フルリモートワークの課題とは? 便利ツールや企業の取り組みもご紹介

新型コロナウイルスの流行により、リモートワークは急速に広がりましたった。しかし、その導入にはさまざまな課題があるとされています。そこで今回は、企業がフルリモートワークを導入する上での課題やおすすめのITツール、さらにリモートワークを導入している企業の事例を紹介します。
フルリモートワークの課題解決に役立つ! ITツールと先進企業の取り組みをピックアップ
リモートワーク(テレワーク)の実施状況
まず、国内のリモートワーク(テレワーク)の実施状況を確認してみましょう。総務省の「令和3年版情報通信白書」では、民間企業によるテレワーク実施状況を公表しています。
東京商工リサーチが企業を対象に実施した調査によると、2020年3月上旬は17.6%だったテレワーク実施率は4月17日に1回目の緊急事態宣言が発令された後は56.4%へと上昇。緊急事態宣言解除後はいったん低下し、2021年1月18日に2回目の緊急事態宣言が出ると38.4%と再び上昇に転じました。数値の動きから、緊急事態宣言解除後に、通常の勤務体制に戻した会社が多いことがよくわかります。
フルリモートワーク導入における企業の課題
緊急事態宣言が解除されると同時にテレワーク実施率が下がったのは、実施においてさまざまな課題があったからかもしれません。フルリモートワーク導入における企業側の課題を解説します。
1.人事評価制度の見直しが必要になる
在宅勤務中心となると、業務に対する意欲やプロセスなどを確認するのが難しいため、評価基準を成果重視型に見直す必要があります。なかなか成果が上げられない社員に対するフォローもしづらく、従来の人材育成・研修制度では思うように人が育たない可能性もあります。
2.コミュニケーション不足になる
社員同士のコミュニケーションが希薄になってしまうのも、フルリモートワークの課題です。同じ空間にいれば気軽に雑談ができますが、チャットツールなどオンライン上のみで連絡をしていては、業務に関係のない話を突然持ち出すのは難しいでしょう。コミュニケーションを深めるため、雑談がしやすい仕組みを意識的につくる工夫が必要です。
3.社員のモチベーション管理が難しい
コミュニケーション不足になると、社員のメンタルケアが遅れる可能性があります。さまざまな事情でモチベーションを維持できない社員がいたときに、気付くのが遅れると適切なサポートができないかもしれません。定期的な面談を実施するなど、メンバーとの対話の時間をとるように心がけることが大切です。
4.情報漏えいのリスクが高まる
自宅やコワーキングスペースでパソコンの画面を開くと、企業の機密情報が第三者の目に触れるリスクが高まります。ディスプレイにのぞき見防止フィルターをつける他、ルールの確立やセキュリティ研修の実施が必要です。
フルリモートワークに役立つITツール15選
フルリモートワークにはさまざまな課題がありますが、便利なツールを利用することでリスクの軽減や効率化が可能になります。企業がフルリモートワークを導入する際、よく利用されるITツールを紹介します。個人利用できるツールも多くあるので、事前に操作性や特徴を知っておくと、リモートワークに役立ちます。
・Web会議システム
Zoom(ズーム)
世界中で利用されているWeb会議システムです。Zoomの1番の特徴は、大人数が接続しても安定して使えることでしょう。デバイスや環境によって異なりますが、1回あたりのデータ通信量が比較的少なく、1時間の利用で約200~400MBなので、音声や映像が乱れにくいのです。
Zoomには、ビジネス利用に役立つ下記の機能が搭載されています。
・画面共有機能
・チャット機能
・レコーディング機能
・ブレイクアウトルーム機能
※ミーティング参加者を少人数のグループに分けられる機能
・ホワイトボード機能
これらの充実した機能のおかげで、会議室に集まるのと同じような感覚でミーティングができます。通話時間が40分以内であれば無料で利用できるという手軽さも魅力です。有料プランは参加可能人数やサポート体制の違いがある3種類から選べます。
ベルフェイス
ベルフェイスは、インサイドセールスに特化しているWeb会議ツールです。ホスト側がベルフェイスを導入していれば、ゲスト側はインストールやログイン不要で、インターネットにアクセスするだけで誰でもすぐに使えます。ベルフェイスの特徴は、映像はインターネット回線・音声は電話回線という仕組みで、もしインターネット回線が不安定でも音声はつながったまま会話を続けられます。
ベルフェイスには、営業活動に特化したオンライン機能が搭載されています。
・シンクロプレゼンテーション機能
・デジタル名刺の自己紹介機能
・トークスクリプト機能
・共有メモ機能
・セールスフォース連携機能
特に、セールスフォース連携機能は営業担当者の手間を減らせるので、営業効率のアップが期待できます。さらに商談をスムーズにするだけでなく、内容を振り返って改善点の洗い出しなどができるので、営業力の強化にも活用できるWeb会議ツールといえるでしょう。
Google Meet
Googleのサービスを使うことが多いのであれば、Web会議システムにもGoogle Meetを利用するのがおすすめです。ブラウザ上で利用可能で、参加者側はGoogleアカウントを保有していなくても接続できます。Googleカレンダーからミーティングに直接飛ぶことができ、リマインダー設定も可能なので、会議時間をうっかり忘れるといったミスが防げます。
Google Meetの主な機能は、次の通りです。
・ノイズキャンセル機能
・ホワイトボード機能
・自動字幕起こし機能
・アンケート機能
・Q&A機能
Google と同じインフラで運用されているため、セキュリティ基盤も信頼できる点もポイントです。
・ビジネスチャットツール
Chatwork(チャットワーク)
Chatworkは、最もメジャーなビジネスチャットツールの一つです。個別チャット、グループチャットだけでなく、メモ代わりに使える「マイチャット」も利用できます。また、「話した方が早そうだ」と思ったら、すぐにビデオ通話や音声通話に切り替えられるのも魅力です。
Chatworkでのファイル管理は、チャット上部のアイコンからワンクリックで当該チャット内にアップロードされたファイルの一覧を確認できます。過去のファイルを探す手間が省けるので、ファイルのやりとりが多い人にはうれしい機能です。
さらに、チャットウィンドウ内でタスクの作成や編集も可能なので、タスク管理ツールとしても使えます。チャット上でやりとりした内容をすぐにタスク化し、グループメンバーで共有できるので、連携がとりやすいと評価を得ている機能です。
Slack(スラック)
Slackはコミュニケーションツール機能に加えて、チームで連携しながら仕事を進めるのに最適な設計となっています。例えば、相手がメッセージを入力しているときに「〇〇が入力中です」と表示が出るので、自分のメッセージを送るタイミングが計れます。さらに、ステータスやログイン状態が見られるようになっていて、メンバーの状況が把握しやすいシステムです。
また、Slackの特徴は、多くの外部サービスと連携できることといえるでしょう。Googleドライブ、Googleカレンダー、Dropbox、Trello、Skype、Zoom、Twitter、セールスフォースなど、普段使っているさまざまなツールがSlack上で利用可能です。
メッセージやファイル検索機能にも優れていて、日時やメンバーでフィルターをかけられるので必要な情報をすぐに探せますよ。
LINE WORKS
LINE WORKSは、プライベートで利用しているLINEと同じように使える、ビジネス版のLINEです。モバイルでの利用に最適化されていますが、パソコンでも同じ機能が使えます。
外部トーク連携の機能があり、LINE WORKSユーザーが社外のLINE WORKSユーザーや一般のLINEユーザーとつながってトークすることができます。もちろんファイル共有も可能なので、安全でスピード感のある情報共有が可能です。
2020年4月からは社内連絡や情報共有に便利な掲示板機能(ホーム機能)が追加され、リモートワークなどの多様化する働きやすさに合わせた仕様になりました。掲示板のコメント欄にはメンションがつけられるので、連絡の確認漏れも防止できます。
Microsoft Teams
マイクロソフト社が提供するビジネスチャットツールです。Microsoft Teamsは、分かりやすい操作性で誰でも簡単に利用できます。
Office365との連携も可能で、例えば、Outlookの予定表で会議通知を送信したり、Teams上でPower PointやExcelなどのOfficeファイルを共同編集したりできます。そのままOfficeファイルの管理場所として使えるのは、マイクロソフト製品ならではといえるでしょう。
Microsoft Teamsには、30以上の言語翻訳機能が搭載されているので、グローバルな企業でも問題なくコミュニケーションがとれます。また、「イマーシブリーダー機能」を使えば文字の読み上げが可能で、再生速度や男女の音声なども選べます。画面の文字サイズやフォントを変更でき、自分が見やすいようにカスタマイズできるのもうれしいポイントです。
・勤怠管理ツール
ジョブカン勤怠管理
クラウド勤怠サービスのジョブカン勤怠管理は、誰でも簡単に使えるツールとして定評があるので、ITツールの利用に不安がある人も安心です。出勤・退勤の打刻は、ICカード、指静脈認証、モバイルGPS、LINE、Slackなどさまざまな方法ででき、出社とリモートワークの両方に対応しています。
打刻だけでなく、シフトの申請・承認や工数管理、超過労働対策など多くの機能を搭載しており、労務管理にかかる工数を一気に減らせるでしょう。管理画面はカスタマイズ性に優れており、項目の表示・非表示は切り替えスイッチひとつでできます。従業員も管理者も手軽に使えるのが、ジョブカン勤怠管理の最大の魅力といえるでしょう。
勤革時(きんかくじ)
勤革時は、10年以上前から提供されているクラウド型の勤怠管理システムです。クラウドシステムなので、パソコンとスマートフォンだけで使え、いつでも最新の勤怠状況を確認、集計可能です。
初期費用0円で利用でき、ランニングコストは打刻した人数×300円という低料金も大きな魅力でしょう。低価格でも、24時間365日のログ監視体制を整えていて、セキュリティ面も安心です。データセンターが災害にあった際にも稼動できるよう、2拠点体制で万が一にも備えられています。
勤革時で計算された勤怠情報は「SMILE」などの給与システムへ取り込むことができ、労務管理業務の手間を軽減できます。
Universal勤次郎(きんじろう)
Universal 勤次郎は、管理部門だけでなく組織全体の効率化を目指して開発された、次世代就業管理システムです。医療、運送業、介護、製造業など60種類以上の業種やさまざまな職種・雇用形態に対応していて、幅広い企業が利用しています。
勤務シフトのパターンは最大4万6000通りの設定ができ、Excelで作成したシフト表の取り込みやスマートフォンからのシフト希望日入力にも対応しています。出勤人数、時間、人件費などを確認しながらシフト作成できるので、適正な人員配置が可能になるでしょう。★
さらに、勤務に関わる申請だけでなく、補助費や各種手当など企業独自の任意項目を100種類までワークフロー化できます。給与システムの「SMILE」とのシームレスな連携も可能なので、給与計算の工数を大幅に削減できるでしょう。
・オンラインストレージ
Google One
Google Oneは、GoogleドライブやGmailなどのGoogleアカウントを利用するサービスの容量を増やせる有料プランです。Googleアカウントを作成すると無料で15GBのクラウドストレージが利用できますが、各種サービスを利用していると追加の必要性に迫られることもあるでしょう。有料版には3つの容量が設定されており、100GBなら月額250円から利用できます。2TBでも月額1300円と、コストパフォーマンスの良さが魅力です。
リモートワークでは、WordやExcelの代わりにクラウド上で作成・編集できURLのみでメンバーと共有できるGoogleドキュメントやスプレッドシートを利用することが多いでしょう。Googleドキュメント、スプレッドシート、スライド、フォームで作成したデータはストレージの使用容量に含まれません。その他のファイルをGoogleドライブに保存することが多い人やGoogleフォト・Gmailを仕事用として使い続けたい人は、有料プランを検討しましょう。
Google Oneは強固なセキュリティで守られているGoogleのデータセンターを利用しているので、安心して利用できます。
Dropbox Business
使い勝手とコストパフォーマンスに優れたDropboxの企業向けプランです。Standardは5TBで1ユーザーあたり月額1500円、Advancedであれば必要に応じた容量で高度な管理ツールを月額2400円で利用できます。
個人向けのDropboxと異なり複数のメンバーでの利用が前提なので、部署単位やプロジェクトごとにメンバーを分けてのファイル管理が可能です。また、ファイルの利用状況を監視する機能もあり、メンバーがDropbox上で行った行動はすべて「アクティビティ」として記録されます。管理者はメンバーや日付を絞ってアクティビティを確認できるため、適正なファイル管理が可能です。
さらに、デバイスを紛失した際にはDropboxを自動で削除する遠隔削除機能もあり、情報漏えいのリスクを軽減できます。
Box
Boxは、無料プランであれば10GBまで、Businessプランなら1ユーザーあたり月額1800円で容量無制限の利用ができるオンラインストレージです。アクセス制限が最大で7段階まで設定でき、セキュリティ強化に加えて予期せぬ削除・編集などのトラブルが防げます。
1400を超えるアプリと連携可能なため、チャットツールと連携して利用すれば安全でスピーディーなファイル共有が可能です。また、メンバーがBox上で行った作業はログとして保存され、レポートがエクセル形式でダウンロードできます。
「Box Sync」というツールを利用すれば、デスクトップとBoxを同期させてフォルダやファイルをオフラインで編集できるのも便利なポイントです。
・人事評価システム
あしたのクラウドHR
あしたのクラウドHRはクラウド型の人事評価システムで、充実した集計・分析機能が搭載されています。AIを活用して目標設定の修正点を自動で指摘してくれる機能や、評価モニタリング機能があり、公正な人事評価が可能になるでしょう。
評価シートは企業ごとの評価制度に合わせて細かくカスタマイズでき、面談記録から給与決定までの一連のフローを一貫してシステム上で行えます。また、システムの整備だけでなく、人事評価制度の構築において豊富なノウハウを持つコンサルタントによる対人型サポートも実施しています。人事のプロとして、ユーザーに寄り添った手厚いサポートが受けられる点が魅力です。
カオナビ
カオナビは、スタッフの情報を顔写真とリンクして一元管理できるシステムです。キャリア、実績、スキルや特技などさまざまな情報が登録でき、さらに組織図にも社員の顔写真が自動で入ります。組織図はドラッグアンドドロップで顔写真ごと移動できるので、人事異動のシミュレーションがスムーズになるでしょう。
評価制度のテンプレートは複数のタイプが付属していて、さらに自由にカスタマイズすることもできます。パソコンだけでなくスマートフォンでも利用しやすく、承認や却下などさまざまな操作がドラッグアンドドロップでできる優れた操作性も高評価です。
複雑になりがちな人事関連システムを直感的に操作できるのが、カオナビの強みといえるでしょう。
リモートワークを導入している企業10選
リモートワークに対してさまざまな取り組みを行っている企業を10社紹介します。新型コロナウイルス流行を機に導入した企業もあれば、創業時からフルリモートだった企業もあります。各社の事例を参考に、新しい働き方をイメージしてみましょう。
サイボウズ株式会社
サイボウズ株式会社は、「チームワークあふれる社会を創る」という企業理念のもと、チームワークを支援するためのグループウェアを開発している企業です。10年前より段階的にリモートワークを導入し、試行錯誤を繰り返してきました。
社員の声を聴きながら、働きやすさと企業の生産性の両立を目指しており、2012年に在宅勤務を含めた9つの分類から選ぶ「ウルトラワーク制度」をテストスタートしました。現在は、働きたい場所と時間を自由に申告できる「働き方宣言制度」を行っています。
安全で快適なリモートワーク実施のために、グループウェアやチャット、Web会議システムなどですべての情報をオンラインで確認できるオフィス環境を整備。その他、ガイドラインの作成・周知やディスク暗号化、パソコンの二段階認証といったセキュリティ対策など、さまざまな取り組みをしています。
GMOペパボ株式会社
GMOペパボ株式会社では、2020年6月より、全従業員に対してリモートワークを導入しています。2021年12月時点での全拠点におけるリモートワーク率は77.3%。以前よりフレックスタイム制の導入やWeb打刻システムの利用などで、多様な働き方への対応をしてきました。
リモートワークに対する取り組みとして、SaaSを積極的に活用し、あらゆる業務をどのような場所からでも遂行できる業務プロセスを整えています。さらに、積極的に社内イベントを実施しており、自社の企業文化を体感するとともに、「リモートワークの課題」と言われるコミュニケーション不足の解消にも取り組んでいます。
また、リモートワークを実施する社員に対しては、デスクやチェアの購入に当てられる「リモートワーク補助金」や光熱費や通信費を補助する「リモートワーク手当」を支給しています。リモートワークでは家庭の出費が増えがちなので、とても有り難い取り組みですね。
freee株式会社
Freee株式会社は、法人・個人事業主向けクラウド型サービスの開発や運営を行っている企業です。2020年3月、全国一斉の休校要請を受け、経営者判断で全社リモートワークを開始しました。しかし、メンバーとの一体感を大事にしてきた経営者にとって、これまでの企業文化を失うのではとの懸念もあったそう。
そこで、オンラインで自己紹介を楽しみながら新卒社員を迎える「入社式」ならぬ「New社式」や記念日イベントなどをオンラインで実施。例年は泊まりがけの合宿型で開催していた、年に1回の全社ミーティングも2020年はオンラインで開催しました。500人参加とかつて経験のない規模のイベントとなりましたが、バーチャル空間を駆使して能動的に参加できるビデオ通話サービス「Remo(リモ)」を使い、議論しやすい環境をつくりました。
Freee株式会社は、リモートであっても相互コミュニケーションを重視し、カルチャーづくりに真剣に向き合っている企業といえるでしょう。
株式会社あしたのチーム
株式会社あしたのチームは、人事評価制度や給与を決める仕組みづくりを提供している企業です。2018年の「第3回ホワイト企業アワード」では、テレワーク部門において大賞を受賞しました。
受賞時点では、サテライトオフィスと本社・支社間でリモートワークを実施しており、内勤で完結する業務とそれ以外を分業。残りのリソースを営業などへと傾けて生産性アップを図ると同時に、首都圏の一極集中から脱却して地域の雇用創出に貢献することを目指しました。
現在はリモートワークと出社のハイブリット型とフルリモートワークを実施しており、ハイブリット型の場合はリモートワークか出社かを都度選択できます。それぞれの事情に合わせた柔軟な働き方ができる企業です。
株式会社ソニックガーデン
株式会社ソニックガーデンは、ソフトウェアの受託開発や自社製品のクラウドサービスを提供している企業です。2011年よりリモートワークを導入し、2016年にはオフィス出社を撤廃して全社員がフルリモートワークとなりました。
自社開発のバーチャルオフィス「Remotty(リモティ)」を利用し、オフィス出社と変わらないような仕事環境を実現。PCのカメラで自動撮影された画像が2分間隔で共有され、メンバーの様子が確認できる仕組みになっています。自宅を撮影されたくない人向けにバーチャル背景を使用したり、画像の共有ではなく在籍状況をカメラ判定して表示したりも可能です。社員同士が雑談や相談するための専用グループスペースを作成し、コミュニケーション不足にも配慮しています。
また、セキュリティマネジメントツールを自社開発して、セキュリティ対策漏れを防ぐ工夫をするなど、技術的な強みをフルに活かしながらリモートワークの課題と向き合っている企業です。
株式会社ロコタビ
株式会社ロコタビは、海外在住の日本人(ロコ)が旅の手伝いをしてくれるWebサービスを運営している企業です。「全員がロコのように『場所』『時間』にとらわれない働き方をしよう[野添2] 」とtのミッションを掲げ、2015年の創業時から全員がリモートワークを実施しています。
家族で瀬戸内海の離島に移住したエンジニアや世界中を旅しながらイベントを開催している広報担当者など、メンバーは世界中に点在し、最大時差は14時間にもなります。ビジネスコミュニケーションツールのSlackを活用し、雑談「以外」禁止というチャンネルを作成するなどしてメンバー間の関係構築を図っています。
また、世界中にメンバーがいることで海外の情報が手に入りやすいため、世界の新型コロナウイルス情報を随時発信する取り組みも行っていました。
ケアコラボ株式会社
ケアコラボ株式会社は、スマートフォンでケア記録が管理できる「ケアコラボ」を提供し、福祉現場のICT化に寄与している企業です。営業やユーザーサポートなどすべての社員がフルリモートで働く独自のスタイルを確立しています。
「ICTを通じて福祉の現場で働く人たちを応援する」というミッションを掲げ、ケアコラボのユーザーにもリモートでアプローチ。リモートに慣れていないユーザーにはテレビ会議の使い方から丁寧に教え、ユーザーと共にリモートで福祉の現場を変えていこうと取り組んでいます。
社員同士はお互いを管理しすぎない関係で、離れた場所で仕事をしていてもそれぞれがやるべきことを遂行していく風土が根付いている企業です。
株式会社Everforth
株式会社Everforthは、次世代型マーケティングプラットフォームの開発をしている企業です。「好きな時間に、好きな場所で、好きなことをする」をコンセプトに、フルリモートに限らず、勤務時間、国籍、雇用形態などすべてにおいて多様性を認める、自由度の高い働き方を実現しています。
フルリモートを推奨しているというわけではなく、「働き方を選べる自由」を尊重していて、さまざまな雇用形態がありながらもお互いの関係はとてもフラット。雇用形態が異なるメンバーも同じチャットワークに入り、積極的にコミュニケーションをとっています。
ひとりひとりが異なるからこそ柔軟な考え方を持つことが根付いている、先進的な企業です。
株式会社ラクロー
株式会社ラクローは、PCログを利用した勤怠管理サービス「ラクロー」を開発・運用している企業です。採用活動からリモートで実施し、通勤なしのフルリモートやコアタイムのないフルフレックスタイム制など、時間や場所に縛られない柔軟な働き方を実現しています。
出社と変わらない職場の雰囲気づくりのためにバーチャルオフィス「Remotty」を利用し、入社前にはオンラインの社内見学も開催。社内がどのような雰囲気なのかを遠隔地からも確認できます。
短時間勤務として入社し、その後フルタイムへと変更した社員もいます。子育て中の人やさまざまな事情がある人にも柔軟な対応をしており、ライフステージに応じた働き方を一緒に考えてくれる企業です。
Chatwork株式会社
Chatwork株式会社は、ビジネスチャットツール「Chatwork」を開発・運営している企業です。起業時から東京と大阪にメンバーがいたため、オフィス間でのリモートワークは早期から実施していました。
新型コロナウイルス流行による緊急事態宣言後、全員がフルリモートワークになった際には、社員のメンタルケアのために気軽に1on1の面談を依頼できる仕組みを整えました。Googleフォームで誰でも申請できて、不安や心配事などをすぐに相談できます。さらに、全社朝礼でメンタルを自己管理するための知識を共有し、徹底して社員のメンタルケアに努めました。
新入社員が会社の雰囲気をつかむために、オンラインで社長と一緒にランチを食べながらさまざまな質問ができる「ウェルカムランチ」も実施。任意参加の「Remo」を利用したオンラインランチを毎日開催するなど、コミュニケーション不足解消の取り組みも積極的に行っています。
まとめ
リモートワークは、新型コロナウイルスの影響もあり、メディアで取り上げられることも増えました。最近では、早くからリモートワークが浸透していたエンジニアやデザイナー以外の職種の募集も、求人サイトに多く掲載されるようになりました。しかし、フルリモートワークを導入するには、コミュニケーション不足やセキュリティリスクなど多くの課題があるのが現状です。
そのような中でも多くの企業で、課題と誠実に向き合いながら快適なリモートワークを追求しています。新たな生活様式が求められる時代において、このような企業の取り組みは、今後も普及・発展していくでしょう。
リモートワークの仕事探しにおいて、「先進的な取り組みをしている企業」という視点を取り入れてみてはいかがでしょうか。