テレワークできる企業の特徴とは? 在宅勤務ができる会社の探し方を解説!

リモートワークができる企業の数は増加傾向にありますが、どのような会社で在宅勤務を導入しているのでしょうか。在宅勤務ができる会社へ転職しようと検討している方へ、在宅勤務を導入している企業の特徴や仕事の探し方を紹介します。

在宅勤務ができる会社に勤めるには? リモートワークに適した業種や職種に絞って転職しよう

在宅勤務ができる会社の業種と導入事例

在宅勤務ができる会社の業種と導入事例

総務省が発表した「通信利用動向調査」のテレワーク導入状況の推移によると、2019年には20.1%だったテレワークの導入率が2020年には47.4%と倍増しています。「今後導入予定である(10.6%)」という企業を加えると、半数を超える企業がテレワークを導入もしくは導入予定という結果です。では、実際にどのような会社で在宅勤務(テレワーク)を導入しているのでしょうか。

 

・在宅勤務ができる会社の業種とは

在宅勤務ができる会社の業種は、情報通信業(IT系)・製造業(メーカー)・金融業・広告業などが挙げられます。それらの業種の特徴は、パソコンやインターネット環境が整っていれば業務を進められる点です。「在宅勤務」が転職の優先条件であるなら、これらの業種の求人を検索するとよいでしょう。

2020年時点で47.4%の企業が在宅勤務を導入しているといっても、簡単に在宅勤務の求人を見つけられるわけではありません。業種や職種によっては、在宅勤務の導入率が10%にも満たない場合があります。

日本社会全体での在宅勤務の導入率がどれだけ上がっても、在宅勤務で働くのが難しい業種や職種は存在します。在宅勤務ができる会社への転職を希望するなら、在宅勤務の導入率が高い業種に絞って検討するのがおすすめです。

また、在宅勤務の導入率が低い小売業、外食産業などの業種であっても、部署や担当する業務によっては在宅勤務が導入されている可能性があります。その場合は事務やシステムエンジニア、営業など、在宅勤務をしやすい職種を選ぶとよいでしょう。

 

・在宅勤務の導入事例

在宅勤務を導入している企業の考え方や背景はさまざまです。実際に在宅勤務(リモートワーク)を導入している会社を紹介します。

サイボウズ株式会社

クラウドサービスのkintone(キントーン)などを開発・販売するサイボウズ株式会社は、2010年からリモートワーク導入に取り組んでいます。「100人いれば100通りの働き方」があることを前提としており、業務コミュニケーションに自社サービスを導入するなどして、円滑な在宅勤務を実現しているのが特徴です。在宅勤務手当の支給し、在宅勤務で必要なツールは基本的に会社が負担するなど、多様な働き方を求める社員のための労働環境を提供しています。

カルビー株式会社

スナック菓子メーカーのカルビー株式会社は、2014年から在宅勤務制度を導入している企業です。2020年7月以降はオフィス勤務者のモバイルワークを原則とし、出社率30%を目指すなど、ニューノーマルな働き方を推進しています。

また、モバイルワークによる業務に支障がない社員は単身赴任を解除し、通勤定期代支給の廃止と通勤手当の実費支給、モバイルワーク手当として必要経費を一部補助するなど、社員がスムーズに在宅勤務へ移行できるよう配慮しています。カルビー株式会社では社員同士も積極的にコミュニケーションを工夫しており、Web会議ツールをつなげたまま仕事をしたり、雑談やランチタイム、勉強会をオンラインで実施したりと、自分事として取り組んでいます。

資生堂株式会社

化粧品メーカーの資生堂株式会社は、多くの女性が活躍する企業です。コロナ禍以前から在宅勤務やフレックスタイム制度、オンライン会議などを導入しており、社員が働く時間や場所を自由に選択できる体制を整えています。

働く女性が抱えやすい問題には、育児や介護などライフイベントによる環境の変化がありますが、資生堂株式会社では、ライフイベントに関わらずキャリアップできる制度も多数導入しています。

在宅勤務ができる会社の特徴とは

在宅勤務ができる会社の特徴とは

東京オリンピック開催時の渋滞緩和を目的として国と都が積極的に在宅勤務を推進したり、新型コロナウイルスの感染拡大により緊急事態宣言が発令されたりしたことで、在宅勤務を導入する企業は劇的に増加しました。しかし、コロナ禍が落ち着きつつある2023年においても、多くの企業が在宅勤務の導入・展開をし続けています。在宅勤務の導入を進め、定着させている企業の背景と特徴を紹介します。

 

・企業規模が大きい

総務省が発表した「通信利用動向調査」(2021年調査)によると、企業規模が大きいほどテレワークの導入率が高い傾向にあります。テレワークの導入率は企業全体で51.9%であるのに対し、資本金50億円以上の企業が93.4%、10億円以上の企業が91.6%、5億円以上の企業が88.8%となっています。

社員が自宅で仕事をするための環境を整備するには、経済力も必要です。大手企業であれば在宅勤務を導入するための資金が潤沢にあり、在宅勤務の計画から実行までを早急に行えるのでしょう。

また、企業規模が大きくなると事業運営に必要な部署や人員も増加します。企業の事業内容そのものがテレワークに適していなくとも部署によっては在宅勤務を導入できるので、大手企業は在宅勤務を取り入れやすいといえます。

 

・社員のワークライフバランスを重視

社員のワークライフバランスを重視している企業は、積極的に在宅勤務制度を導入しています。在宅勤務が可能になることで、ライフイベントによって社員が抱える問題を解決できるからです。例えば、育児や介護の負担がある方は、通勤時間と労働時間合わせて10時間ほど家を空けることは大きな負担でしょう。

「育児や介護などにより自宅にいる必要があるけれど仕事はしたい」と希望する働き手に対し、多様なニーズに応じることが企業に求められています。例えば、輸送用機器メーカーの本田技研工業株式会社(ホンダ)では、在宅勤務以外にもフレックスタイム制度、企業内部託児所、時短勤務など、さまざまな対応策が導入されています。

企業に勤める社員は、20代・30代・40代……と年齢を重ねるごとにライフイベントが発生し、場合によっては仕事かプライベートかを選ばなければならないほど環境が変わることを避けられません。在宅勤務制度を導入する企業は、「ライフステージが変化しながらも働き続けたいと希望する社員が、無理なく働き続けるには」という課題へのひとつの解答として、在宅勤務ができるように勤務体制を整備しています。

 

・コスト削減を目指す

在宅勤務により、さまざまなコストを削減できます。

・印刷代、紙代
・通勤のための時間、通勤交通費
・人員削減によるオフィスの家賃 など

在宅勤務になると情報共有の主な手段が画像や動画などのデータになり、印刷代や紙代をカットできます。また、紙やインク、プリンターなどを保管するためのスペースも不要です。

社員が通勤しなくなることで、通勤費削減にもつながります。通勤の必要がなくなると、通勤ラッシュや渋滞の緩和につながり、SDGsの目標である「持続可能な都市」に貢献できる点もメリットです。

出勤する社員の数を減らせば、オフィスのスペースをカットでき家賃削減にもつながります。反対に、人員を増やしたいと考えていてもオフィスのスペースが足りず実現が難しかった企業では、在宅勤務の導入によりオフィスはそのままに人員増加を実現できるでしょう。

在宅勤務を導入する企業は、コスト削減による自社の利益に加えて社会全体への貢献度も考えられています。社会貢献を考えている会社は、社員の働きやすさにも目を配れる会社であり、働きやすさを感じられるでしょう。

 

・事業継続計画で不測の事態に備えている

在宅勤務を導入する企業は、事業継続計画についても対応している会社といえます。在宅勤務を導入することで、震災など予測不可能な災害による事業停止のリスクを減らすことが可能です。社員を1か所に集めて仕事をしていると、自然災害・事故・感染症などにより企業全体が大きな損害を受けるリスクがあります。

在宅勤務を導入し社員がそれぞれ別の環境で働いていれば、不測の事態により一部が損害を受けても事業を継続させることが可能です。リスクヘッジを考えておくことは、企業の事業継続だけでなく社員の生活を確保することにもつながります。在宅勤務を導入する企業はあらゆるリスクに備えており、企業や社員を守る意識が強い会社といえるでしょう。

 

・優秀な人材確保と労働生産性への対応

日本社会全体の労働人口は減少傾向にあり、優秀な人材を確保することは企業にとって大きな課題です。また、人材を確保した後には長く企業で働いてもらうために、離職防止を働きかけなければなりません。在宅勤務を導入する企業は、優秀な人材を確保することに重きを置き、労働生産性向上について計画的な会社といえるでしょう。

在宅勤務は柔軟な働き方ができるようになる点がメリットであり、企業の魅力がアップするので人材確保につながります。例えば、本来なら採用が難しかった遠方にいる人材や介護で自宅から離れられない人材も採用できる機会が増加します。通勤が難しいエリアに住む優秀な人材を確保し、ワークライフバランスが取りやすい在宅勤務で働いてもらうことにより、労働生産性の向上が期待できます。

在宅勤務ができない会社の特徴

在宅勤務を導入する企業が増加していますが、企業によっては在宅勤務の導入が難しいケースもあります。在宅勤務を導入していないからといって、決して、社員のワークライフバランスを考えず、生産性向上をないがしろにしている会社だというわけではありません。職種によっては在宅勤務の導入が難しいのが現状です。在宅勤務を希望するなら、転職活動時に「在宅勤務が難しい仕事」を選ばないようにしましょう。

 

・現地にいる必要がある仕事

飲食店・銀行窓口などでお客様と直接やり取りをする仕事や工事・製造など現地で作業をする仕事は在宅勤務ができません。近年、小売業や外食産業ではセルフレジや配膳ロボットの導入により、人材不足の問題を解決している企業も多数あります。しかし、すべての業務を機械に頼ることは難しく、接客業は今後も現地への出勤を求められるでしょう。

製造業でも、業務内容によってはオンライン対応が可能です。しかし、すべての仕事がオンライン化できるものでもなく、現地に出向く職種の場合、完全在宅勤務は難しいでしょう。

 

・情報漏えいのリスクが大きい仕事

情報漏えいのリスクが大きい仕事は、在宅勤務には適していません。例えば、病院のカルテを扱う仕事、未発表商品の情報を扱う仕事などは、在宅勤務を導入するにあたり強固なセキュリティ対策が求められます。

今後、在宅勤務の導入率が上がることにより、セキュリティ対策の方法もより強固で安心できるものに変わっていくことでしょう。しかし、企業で情報を管理する方が個人に任せるよりも強固なセキュリティで情報を守れるのは確かなことです。今後も、情報漏えいのリスクが大きい仕事は出勤を求められるでしょう。

しかし、在宅勤務に適していない業界の会社であっても、対面でする必要がない事務や社内システムエンジニアなどは在宅勤務が可能です。特に大手企業であれば、部署によっては在宅勤務を積極的に導入しています。気になる業種が在宅勤務に適していないとしても、企業内の部署単位で在宅勤務を導入しているかどうかを調べてみましょう。

リモートワークができる職種

リモートワークができる職種を6つ紹介します。最初から「在宅で働きやすい職種」に絞って転職活動をすれば、よりスムーズに内定へと進めるでしょう。

 

・システムエンジニア

システム開発をするシステムエンジニアは、在宅勤務で働きやすい職種です。システムエンジニアの仕事は、パソコンやインターネット環境が整っていれば業務を進められます。クライアントへのヒアリングやチームで仕事を進めるためのミーティングなどもオンラインで行えるので、完全在宅勤務も可能です。

システムエンジニアはIT系の知識が必要とされる仕事ですが、IT業界は人材が不足しており「未経験からでもOK」としている求人が多くあります。未経験からのスタートでも、初心者向けに講習やサポート体制を充実させている企業が多く、挑戦しやすいでしょう。

しかし、ある程度の知識を習得しておく方が採用されやすく、また就職後に仕事への理解がしやすくなります。システムエンジニアへの転職を目指すなら、スクールに通ってスキルを身につけておくとよいでしょう。オンラインのみで学べるEラーニングスクールもおすすめです。

 

・事務

パソコンとインターネット環境が整っていれば進められる業務の多い事務の仕事は、在宅勤務しやすい職種です。また、どのような業種の企業でも事務の仕事をする人材は必要とされるため、求人数が多く、さまざまな条件のなかから自分に合う求人先を見つけられます。

専門性の高い経理事務や貿易事務では、日商簿記やTOEIC900点以上などの資格を求められますが、一般事務の仕事では必須資格が特にない求人も多くあります。しかし、「資格不要」「土日祝日休み」「残業なし」など条件の良い事務の仕事は応募者も多くなり、倍率が高いでしょう。

「経験不問」としている求人でも、事務経験のある方や事務関連の資格を保有している方が有利でしょう。未経験から在宅勤務の事務の仕事を目指すなら、資格を取得したり社員登用ありのアルバイトから始めたりするのがおすすめです。

 

・Webデザイナー

Webデザイナーは、企業のWebサイトや商品紹介ページのデザインを作成する仕事です。Webデザインの仕事も、パソコンやインターネット環境が整っていれば進められるため、在宅勤務に適しています。

消費者が情報収集のためにインターネットを使用することが当たり前となった今、Webデザインで企業の理念やイメージ、魅力を伝えることが重要になっています。企業のイメージに合わせたWebデザインをつくる仕事は今後も需要が高いと考えられるので、これから在宅勤務に活かせる仕事を始めたい方は、Webデザイナーのスキルを取得するのもよいでしょう。

 

・テレフォンオペレーター、テレフォンアポインター

テレフォンオペレーター(テレオペ)やテレフォンアポインター(テレアポ)の仕事も、在宅勤務の求人を見つけられます。電話対応の仕事というと、コールセンターに出勤するイメージがありますが、パソコンやインターネット環境を整えることで在宅でも業務が可能です。

テレフォンオペレーターはお客様からの電話を受けるインバウンドの仕事であり、商品やサービスの問い合わせや申し込み、ときには苦情なども電話で対応します。一方のテレフォンアポインターは、自分から電話で発信するアウトバウンドの仕事です。お客様に電話をかけて自社の業務内容を紹介し、営業担当者とのアポイントメントを取り付けます。「電話営業」とも呼ばれる仕事なので、営業経験のある方やコミュニケーション能力が高い方におすすめです。

テレフォンオペレーターもテレフォンアポインターも、主にお客様と会話をする仕事です。在宅で働く際には、通話に適した静かな環境を用意する必要があるので、その点は注意しておきましょう。

 

・企業コンサルタント

企業コンサルタントは、企業の問題や課題を解決するために支援活動を行う仕事です。問題や課題を明確にするためのデータ分析、解決のための情報収集や資料作成などは、在宅でも対応可能です。クライアントとのやり取りも直接会わずにオンラインでもできるため、出社せず自宅でヒアリングを行えます。

企業コンサルタントになるために必須とされる国家資格などはありません。しかし、企業の問題解決をするためには、分析やアドバイスができる経験やスキルが求められます。

企業コンサルタントに活かせる資格として、「公認会計士」「税理士」「中小企業診断士」などが挙げられます。これらの資格を保有している方は、企業コンサルタントの求人を探してみましょう。

 

・営業

在宅勤務は事務の仕事などデスクワークのイメージが強く、「営業職は在宅勤務ができる」というのは意外かもしれません。確かに従来の営業活動はクライアントと直接会い、対面で行うものでしたが、商談はオンラインでも行うことができます。また、商談をオンライン化することで、交通費や時間の負担が大きかったエリアにも進出できるので、商圏の拡大が期待できます。

営業経験やコミュニケーション能力の高さを活用して在宅勤務をしたい方は、営業職の在宅ワークを探してみましょう。営業職は、比較的求人を見つけやすい仕事です。また、学歴や経験を問わない求人も数多くあり、初心者や未経験からでも始められます。

在宅勤務ができる働き方

在宅勤務で働けるのは、正社員に限った話ではありません。さまざまな働き方から、自分に合うスタイルを見つけましょう。

 

・正社員

在宅勤務の求人には、労働期間に制限のない正社員を求めるものも多数あります。企業により、「完全在宅勤務」「会議などにより一部出勤」「週に2回出勤」など、正社員の在宅勤務の頻度はさまざまです。なかには在宅勤務手当を支給している企業もあります。

正社員の在宅勤務は、給与や賞与、福利厚生など、収入・待遇が安定している点がメリットです。一方で、在宅勤務の頻度や期間の決定は企業に委ねられているので、必ずしも退職まで在宅勤務を続けられるとは限りません。

 

・契約社員

労働期間に定めのある契約社員も、在宅勤務ができる働き方です。契約社員は雇用期間に定めがある点がデメリットですが、さまざまな職種に挑戦できるメリットもあります。また、プライベートと仕事の予定を調整しやすく、アルバイトやパートよりも時給が高い傾向にあるため、ワークライフバランスを整えやすい働き方です。

「在宅勤務をしたいけれど、自分に合う仕事がわからない」という方は、契約社員からスタートして自分に合う仕事を見つけてみましょう。仕事の進め方や自身の適性を見極めてから正社員へとキャリアアップしていけば、転職でのミスマッチを防げます。

 

・派遣社員

派遣社員は派遣会社に登録し、派遣先の企業で仕事をする働き方です。派遣先の企業の仕事内容によって、在宅勤務で仕事ができます。

派遣社員のメリットは契約社員と同じく、さまざまな職種に挑戦できる点です。また、契約期間が完了しても、派遣会社から次の仕事探しのサポートを受けられるメリットもあります。デメリットは、1つの企業へ長く勤めることが難しい点です。しかし、派遣社員は自分のライフスタイルに合わせて仕事を選べるので、ライフイベントがあっても環境に合わせながら仕事を続けられます。

 

・アルバイト、パート

正社員と比較して短時間のみ働くアルバイトやパートでも、在宅勤務の仕事を見つけられます。人気があり倍率の高い事務の仕事は、アルバイトやパートから始めるのも1つの方法です。比較的採用されやすいアルバイトで実績を積み、正社員の求人に挑戦したり社員登用ありのアルバイトをしたりしてキャリアアップをめざしましょう。

アルバイトは時給制であることが多く、正社員・契約社員と比較して給与が低い点がデメリットです。しかし、正社員の求人などよりも採用されやすく、気軽に始められる点がメリットといえます。在宅勤務未経験で資格や実績がないという方は、アルバイトやパートから在宅勤務の仕事を始めてみましょう。

 

・業務委託

業務委託とは、正社員やアルバイトなどと異なり、企業と雇用契約を結ばず個人で仕事をする働き方です。クラウドソーシングサイトや求人サイトなどから、業務委託の仕事を探せます。

業務委託契約では、依頼された仕事を完了し成果物を納品することで報酬を受け取る成果報酬制が主流ですが、時間単価制の仕事もあります。やりたい仕事を選びながら、場所や時間にとらわれず働けるので在宅勤務をしやすいでしょう。しかし、自由度が高い反面、仕事の責任はすべて自分にあり、収入が安定しにくい点がデメリットです。

資格やスキルがなくともできる業務委託の仕事は多数ありますが、資格や経験が求められる仕事の方が高収入を目指せるでしょう。待遇の良い契約ができるよう、社員やアルバイトなどで実績を積んでおくことをおすすめします。

 

・自宅開業

「在宅勤務」が転職の際に求める最優先事項であるなら、開業して働くのも選択肢の1つです。「正社員として働きたい」「企業に雇用されたい」と考えている方には開業は不向きですが、「在宅で自分のペースを保ちながら働きたい」と考えているのなら、開業する働き方も考えてみましょう。

例えば、美容師・ネイリストのように、直接お客様に施術する仕事は在宅勤務が難しい職種です。しかし、自宅を使って開業するなら、在宅で働くことが可能になります。

開業するには、開業のための資金や集客、売り上げの維持などを考えなければなりません。しかし、自宅開業であればやり方次第で事業を安定させ、長期的に在宅で働くことが可能となる点がメリットです。

在宅勤務のメリット

在宅勤務のメリット

在宅勤務にはさまざまなメリットがあるので、現場勤務から在宅勤務に変更することで今の仕事や働き方に対する悩みを解決できるかもしれません。在宅勤務のメリットを5つ紹介します。

 

・通勤のための時間が必要ない

在宅勤務は通勤せずに仕事を始められるので、時間の無駄がない点がメリットです。自宅を就業場所とするので移動する必要がなく、通勤にあてていた時間を有効利用できます。

例えば、通勤に片道1時間かかっている方は、在宅勤務に変更することで1日あたり2時間を自分の時間に使えるようになります。1日に2時間の余裕が生まれれば、「朝食をゆっくり食べる」「朝学習の時間を持つ」「睡眠時間を確保する」「家族だんらんの時間にあてる」「趣味を充実させる」など、プライベートを充実させる時間として活用できます。

また、通勤する必要がなくなると、通勤時に感じていたストレスも軽減できます。

・満員電車のストレス
・渋滞による遅刻の心配
・大雨や大雪など悪天候時の苦労 など

通勤のさまざまな場面でストレスを感じていた方も多いのではないでしょうか。満員電車に揺られて通勤すると、「タイムカードを押すときにはすでに疲れを感じている」という日もあるでしょう。在宅勤務なら通勤によるストレスとは無縁となるので、気持ちよく仕事を始められます。

 

・人間関係に悩むことが少ない

在宅勤務は1人で働く時間が長いので、人間関係に悩むことは少ないでしょう。気が合わない方やいつも機嫌が悪い方、コミュニケーションを取りづらい方と働いて、苦労した経験はありませんか。仕事の内容にやりがいを感じても、人間関係がうまくいかず退職を検討した方もいるでしょう。在宅勤務なら、周りに気を遣ったり他人の行動に影響を受けたりせず仕事に集中できます。

1人でもくもくと仕事を進めたい方、人間関係が原因で転職を検討している方には在宅勤務が適しているでしょう。ただし、在宅勤務だからといって人と一切やり取りをしないわけではないので、業務を円滑に進めるためにはある程度のコミュニケーション能力も必要です。

 

・自分のペースで働ける

在宅勤務は自分のペースで働きやすい点がメリットです。最終的な納期や大まかなスケジュールがある仕事でも、1日の時間の使い方は比較的自由に自分で決められます。

コーヒーを飲む休憩や昼食、トイレのタイミングなども周りに配慮する必要がなく、気持ちの切り替えを自分のタイミングで行えます。仕事中だけでなく休憩時間も自分のペースを保てるので、さまざまな場面でのストレスを軽減できます。

 

・場所を選ばず働ける

完全在宅勤務であれば、働く場所を選ばずに就職できる点がメリットです。

・地方にいて、就職先の選択肢が少ない
・家族の転勤により定期的に引っ越す予定がある
・地方にいながら、都心部の給与に等しい収入を得たい
・海外にいながら日本の企業で働きたい など

さまざまな理由や事情により、希望通りの仕事で働くことの難しさを感じている方もいるでしょう。在宅勤務であれば自宅を就業場所にできるので、住んでいるエリアに関係なく仕事を探せます。

企業側も、「本来採用が難しい人材を在宅勤務なら採用できる」と考えているので、企業と離れたエリアに住んでいることが不利になることはありません。ただし、定期的な出勤が条件の求人に対して遠方からの応募は厳しいため、注意が必要です。遠距離にある企業への就職を希望する方は、「完全在宅勤務」「フルリモート」など、出勤の必要がない求人を探すようにしましょう。

 

・子育てや介護があっても働きやすい

子育てや介護などを理由に「仕事をすることが難しい」と考えている方も、在宅勤務なら家庭の事情に合わせて働きやすいでしょう。例えば、乳幼児を育てながら働く方は、通勤の前後に保育園への送迎の負担があります。また、小学校に上がってからも低学年のうちは子ども1人での留守番は難しく、夏休みなどの長期休暇中の対応に困ることがあるでしょう。在宅勤務であれば、通勤の時間を保育園送迎の時間にあてることができ、小学校の長期休暇中も預け先を気にせず子どもを見守りながら働けます。

介護のため家を長い間空けられないという方も、在宅勤務なら安心して働けるでしょう。家庭の事情やワークライフバランスに合わせて働きやすい点が、在宅勤務の魅力です。

子育てや介護の状況を考慮した上で、完全在宅勤務をする社員として採用してくれるケースもあります。就職を希望する会社でワークライフバランスのためにどのように制度を整えているか、休業制度や在宅勤務手当てなどの実施状況について確認しておきましょう。

在宅勤務のデメリット

在宅勤務は1人で働く環境であることから、いくつかのデメリットがあります。在宅勤務によるデメリットを先に知っておくと、対処しやすくなりますよ。

 

・仕事を覚えにくい

完全在宅勤務は、仕事の指示や業務の引き継ぎもオンラインで行うことが大半で、「仕事を覚えにくい」と感じることがあります。出勤して働くなら上司や先輩に質問しやすく、また周りの働いている様子を見て仕事を覚えることも可能です。

しかし、オンラインでは上司や先輩の姿が見えないため、質問のタイミングがわからなかったり、働く姿を見て学ぶといったことができなかったりします。同じように上司からも自分の姿が見えないので、何かにつまずいていてもすぐに気付いてもらえるわけではありません。

また、仕事の内容を間違えていても、自分で気付けなければ方向性を間違えたままに仕事を進める事態に陥ります。「わからないことは質問する」「進捗状況を共有する」などして、正しく仕事を進めていかなければなりません。

 

・コミュニケーションが取りにくい

在宅勤務は、コミュニケーションを取りにくい点がデメリットです。1人で働く環境なら、コミュニケーションスキルは必要ないと考えるかもしれません。しかし、顔が見えないからこそ、相手の意図をくみ取り、必要な報告をするべきタイミングで伝えるなど柔軟な対応を求められます。

入社して1度も出勤することなく在宅勤務がスタートする方は、上司や同僚の人柄を把握できないまま仕事に取りかかります。オンラインのやり取りでは信頼関係を構築しにくく、距離感があいまいな状態でコミュニケーションを取らなければなりません。オンラインでの交流会があれば積極的に参加したり、メールや電話で一言相手を気遣う言葉を伝えたりするなど、自分や相手の人柄がわかるように工夫しましょう。

 

・自己管理能力が必要

在宅勤務は、出社するとき以上に自己管理能力が求められます。「自分の手元にどのような仕事があるのか」「いつまでに完了させるべきか」「今はどの程度できているか」といったことを常に把握しておかなければなりません。

出勤して働くときは、自分の姿が上司や先輩から見えているため、仕事が遅れていると指摘されたり、ときにはフォローがあったりするでしょう。しかし、在宅勤務では上司が把握できることに限界があるため、自分で管理し滞りなく仕事を進める必要があります。常に情報を整理し、仕事の進捗状況を把握できるようにしておきましょう。

自己管理が苦手な方はアプリを使うのがおすすめです。タスク管理やスケジュール管理のアプリを導入して、やるべきことを整理してみましょう。

在宅勤務ができる会社を探す方法

在宅勤務ができる会社に転職する方法は、基本的には通勤する仕事を探すときと同じです。求人サイトや転職エージェントなど、転職支援サービスを利用して就職先を探しましょう。

 

・求人サイト

求人サイトから、在宅勤務ができる会社の求人を探せます。「システムエンジニア 在宅勤務」「事務 リモートワーク」などと、やりたい仕事に「在宅勤務」「テレワーク」「リモートワーク」などのキーワードを追加して検索してみましょう。

一切出勤する必要のない完全在宅勤務の仕事を希望するなら、全国どこの会社の求人でも挑戦できます。エリアを絞らず、さまざまな求人をチェックしてみましょう。

求人サイトには、それぞれ特徴があります。全国を網羅している、地方に特化している、特定の職種に強いなど、自分に合うサイトを利用するとよいでしょう。

また、在宅勤務の仕事を探すなら、「リワークス」などリモートワークに特化した求人サイトの利用がおすすめです。リワークスでは掲載されている求人のほぼすべてがリモートワークなので、やりたい仕事を見つけやすくなります。

【リワークス】リモートワークに特化した求人サイトです。正社員だけでなく、アルバイトや業務委託の求人も掲載しています。

■ReWorks(リワークス)での完全在宅のお仕事探しはこちら

 

・転職エージェント

転職エージェントに登録し、在宅勤務ができる会社の求人を紹介してもらいましょう。転職エージェントは、登録すると担当のキャリアアドバイザーから転職支援サポートを受けられます。

転職エージェントに登録すると最初に面談があり、自分の職歴や経験の棚卸しをしてキャリアプランを作成するので、ビジョンを明確にして転職活動を進められます。

担当キャリアアドバイザーに、「在宅勤務を希望している」と相談しましょう。転職エージェントが独自に扱っている非公開求人から、自分に合う仕事を紹介してもらえることもありますよ。

転職エージェントは面談とキャリアプラン作成後に求人を紹介されるため、求人サイトのように登録した当日すぐ求人に応募できるわけではありません。転職活動を進めるのに少し時間がかかる点がデメリットですが、キャリアアドバイザーに相談しながら自分にとって最適な求人を見つけられる点がメリットです。

 

・ハローワーク

全国各地に500か所以上あるハローワークでも、在宅勤務の仕事を探せます。直接ハローワークに行ってキャリアアドバイザーに相談したり、自宅のパソコンからハローワークの求人を閲覧したりできます。

ハローワークは再就職を斡旋するために、さまざまな職業訓練も行っています。職業訓練は未経験の業種への転職を目指す方、少しでも知識を習得して即戦力になりたい方におすすめです。職業訓練の詳しい内容や日程については、最寄りのハローワークに確認しておきましょう。

また、ハローワークでは履歴書・職務経歴書の添削、面接の相談などもできます。初めての転職で不安があるという方は、ハローワークに相談してみましょう。

 

・勤務先に相談

すでに企業に勤めている方は、在宅勤務を導入する予定がないか確認してみましょう。在宅勤務の導入を進めているようであれば、転職しなくとも在宅で働けるようになります。勤務中の会社で在宅勤務ができれば、すでに信頼関係が構築できており、仕事も一から覚える必要がありません。

現職でなら転職するよりもスムーズに在宅勤務を開始できるので、まずは上司や人事部などに導入する計画がないかを確認しておきましょう。また、すでに勤務先の会社が在宅勤務を導入しているなら、在宅勤務ができる部署やチームへ異動できないかを打診する方法もあります。

在宅勤務ができる会社に採用されるには

企業にとって在宅勤務は、社員の働いている姿が見えず、コミュニケーションが取りにくい環境です。そのため、ある程度のスキルがある方やコミュニケーション能力が高い方を求める傾向にあります。在宅勤務ができる会社に採用されやすくなるポイントを紹介します。

 

・資格を取得する

資格があることで、在宅勤務の仕事に就職しやすくなります。企業にとって、在宅勤務は仕事を教えにくい環境です。そのため、ある程度の経験がある方や仕事に活かせる資格があるなど、即戦力となる人材を企業は求めています。

日商簿記、TOEICなどの検定や資格に挑戦したり、コーディングやWebデザインを学んだりするのもおすすめです。現職を続けながら、転職のために資格を取得したり、または退職後に短期間集中して学び、検定試験を受けたりしてみましょう。

 

・経験を活かせる職種に絞る

在宅勤務は仕事を教えにくい、また覚えにくい環境なため、ある程度のスキルがある方や経験のある方を求められることが多いでしょう。全く経験のない分野を目指すよりも、すでに経験のある分野の職種に絞ると転職活動がしやすくなります。

デスクワークの経験がある方は事務、デザインスキルがある方はWebデザイナーなど、これまでの経験を活かせる職種を目指してみましょう。前職で接客業など出勤を求められる仕事をしていた方も、コミュニケーション能力を活かせる在宅勤務の仕事があります。テレフォンオペレーターや営業、カウンセラーなど、オンラインや電話などで接客する仕事を探してみましょう。

転職時には、前職やこれまでの経験でどのようなスキルを培ったかを自己分析しておきましょう。分析結果を基に、「希望職種でどう活かせるか」を面接時にアピールできます。「自分を採用することで企業にどのようなメリットがあるのか」を整理しておくと、企業側に伝わりやすくなりますよ。

 

・コミュニケーションスキルをアピール

在宅勤務はコミュニケーションを取る機会が少なく、コミュニケーションスキルはあまり必要のないスキルだと思うかもしれません。しかし、コミュニケーションを取る時間が短いからこそ、円滑なやり取りができる人材が求められています。

「自分から積極的に報告・連絡・相談ができる」「メールや電話の対応を的確にできる」など、オンライン上でも安心してやり取りができることを面接でアピールしましょう。

言葉や書面でアピールするだけでなく、面接時などに
・ハキハキと返事をする
・自分から質問をする
・はっきりと声を出し、明るく答える など
対応の良さが伝わるようにして、行動でも示すのがポイントです。「在宅勤務でも安心して仕事を任せられる」と面接官に思ってもらえるようにしましょう。

要注意! 在宅勤務ができる企業を探すときのポイント

要注意! 在宅勤務ができる企業を探すときのポイント

同じ「在宅勤務」でも企業により働き方が異なります。求人票に「在宅勤務」「リモートワーク」と書かれている求人を見つけたら、自分のイメージする働き方に近いのかをしっかりチェックしましょう。応募前や面接時にも希望と相違がないよう、気になる点を確認しておきましょう。

 

・出勤の頻度

「在宅勤務」「リモートワーク」などと求人票に記載されていても、出勤の頻度は企業によりさまざまです。一切出勤の必要がない「完全在宅勤務」なのか、定期的な出社を求められる「在宅勤務」なのかを確認する必要があります。

地方から都会の企業へ、また逆に都会から地方の企業への転職など、遠方の企業に就職するなら「完全在宅勤務」かどうかは重要な条件です。入社時の研修、月に1度の会議などの出勤なら対応できても、週1回以上の出勤には距離がネックとなります。

遠方の企業に転職を希望するなら、「完全在宅勤務かどうか」「定期的な出勤を求められても対応できる距離かどうか」「対応できるとしても月に何回までか」などをあらかじめ確認し、先方にも伝えておきましょう。

 

・在宅勤務の期間

求人が出ている時点では「完全在宅勤務」でも、その後方針が変わるかもしれません。「新型コロナウイルスの影響によっては、今後は出社も検討する」などと考えている企業もあるでしょう。

「在宅勤務を継続する予定か、出社に切りかわる予定があるのか」を確認しておくと安心です。「在宅勤務を解除する可能性がある企業は避ける」「実績を積むためのステップとして就職を検討するなどして、自分の状況に合わせて転職を希望するか考えてみましょう。

 

・在宅勤務手当の有無

在宅勤務を導入する企業によっては、在宅勤務手当を支給しています。在宅勤務手当を支給している会社は、社員個人が光熱費や通信費を負担することがないようにと配慮している企業です。

社員がよりよく働けるように在宅勤務手当の制度を設けていることから、長く仕事を続けやすい環境が整っていると考えられます。在宅勤務手当の支給がなくとも、働きやすい環境が整っている企業もありますが、1つのポイントとして在宅勤務手当の有無を確認しておきましょう。

 

・サポート体制

在宅勤務中のサポート体制が充実しているかを確認しておきましょう。在宅勤務は自宅を就業場所とするため、上司や先輩に気軽に質問できる環境ではありません。入社時の引き継ぎ、仕事を始めてからのトラブル時の対応などについてサポート体制が整っている企業で働くと安心です。

例えばシステムエンジニアの求人には初心者や未経験者向けに、入社時の研修を実施している企業があります。特に未経験のジャンルへの就職を希望する方は、サポート体制が整っているかを確認しておきましょう。

 

・セキュリティ対策

在宅勤務では仕事の情報を自宅で扱うため、セキュリティ対策を万全にしておかなければなりません。個人でパソコンのウイルス対策をするなど、自分が自覚を持つことも大事ですが、企業は社員が安心して働ける環境を整える必要があります。

セキュリティ対策に関して社員に任せきりにするような企業は、安心して働ける環境が整っているとはいえません。自分自身を守るためにも、セキュリティに対して万全を期している企業に就職するようにしましょう。

まとめ

在宅勤務を導入する会社は年々増加しており、数年前に比べて在宅勤務の求人を探しやすくなっています。一方で、業種や職種によっては在宅勤務が難しく、希望する職種で在宅勤務の仕事を必ず見つけられるわけではありません。

在宅勤務ができる会社への就職を希望する方は、IT系、金融系、広告制作系などの業種や事務・営業など在宅勤務に適した職種のなかから次の仕事を選びましょう。在宅勤務の仕事は仕事を覚えにくい点が課題であるため、すでに経験のある職種に挑戦したり、資格取得に挑戦したりするのがおすすめです。

また、転職活動は、複数のやり方やサービスを併用してみましょう。例えば、求人サイトと転職エージェントを併用する、転職エージェントでもいくつかのエージェントを同時に利用するなど複数の方法を活用し、多くの会社の求人に触れるようにすると希望条件に合った仕事に出会える確率を高められます。

在宅勤務の仕事を始めて、ワークライフバランスの取れた生活の実現に一歩近づきましょう。