テレワークとリモートワークの違いは?メリットデメリットも解説
2020年に世界中を震撼させた新型コロナウイルスがきっかけで、急速に普及した「リモートワーク」や「テレワーク」。どちらの単語も出社せずに働くという意味を指しますが、明確な違いがあるのか疑問に思う人もいるかもしれません。
そこで今回は、テレワークとリモートワークの違いをはじめメリット・デメリット、向いている人など詳しく解説します。出社するスタイルから働き方を変えたいと考えている人は、ぜひ最後までご覧ください。
テレワークとリモートワークの違いとは?
テレワークは、遠距離を意味する「tele」と仕事を意味する「work」を組み合わせた造語です。総務省ではリモートワークについて、次のように定義しています。
「テレワークとは、ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方です。勤務場所により、大きく、(1)在宅勤務、(2)モバイルワーク、(3)サテライトオフィス勤務に分けられます。」
引用:総務省
上記3種類については、次章で詳しく解説します。
一方、リモートワークも遠隔を意味する「remote」と、仕事の「work」を組み合わせた造語になります。つまり2つの用語はほぼ同様の意味を指し、大きな違いはありません。状況や相手に合わせて使用するとよいでしょう。
テレワークの種類
前述した通り、テレワークは働く場所によって3種類に分けられます。
- 在宅勤務
- サテライトオフィス勤務
- モバイル勤務(モバイルワーク)
それぞれ詳しく解説します。
在宅勤務
在宅勤務は、オフィスに出社せず自宅で働くスタイルです。他の従業員とのコミュニケーションは、基本的にチャットやWeb会議を使用します。育児や介護などの理由で、外へ働きに出られない人でも働けるスタイルです。
サテライトオフィス勤務
コワーキングスペースや、企業が本拠とは離れた場所に設置した小規模のオフィスで働くスタイルが、サテライトオフィス勤務です。主に都市型、地方型、郊外型の3種類があり、従業員の移動費の削減やワークライフバランスの充実など、用途によって使い分けられています。
モバイル勤務(モバイルワーク)
モバイル勤務はカフェや新幹線など外出先で働くスタイルで、移動が多い営業職の人などが多く活用しています。時間や場所に捉われずに働けるのが魅力ですが、社外の人の目に付きやすいのがデメリットです。他の2つよりも盗難やのぞき見されるリスクが高いため、しっかりとしたセキュリティ対策が求められます。
テレワーク・リモートワークを導入している企業で働く4つのメリット
テレワーク・リモートワークを導入している企業で働くことには、多くのメリットがあります。
- 通勤時間を削減できる
- どこに住んでいても仕事ができる
- ワークライフバランスが改善する
- 家族や子どもとの時間を取りやすい
それぞれ詳しく解説します。
通勤時間を削減できる
テレワーク・リモートワークは、オフィスに出社する必要がないため通勤時間がなくなります。満員電車に揺られることもなく、出社のために余計に早く起きる必要もありません。オフィスまで片道1時間以上かかっていた人にとっては、大きなメリットといえるでしょう。往復で1日2時間以上の余裕が作れることになります。
また企業にとっても、従業員の交通費が不要になることから大きなコスト削減につながります。企業によっては、オフィスの規模を小さくして家賃や施設代の負担も減らせるでしょう。
どこに住んでいても仕事ができる
住む場所を選ばずに仕事できるのも魅力の一つです。従来は働きたい企業や挑戦したい業界が通勤可能な範囲にない場合、引っ越しを検討するかあきらめるしかありませんでした。しかし、テレワーク・リモートワークであれば、企業と住んでいる場所の距離は関係ありません。
例えばフルリモート可能な仕事なら、北海道に住んでいても首都圏にある企業での仕事が可能になるのです。これにより郊外ののんびりした場所に自宅を構え、首都圏など遠方にある企業で働くスタイルにも注目が集まっています。
ワークライフバランスが改善する
ワークライフバランスとは、仕事と生活の調和を意味します。仕事は暮らしを支え、達成感ややりがいを得られるものです。しかし、それだけに偏っては心身の健康を害する恐れがあります。
家事や趣味、育児や介護など生活に必要なものとのバランスが重要です。とはいえ、働く時間を減らしてプライベートを充実させようという取り組みではありません。
誤解されやすいのですが、真のワークライフバランスとは仕事と生活の両方を充実させて好循環を生み出そうという取り組みです。代表的な取り組みには、以下があります。
- 育児休暇
- 介護休暇
- テレワークの導入
- 時間勤務の見直し
- フレックスタイム制度の導入
テレワークも取り組みの一つです。導入によって空いた時間の有効活用や、業務効率の向上が期待されています。
家族や子どもとの時間を取りやすい
ワークライフバランスにつながりますが、テレワーク・リモートワークの導入によって、家族との時間がとりやすいこともメリットです。子どもが起きる前には出勤し、帰る頃には寝ているという生活スタイルに悩みを抱えていた人も多いのではないでしょうか。
テレワークであれば家での時間が増えるため、大切な家族とのコミュニケーションも確保できます。
テレワーク・リモートワークを導入している企業で働く3つのデメリット
多くのメリットがあるテレワーク・リモートワークですが、デメリットもいくつかあります。それが次の3つです。
- 運動不足になりやすい
- セルフマネジメントができないと生産性が落ちる
- コミュニケーション不足でストレスを抱える可能性がある
順番に見ていきましょう。
運動不足になりやすい
テレワークは出勤が不要になるため、必然的に外に出る機会が減ります。そのため、運動不足に悩む人も少なくありません。健康維持のためにも散歩に出る、筋トレするなどして自発的に体を動かす習慣を作る必要があるでしょう。
セルフマネジメントができないと生産性が落ちる
セルフマネジメントも求められます。直訳すると自己管理のことですが、オフィスに出社する場合は上司や同僚など周りの目がありましたよね。しかし、テレワークは基本的に一人です。周りの目がないために緊張感を感じなくなり、人によっては生産性が大幅に落ちるケースも。
スムーズなテレワークのためには、セルフマネジメント能力が求められます。誘惑に負けない仕組みづくりや、目的を細分化して日々のタスクに落とし込むなど工夫するとよいでしょう。
企業側も従業員の生産性を落とさないために、チャットやWeb会議ツールを通してこまめに進捗をチェックする仕組みをつくる必要があるでしょう。
コミュニケーション不足でストレスを抱える可能性がある
テレワークになると、対面で人と話す機会が大幅に減ります。そのため、なかには孤独や不安を感じる人も。また出社する人と共有する情報量に差が出やすいため、これまで以上に頻繁なコミュニケーションが求められます。十分に情報が共有されないことで、業務に支障が出ることもあるでしょう。
毎朝Web会議ツールで朝礼を実施する、それぞれの行動報告が共有できるツールを導入するなど、スムーズなコミュニケーションを図るための配慮が必要です。
テレワーク・リモートワークに向いている人とは?
テレワーク・リモートワークを検討している人も多いと思いますが、どのような人が向いているのでしょうか。向いている人の特徴をまとめたので、チェックしてみましょう。
- 自宅で仕事する環境が整っている
- 一人でコツコツ作業するのが好き
- 自主的に動ける
- 伝えたいことを的確に文章化できる
- セルフマネジメントができる
上記にあてはまる人は、テレワークでも問題なく働けるといえるでしょう。特に自宅での仕事環境は重要です。仕事に集中できない環境では、本来のパフォーマンスが発揮できません。机や椅子など、場合によっては新しく設備を整える必要があるでしょう。
テレワーク・リモートワークができる職種5選
最近では、多くの企業がテレワーク・リモートワークを導入しています。在宅で働ける職種も増えてきました。ここでは代表的な5つの職種を紹介します。転職を考える際の参考にしてください。
- 人事・経理
- 営業職
- Webライター
- Webエンジニア・デザイナー
- カウンセラー
それぞれの特徴を解説します。
1.人事・経理
人事や経理は紙媒体の書類も多く、テレワークは難しいといわれていました。しかし、最近ではデジタルツールの導入によって領収書や帳簿の電子化が可能となり、業務の一部をテレワークにしている企業も増えています。
2.営業職
営業職も業務内容によっては、テレワークできます。お店を回るルート営業や、対面での商談が必要な営業職は出社や出張が必要ですが、内勤型のインサイドセールスならメールや電話、Web会議ツールを使ってのテレワークが可能です。
3.Webライター
Webライターは、Web上に掲載される記事を執筆するのが主な業務です。パソコン1台で働けて、納期を守れば働く場所はもちろん時間も比較的自由なため、近年人気を集めています。特別なスキルがない状態からでも挑戦できる仕事ですが、稼ぐためにはスキルアップが必須です。
4.Webエンジニア・デザイナー
Webエンジニアやデザイナーも近年人気を集めている職種です。Webライター同様に時間も場所も自由なため、正社員ではなくフリーランスとして活動する人も多くいます。特に資格は必要ありませんが、エンジニアはプログラミングスキル、デザイナーはIllustratorやPhotoshopの知識が必須です。
5.カウンセラー
カウンセラーは、話を聞いて心のケアをサポートする仕事です。大きく分けて産業カウンセラーと心理カウンセラーの2種類があります。
産業カウンセラー:企業に籍を置いて従業員や経営者のメンタルをサポートする
心理カウンセラー:行動療法や傾聴でクライアントの不安や悩みに寄り添いサポートする
どちらもテレワーク可能です。フリーランスとして活動する人も多く、特別な資格がなくても挑戦はできますが、人の心を取り扱う仕事のため十分な専門知識とスキルが求められます。
まとめ
2020年の新型コロナウイルスをきっかけに広く普及したテレワークとリモートワーク。2つの用語に大きな違いはなく、どちらもオフィスから離れた場所で仕事することを意味します。
コスト削減やワークライフバランスなど、企業側にも働く側にもメリットがあるため、今後も普及すると考えられるでしょう。ただし、生産性を向上させる仕組みづくりや、セルフマネジメントができない場合はデメリットになるケースもあります。メリットとデメリットを十分に理解し、万全に準備して挑戦するとよいでしょう。