる
転職先を選ぶ際には、当然ながら事務所の雰囲気や他のメンバーの働き方などを知っておく必要があります。フルリモートワークは人間関係などにわずらわされないのが魅力ですが、限られたコミュニケーションであっても職場の雰囲気によってはストレスを感じる可能性があるでしょう。
特にリモートワークが始まると職場の人と顔を合わせる機会も少なく、相手の考え方や感情を伺い知ることは難しくなります。事務的なメールの文面だけを見て「何か怒らせてしまったかも」と不安になるケースがあるのです。
事務所のホームページやSNSのアカウントなどをチェックして明るい雰囲気を感じられれば、フルリモートワークが始まっても安心してやり取りができます。また従業員のモチベーションが高い職場は成果も出やすく、自身のキャリア形成においても重要なポイントです。
転職エージェントや知人から話を聞く
応募先の会計事務所をよく知る転職エージェントや知人から話を聞くことも大切です。第三者からの客観的な情報は、転職活動で役に立ちます。ホームページやSNSアカウントなどはあくまで公式のものなので、その事務所の実態をすべて表しているとはいえないこともあるでしょう。他の人からの情報や口コミも参考にし、多角的な判断が大切です。
特に会計事務所と豊富な取引実績のある転職エージェントは、複数の会計事務所を知っていて、それぞれの特色をよく理解しています。プロとしてその転職にミスマッチがないか判断してくれるために頼もしい存在です。転職エージェントが保持している情報もうまく活用しながら、適した事務所を選びましょう。
まとめ
現在は会計事務所の仕事でも、フルリモートワークの求人を見つけられます。ただし専門性が高い会計事務所でフルリモートワークをしようと思えば、即戦力として働けるだけの経歴やスキルが必要です。さらにフルリモートワークの場合は、オンラインツールを駆使して効率的な働き方を考えられるだけのITリテラシーも求められます。またフルリモートワークだからこそのコミュニケーション能力や協調性も大切です。
安定したキャリアが得られてリモートワークで働きやすい仕事は人気です。高い競争率を勝ち抜くためには、フルリモートワークに対応した会計事務所で求められるスキルを身に付け、選考で適性をしっかりアピールしましょう。