フルリモートワークで多様な働き方を! 完全在宅勤務に適した職種16選

「働き方改革」の推進以来、働き手の希望に沿った働き方が認められるようになり、フルリモートワークでもキャリア形成がしやすくなりました。また、リモートワークは働き手だけでなく、企業側にもメリットのある業務形態です。今回は、企業側と働き手、双方からみたフルリモートワークのメリット・デメリットを解説します。また、フルリモートワークに適した16の職種とその仕事に向いている人のタイプを紹介するので、今後の仕事選びに役立ててみてはいかがでしょうか。

フルリモートワークのメリット・デメリットを詳細解説! フルリモートに適した職種とその仕事に向いている人とは?

フルリモートワークとは

フルリモートワークとは、出社せずに仕事をする働き方です。リモートワークの多くは、1週間のうち何日か出社する日があったりお客様との打ち合わせのために出かけたりしますが、「フル」リモートワークの場合は完全に在宅で仕事をすることが前提になっています。

企業がフルリモートワーク導入するには、出社なしですべての業務が完結できるように働き方や労働環境を整備しなければなりません。そのため、業種によってフルリモートワークの導入に大きな差があるのが現状です。フルリモートワークの導入率が高い業種は、IT系やインターネット関連業で、すべてをオンライン化できるような環境を整えやすい業界から導入が進んでいるといえるでしょう。

フルリモートワークのメリット

フルリモートワークのメリット

フルリモートワークには、企業と働く側の双方にさまざまなメリットがあります。リモートワークについて語る際、働く側のメリットに注目しがちですが、企業側のメリットも知ってリモートワークへの理解を深めておきましょう。

 

・企業側のメリット

固定費の削減

オフィスを構えると、テナントの賃料や光熱費がかかります。その他にも、社員の交通費、出張費、設備代や備品購入費など、さまざまな費用が必要です。しかし、社員全員がフルリモートワークを行えば、これらの費用を大幅に削減できます。フルリモートワークを導入する際の初期投資は必要ですが、長期的に見るとメリットの方が大きいでしょう。固定費が削減された分を福利厚生費に充てれば、社員の満足度を上げることも可能です。

生活環境の変化による離職を防げる

企業で活躍している優秀な人材でも、結婚や出産、育児、介護など、生活環境の変化によって離職してしまうケースがあります。しかし、フルリモートワークなら、生活環境や居住地の変化に対応しやすく、雇用の安定につながるでしょう。

人材の幅が広がる

フルリモートワークであれば、日本だけでなく世界中から人材を募集できます。エリアを限定せずに採用活動ができるのは、企業にとって大きなメリットです。また、育児や介護でオフィスに出社できる時間が限られているため時短勤務をしている人でも、フルリモートワークにすればフルタイムで働けるケースがあるかもしれません。近年は中小企業の人手不足が深刻化していますが、多様な人材が雇用できれば事業継続にもつながるでしょう。

デジタル化の促進につながる

近年、DX化(デジタルトランスフォーメーション)に代表されるように、非効率な習慣を見直す動きが加速していますが、商習慣というものはそれなりのきっかけがないとなかなか改善が進みません。しかし、フルリモートワークを導入すれば、必然的にペーパーレス化が進み、電子契約なども利用するようになるでしょう。企業のデジタル化が促進されれば、業務効率も上がります。

緊急時でも事業継続が可能になる

新型コロナウイルスの流行により、多くの企業が突然事業活動の縮小・停止を余儀なくされたのは記憶に新しいところでしょう。他にも、オフィスが被災したり、自然災害などで交通手段が寸断されたりして、社員が出勤不可能となる事態が起こりえます。予期せぬ事態となったときでも、フルリモートワークであれば事業継続や復旧がしやすいので、リスクマネジメントの手段としても有効です。

 

・働く側のメリット

時間を有効に使える

勤務場所へ出社する場合、朝の支度や通勤に時間を要します。片道30分の通勤であっても、毎日積み重ねれば膨大な時間になり、身体の負担にもなるでしょう。フルリモートワークであれば出社にかかる時間が不要になるため、その分を家事や勉強、趣味、副業などに充てられます。 

距離の制限がない

勤務先と居住地の距離に制限がないフルリモートワークでは、例えば共働きでパートナーの転勤が決まったときなどでも、転居先で同じように仕事ができます。また、悪天候によって出社が難しくなることもありません。場所や天候に縛られずに仕事ができるのは、大きなメリットといえるでしょう。

煩わしいコミュニケーションが減る

オフィスで仕事をすると、上司や同僚と業務以外のコミュニケーションが発生します。苦手な相手がいる場合、毎日顔を合わせて同じ場所で仕事をするのはストレスのもとです。フルリモートワークであれば苦手な相手と顔を合わせる機会が減り、業務関連のコミュニケーションのみでやり取りを済ませることもできるので、対人関係のストレスは軽減されるでしょう。

フルリモートワークのデメリット

フルリモートワークのデメリット

フルリモートワークには多くのメリットがある一方で、考えなければならないデメリットも存在します。あらかじめ把握して、自分なりの対策を取っておくことが大切です。

 

・企業側のデメリット

労務管理や人事評価が難しい

フルリモートワークにすると、社員の勤怠を管理しづらくなるという課題があります。社員によっては、法定労働時間を超える長時間業務をしてしまうこともあるでしょう。リモートワークに則した勤怠管理ツールの導入で、始業と終業時間などをきちんと管理する必要があります。

また、勤務態度などでの評価がしづらくなり、従来の人事評価システムが成り立たなくなるデメリットもあります。フルリモートワークに適した、成果重視タイプの人事評価制度を整備しておくとよいでしょう。

社員のメンタルケアがしにくくなる

フルリモートワークになると、社内の人と会話をする機会が減少します。中には孤独を感じて、精神的に不安定になってしまう人もいるかもしれません。しかし、働いている様子を直接確認できないので、体調の変化に気づいたり、コミュニケーションを取ってメンタルケアをしたりするのが難しいという面があります。チャットツールの利用や定期的なWeb面談などで、フルリモートでも社内のコミュニケーションが取れる環境を整備しましょう。定期的なストレスチェックや相談窓口の設置など、メンタルヘルスの仕組みを整えるのも大切です。

情報漏えいのリスクが高くなる

フルリモートワーク導入の最大の懸念点ともいえるのが、情報漏えいです。自宅やカフェ、コワーキングスペースなどで仕事をしていると、社内の機密情報や顧客情報などが第三者の目に触れるリスクが高まります。

情報漏えいを防ぐには、リモートデスクトップやVPN(Virtual Private Network)など、安全なネットワークでオフィスのPCにアクセスする仕組みがおすすめです。また、企業としてのセキュリティルールを策定し、社員のITリテラシー教育を徹底しましょう。

 

働く側のデメリット

生産性が下がる可能性がある

常に周りの目があるオフィス勤務と異なり、フルリモートワークでは自宅など自分が落ち着ける場所で仕事をします。緊張感を保つのが難しいため、自己管理が苦手な人は生産性が下がるかもしれません。時間ごとにタスク管理をして、メリハリをつけて仕事を進めるようにしましょう。

運動不足になる

フルリモートワークは出社する必要がないため、何日も家から出ない場合もあるかもしれません。また、自宅ではオフィスほど立ち歩く機会が多くなく、意識的に身体を動かさないと運動不足になってしまいます。運動不足が続くと心身に不調をきたすリスクが上昇するので、定期的に体を動かすように習慣づけましょう。

孤独を感じやすい

フルリモートワークでは社内のコミュニケーション不足が懸念されます。業務と関係のない雑談やちょっとした相談がしにくくなり、孤独や不安を感じやすくなるため、自分なりのリフレッシュ方法を見つけて適度な気分転換を心がけるとよいでしょう。

フルリモートワークに向いている人

自己管理ができる人

フルリモートワークでは周りの目が気にならない分、サボろうと思えば簡単にサボれます。ほんの数分スマホでゲームをするつもりが、なかなかやめられず時間が経ってしまったなんてこともあるかもしれません。しかし、サボった分だけ生産性が落ちて、やるべきことが進まなくなります。しっかり自己管理をして仕事に取り組める人であれば、効率的に成果を上げられるでしょう。

業務に集中できる環境がある人

フルリモートワークにおいて大切なのが、業務環境です。雑音や騒音が少なく集中しやすい環境をつくれる人であれば、業務がしやすくなります。

計画性がある人

自宅で仕事をしていると、テレビやスマホを何となく見てしまいがちです。そのため、オフィスにいるときよりも仕事の進みが遅くなる可能性があります。1日の中でもスケジュールを細かく管理して、計画性を持って仕事を進めることが大切です。

フルリモートワークに向いていない人

受け身な人

フルリモートワークでは、オフィスとは異なり同僚や上司の目が届きません。確認が必要な案件があっても聞かれるまで待っているような人は、チームの生産性を落とすことになってしまいます。自ら動けず受け身な人は、フルリモートワークで仕事をするのは難しいでしょう。

パソコンが苦手な人

フルリモートワークの仕事は、基本的にパソコンで完結させるものがほとんどです。ちょっとしたマシントラブルがあったときに自分で対応ができないと、業務が止まってしまいます。専門的な知識とまではいかなくても、パソコンの不調を自分で調べて解決できる程度の知識は必要です。

テキストコミュニケーションが苦手な人

フルリモートワークでは、チャットツールやメールでコミュニケーションをする場面が多くあります。テキストコミュニケーションが苦手な人だと、相手の意向を読み取れなかったりこちらの状況を正確に伝えられなかったりして、トラブルにつながるリスクがあるでしょう。

フルリモートワークができる職業の特徴

フルリモートワークができる職業の特徴

フルリモートワークで業務ができる職種は限られています。どのような職業であればフルリモートワークが可能なのか、特徴を紹介します。

成果が明確な業務

フルリモートワークでは、成果以外の部分が見えづらくなります。例えば、業務態度や仕事の進め方などでは評価がしにくいため、成果が明確なもので評価したり報酬計算をしたりしなければ、スタッフに不公平感が生じるでしょう。誰がどれくらいの業務をこなしているのかタスクの見える化ができる仕事や、成果物の納品によって完結する仕事がリモートワークに適しています。

その場にいる必要がない業務

店舗の窓口や受付業務、美容師、警備員、介護士といった、その場にいなければならない業務ではフルリモートワークはできません。また、お客様の本人確認や書類の記入チェックなど、ミスやトラブル防止のために目視での確認が必要な業務がある仕事もフルリモートワークにはしにくいでしょう。人と会うことが主目的でなく、直接確認しなくても成立する業務であれば、フルリモートワークが可能です。

パソコンがあれば完結できる業務

データ分析、市場調査、資料作成、動画編集といった成果物をパソコンで作成できる業務であれば、フルリモートワークができます。これらの仕事は、パソコンとネットワーク環境が整っていれば、働く場所によって成果が変わることがないからです。

フルリモートワークができる職種

フルリモートワークができる職種

フルリモートワークに向いているのは、成果が明確であり、人と会うことが主目的でなく、パソコンで完結する業務です。フルリモートワークが可能な16の職業を紹介します。向いている人のタイプも解説するので、自分に合った仕事をチェックしてみましょう。

・Webメディア

企業や個人がサイトで情報を発信することが増え、Webメディアに関わる仕事の需要が高まっています。中でもスキルや経験がなくても挑戦しやすいWebライターと、その仕事を支える編集者について紹介します。また、Webメディアには、校正・校閲業務や、サイトへのアップ作業などの業務もあります。ライターが一部を兼任するケースやライターから他業務へ転身するケースなどがあり、仕事の幅を広げやすい点も魅力といえるでしょう。

■Webライター/編集者

Webライターの仕事は、執筆数や記事のクオリティに応じた適正な報酬が得やすいので、フルリモートワークとは相性抜群といえます。さらに、業務に必要な環境を整えやすいのもポイントです。Officeなどのテキストソフトが使えるパソコンとインターネット環境があれば、すぐに仕事が開始できます。場所に縛られることもないため、海外にいながら働くライターも少なくありません。

また、Webメディアの編集者もライターと同様に、フルリモートワークと相性が良い仕事です。編集者は、テーマに沿ったコンテンツを企画・立案し、入稿までの進捗や制作物の品質管理を行います。

Webライターも編集者も、企画によっては取材やインタビューが必要です。しかし、オンラインでの取材やインタビューがOKであれば、フルリモートでも問題なく進められます。

▼Webメディアに向いている人

客観的視点を持てる人

Webライターや編集者は、読み手が求めている情報を発信するのが役目です。より多くの人にコンテンツに触れてもらうためには、客観的視点を持って制作ができるかどうかが大切になります。

人の意見を素直に聞ける人

コンテンツ制作に修正はつきものです。自分では良いと思ったものでも、修正を指示されることはあります。自分のコンテンツにこだわりすぎず、素直に人の意見を聞ける人でなければ、Webメディアの仕事を続けるのは難しいでしょう。

好奇心旺盛な人

コンテンツ制作においては、さまざまなジャンルでトレンドを含めた情報を収集する必要があります。好奇心旺盛で多様なジャンルに常にアンテナを張っている人だと、リサーチにも時間がかからず効率的に仕事ができるでしょう。

文章の読み書きが好きな人

Webメディアに関わるなら、文章の読み書きが好きである程度の文章力を備えていることが大切です。より多くの文章を読んだり書いたりすることは、自分自身のスキルアップにもつながります。

・デザイン分野

デザインの分野はさまざまありますが、パソコンのデザインソフトで完結できる業務が多くある仕事です。また、デザインは属人性が高い仕事なので、自分が心地良く感じる環境の方が効率アップになり、フルリモートと相性が良い職種といえるでしょう。

デザインの分野の中でも募集案件の多いWebデザイナーとイラストレーターについて簡単に解説します。

■Webデザイナー

Webデザイナーは、クライアントの希望に沿ってWebサイトのデザインをします。「Illustrator」や「Photoshop」といったグラフィックソフトを使って、レイアウトや配色の見やすさを考慮しつつデザインしていきます。

デザインが固まったら、Webサイトを構成するHTMLやCSSといった言語を使用して、デザインをブラウザ上で見えるようにする「コーディング」という業務が行われます。コーディングは、コーダーと呼ばれる専門職が担当しますが、Webデザイナーが兼任することもあります。

■イラストレーター

イラストレーターは、Webメディアに限らずあらゆる媒体で使用されるイラストを描き、依頼主に提供します。例えば、雑誌やWebサイトの他、ゲームで使われるイラストなど、活躍の場は幅広くあります。また、完成品を納品するタイプの仕事以外にも、人物画に彩色したり背景に効果を入れたりと部分的に請け負う仕事、オンライン講座でイラストの描き方を教えるなど、イラストで収入を得る方法も多様化しています。

▼デザイン分野に向いている人

職人気質の人

デザイナーは、自分のデザインに強いこだわりと自信を持たなければなりません。自分自身が納得できないクオリティのものを納品するのはクライアントに失礼なので、良い意味での完璧主義の人はデザイナーに向いているでしょう。

流行に敏感な人

デザイン業界にもトレンドがあり、常に新しいデザインや技術が生まれています。新しいものにアンテナを張って、定期的に知識やセンスをアップデートしていかなければなりません。しかし、トレンドをすべて流用するのではなく、手がけているデザインに必要なものは何なのかを取捨選択することも大切です。

モノづくりが好きな人

デザイン分野の仕事はモノづくりに通じるものがあり、自身のセンスと依頼主や消費者のニーズが合致するところを探り続ける作業だともいえます。モノをつくる喜びを感じられるクリエイティブ気質の人はデザイナーに向いているでしょう。

・管理業務

管理業務とは、いわゆるバックオフィスとも呼ばれる業務で、総務、人事、広報、経理・財務、法務、情報システムなど、企業活動をスムーズに進めるための縁の下の力持ちともいえる職種です。これらの業務は基本的にパソコンだけで完結できるので、クラウド型のシステムを活用すれば、フルリモートワークが可能になります。

管理業務に含まれる職種を簡単に紹介します。

■総務

企業の事務業務全般や各部門の管理業務の他、他部署の専門分野以外の業務を行ないます。担当部署が明確ではない業務のほとんどが総務の仕事になるので、「何でも屋」というイメージが強い職種です。

■人事

採用計画の立案や新卒・中途の採用活動をする部門です。その他、人事評価制度の策定や労務管理も担当しています。近年は、オンライン説明会やWeb面接のみで採用活動を行なう企業も増えているので、フルリモートでも問題なく業務ができるようになりました。

■広報

取引先やメディア関係者に向けて、自社の情報を発信する部署です。社外だけでなく、社内に向けて企業の取り組みを知らせたり、投資家に向けて情報発信をしたりすることもあります。

■経理・財務

企業のお金の流れを管理する部門です。社員の給与計算や年末調整の他、経費の精算、会計監査の対応なども行います。近年は、経理システムを利用してペーパーレスで業務ができる環境が整ってきているので、出社せずに業務を完結させることが可能です。

■法務

企業活動においての法的な問題への対応をする部門です。契約や取引に関する法律の確認や、社内ルールの策定、法務相談窓口の設置などを行います。企業に対して厳格なコンプライアンス体制を求められる時代において、重要性が高まっているポジションといえるでしょう。

■情報システム

企業によって業務内容は変わりますが、IT戦略の策定や社内のセキュリティ対策などを行う部署です。他に、情報インフラや社内の基幹システムの構築・運用をする場合もあります。担当する業務にもよりますが、ITの専門知識が求められるポジションです。

▼管理業務に向いている人

人と関わることが好きな人

管理業務は、社内のさまざまな部署と接する機会が多いポジションです。人と関わりサポートをするのが好きな人には向いているでしょう。

スケジュール管理が得意な人

複数の業務を並行して担当することが多いので、マルチタスクが苦手な人には向いていません。自己管理ができてスケジュールを立てるのが得意な人であれば、効率よく進められるでしょう。

責任感が強い人

管理業務は、経理・財務や法務など、ひとつのミスが多大な損害につながる業務が多く、責任感が強い人でなければ務まりません。企業の経営を支えている大事なポジションなので、自分の業務に対して責任を持って取り組める人は向いているでしょう。

・営業

「営業といえば外回り」というイメージを持つ人は多いかもしれませんが、営業の仕事もコロナ禍によって大きく様変わりしました。Web会議システムやメール、チャットなどを利用して、顧客を直接訪問せずに商談などのやり取りができるよう整備されています。また、営業活動をオンライン化すれば、遠方の顧客でも移動費なしでアプローチできるので、販路の拡大と企業の経費節減が両立できる点も大きなメリットです。

営業には大きく分けて法人営業(BtoB)と個人営業(BtoC)があります。個人を対象にした営業の場合、取り扱う商材やターゲットの年齢層によってはオンラインでの商談が難しいケースがあるかもしれません。法人対象であっても、オンライン対応を敬遠するクライアントはいるでしょう。

いずれにしてもクライアントありきの業務なので、フルリモートが導入できるかどうかはクライアントの理解を得ることが前提だといえるでしょう。

▼営業に向いている人

時間管理や連絡がマメにできる人

1人で複数のクライアントとの商談を抱えることが多いので、時間管理やタスク管理を徹底する必要があります。時間をやりくりして、クライアントへのフォローや情報提供など、マメに連絡ができる人は営業の仕事に向いているでしょう。

人の話を聞くのが好きな人

人と関わることが好きでも、自分の話ばかりする人では押し売りのような印象を与えてしまいます。人の話を聞くのが好きな人であれば、クライアントのニーズを的確に聞き出して成果が上げられるでしょう。

記憶力が良い人

多くのクライアントと接する営業の仕事では、記憶力も大切になります。どのような話をしていたのかよく覚えている人は、「ちゃんと話を聞いてくれている」とクライアントからの信頼を得やすくなるでしょう。

気持ちの切り替えが早い人

営業の仕事では、努力した結果が必ずしも成約につながるわけではありません。ときには、良かれと思ってした行動に対してクレームを受けることもあるでしょう。失敗やクレームを引きずらず、すぐに切り替えて改善行動を取れる人は営業に向いています。

・企業コンサルタント

企業コンサルタントとは、企業の組織運営や業務・経営の課題を解決するためのアドバイスやサポートをする職業です。企業コンサルタントには、さまざまな分野があります。代表的な分野は次の通りです。

総合コンサルティング:企業のさまざまな課題を総合的にサポートする
ITコンサルティング:企業のIT導入による経営課題の解決や業務改善をサポートする
戦略コンサルティング:経営戦略の策定・実行のサポートをする
経営コンサルティング:経営(財政)基盤の改革をサポートする
人事コンサルティング:組織づくりや人事を中心に経営課題の改善をサポートする

アドバイスやデータ分析はオンラインでも可能なので、フルリモートでも問題なく業務ができます。また、クライアントが抱える課題が解決したかどうかが成果になるので、結果を出せれば継続して契約してもらうことができるでしょう。

▼企業コンサルタントに向いている人

ストレスに強い人

クライアントの中には、外部からのアドバイスを素直に聞き入れない人もいます。また、一筋縄ではいかない難解な課題に直面することもあるでしょう。コンサルタントは困難な状況でも成果を出さなければならず、プレッシャーやストレスに耐えられるメンタルが必要です。

気持ちに寄り添える人

クライアントにとって、コンサルタントは自社の将来を左右する重要なパートナーです。上から目線で押しつけのアドバイスをするようでは、信頼関係を築くことはできません。クライアントの気持ちに寄り添い、課題解決に向かって共に歩んでいくことが大切です。

向上心のある人

コンサルタントに依頼をするクライアントは、自社の課題を解決してより良い方向に成長したいと考えています。コンサルタントにも成長意欲や向上心がなければ、クライアントの気持ちに寄り添うことはできません。

・カスタマーサポート

カスタマーサポートとは、顧客からの問い合わせに対応する仕事です。顧客からは電話やチャット、メールなどで問い合わせが入りますが、すべてパソコン上のシステムで対応できるので、自宅にパソコンとインターネット環境があればリモートワークが可能です。

問い合わせ内容は、住所変更やプラン変更などの手続きに関することや、製品・サービスのトラブルなどさまざまです。カスタマーサポートの役割は、単に顧客の問い合わせに対応するだけではありません。問い合わせを通して商品・サービスの不具合や欠陥が発見されることもあります。企業の商品・サービスをより良いものに改善していくために必要な部署がカスタマーサポートなのです。

▼カスタマーサポートに向いている人

話し方が丁寧な人

カスタマーサポートでは、常に丁寧な話し方をしなければなりません。電話応対業務では、普段の言葉遣いがふとした瞬間に出てしまうことがあるので、日頃から言葉遣いや正しい日本語を意識している人に向いているといえるでしょう。

コミュニケーション能力が高い人

カスタマーサポートの役割は、顧客が直面している問題を解決することです。しかし、顧客の中には、問い合わせ内容をうまく説明できない人もいます。想像力を働かせて相手が何に困っているのかを考え、会話を重ねることで問い合わせ内容を引き出せるコミュニケーション能力が必要です。

冷静に対応できる人

カスタマーサポートでは、ときには困りごとに直面して感情的になっている顧客の対応をする場面もあります。クレームに対しても慌てず冷静に話ができないと、問題の解決が困難になることがあります。どのような場面でも落ち着いて対応できる人は、カスタマーサポートに向いているでしょう。

・Webマーケター

マーケターは、企業の商品やサービスの広告展開や販売活動に役立てるためのマーケティング業務を担います。Webマーケターは特に、自社ホームページ、オウンドメディア、SNSなどを活用してのマーケティング業務を行ないます。

Webマーケターの具体的な仕事内容は、大きく分けて「企画・立案」と「運用・分析」の2つです。まずターゲットを選定し、戦略の企画と立案を行ないます。そして企画が通れば運用を開始して、データ分析やアクセス解析などで施策の効果検証を繰り返し、企業の売り上げアップを目指していくのです。市場調査や企画書の作成は出社なしで完結できて成果が見えやすいので、フルリモートワークと相性がいい業務といえるでしょう。

インターネットが普及する前の消費者は、新聞やテレビなどのマスメディアから情報を得て、購入する商品・サービスを検討していました。しかし、インターネットの普及とともに消費者自身が検索をすれば商品・サービスの比較や検討が簡単にできるようになり、Webマーケティングの重要性が高まっています。

▼Webマーケターに向いている人

ロジカルな考え方ができる人

Webマーケティングでは、数字を見ながら課題分析や仮説構築などを行います。個人の感覚だけでは企画に説得力が出ず、社内の承認が得られません。Webマーケターは、起こった事実についてさまざまな仮説を立てて理由を分析し、冷静な判断ができる人に向いています。

人の気持ちを考えられる人

Webマーケティングの仕事の目的は、消費者に商品・サービスを知ってもらい、購入してもらうことです。そのためには、消費者の立場に立った思考をする必要があります。人の気持ちに寄り添ってこそ、効果的なマーケティング施策を打ち出せるといえるでしょう。

成果が数字に出ることに喜びを感じる人

Webマーケティングとその施策による効果は、数値で表されます。Web施策からどれくらい流入が増えたのか、そこからどれだけの人が購入にしたのかは、数字で見れば一目瞭然です。成果が数字に出ることに喜びが感じられる人は、Webマーケティングの仕事に向いているでしょう。

自分のやり方に固執せず柔軟な対応ができる人

Webマーケティングは、その重要性が認識されてきたこともあり、手法が常に進化しています。いつも同じ手法でマーケティングをしていては、効果的な施策は打ち出せません。日々新しいことに取り組んでいける柔軟さが必要です。

・システムエンジニア(SE)

システムエンジニアは、クライアントの要望を実現するため、PCや専門機器のシステムを設計する職業です。クライアントへのヒアリングからシステム設計までオンラインでできるので、他業界に比べて早くからフルリモート化が進んでいる仕事のひとつです。

システムエンジニアは、ヒアリング(要求分析・要件定義)・システムの基本設計・詳細設計・テストという流れで仕事を進めていきます。仕事内容が近いため、プログラマーと混同されることもありますが、プログラマーはシステムエンジニアのシステム設計をもとにプログラミングをします。プログラマーからシステムエンジニアへ、ステップアップを目指す人もいるでしょう。

IT化が加速度的に進む現代において、IT人材の重要性は年々高まっています。システムエンジニアなどのIT系の職種は、今後も安定した需要が見込まれます。

▼システムエンジニアに向いている人

好奇心旺盛で学習意欲が高い人

好奇心旺盛で学ぶことが好きな人は、システムエンジニアに向いています。IT技術は日進月歩なので、常に新たな知識を習得しながら技術を磨いていく必要があります。また、システムエンジニアのキャリアは、プログラミングやテストの担当からスタートして、少しずつステップアップしていきます。その都度、新たな業務について学ぶ意欲が求められるのです。

変化に対応できる人

日々目まぐるしく変化するIT業界においては、常に最新のIT技術に対応して新しい方法を取り入れる柔軟さが重要になります。また、システム開発では突発的なトラブルが起こりがちなので、迅速な復旧のために臨機応変な対応力も求められるでしょう。

体力と忍耐力がある人

一般的に、システムエンジニアは業務量が多いと言われています。ときにはタイトなスケジュールで作業を終わらせなければならず、長時間労働の激務になる場合もあるかもしれません。体力と忍耐力があり、ストレスを上手に解消できる人はシステムエンジニアに向いているでしょう。

コミュニケーション能力が高い人

システム開発はチームで行う仕事です。フルリモートであっても、チームメンバーとコミュニケーションを取りながら作業を進めなければなりません。システムエンジニアは、チームの中でも中核を担う職種なので、自分の作業だけでなく、周りの状況も確認しながら仕事ができる人に向いているといえます。

・カウンセラー

カウンセラーは、人間関係の悩みや仕事上の心理的負担に寄り添い、心の健康を取り戻すためのサポートをする職業です。オンラインで相談対応が可能なので、フルリモートワークに適しています。

近年は、職場でのパワーハラスメントやセクシャルハラスメントなどに対して厳しい目が向けられるようになり、それに伴いメンタルヘルスの重要性も高まっています。企業が率先して社員の心の健康に配慮することが求められ、2020年6月1日に施行されたパワハラ防止法ではハラスメントの相談窓口設置が義務化されました。これにより会社内でのカウンセラーの需要は増えていると考えられます。

また、カウンセラーは、企業内だけでなく学校や病院、児童相談所、家庭裁判所などさまざまな場所で必要とされています。カウンセラーを名乗るのに必須資格はありませんが、臨床心理士や公認心理士の資格を勤務条件としているケースが多くあります。

▼カウンセラーに向いている人

人の話に耳を傾けられる人

カウンセラーに大切なのは、相談者の話にしっかりと耳を傾けることです。悩みを聞き出そうと質問を繰り返してばかりいては、相談者との信頼関係は構築できません。辛抱強く話を聴きながら少しずつ心を開いてもらうことで、相談者の心も軽くなるのです。

距離感を考えられる人

カウンセラーが相談者に感情移入し、踏み込み過ぎてしまうと、相談者はカウンセラーに依存してしまいます。問題解決に動くのはあくまでも相談者自身なので、適度な距離を保ちながらサポートしていくことが大切です。

「人」に関心がある人

カウンセラーは、常に「人」と向き合い続ける仕事です。そのため、人に関心があることが前提となります。薬を処方して病気を治す医者とは違い、相談者に寄り添い悩みに共感しながら心の傷や痛みを癒していくのです。

まとめ

リモートワークは、働き手にとってはもちろん、企業にとっても数多くのメリットがある働き方です。フルリモートワークができる職業は限られていますが、近年は働き方の多様化が進んでいるので、これからも続々と増えていくことでしょう。求人もさまざまなものがあるので、自分に合っているかもと感じる職種があったなら、ぜひチャレンジしてみましょう。