テレワークでワークライフバランスを保つ方法と注意点を解説
コロナ禍の影響で広く普及したテレワーク。ワークライフバランス実現における取り組みの一つであり、通勤時間の削減や働く場所の自由度が増すなど多くのメリットをもたらします。しかし一方で、長時間労働になりやすい、運動不足になりやすいなどのデメリットも。
どのようにすればワークライフバランスを保てるか、悩む人も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、テレワーク可能な環境下でワークライフバランスを保つポイントを解説します。保つ際の注意点にも触れているので、ぜひ参考にしてください。
テレワークとは?
テレワークはtere(離れた)とwork(仕事)の2つを組み合わせて作られた造語です。簡単に言えば、企業に出社せず自宅やカフェなど離れた場所で働くことを指しますが、厚生労働省では、以下のように定義しています。
テレワークとは「情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」のこと。
引用:厚生労働省
2020年の新型コロナウイルスをきっかけに広まった働き方ですが、日本での始まりは日本電気株式会社(NEC)が1984年に設置したサテライトオフィスだといわれています。
当時はバブル時代で、都心にオフィスを構えるために莫大な費用が必要でした。また郊外に住む従業員も多かったことから、働きやすさを考えて郊外にサテライトオフィスを設置する企業が増えたようです。
しかし、バブルが崩壊して都心の地価高騰がおさまった影響もあり、テレワークブームが終了。その後は企業に出社するスタイルが一般的になりましたが、1990年代後半からインターネットやIT技術の発達し始め再びテレワークに注目が集まるようになります。
2010年後半からは、政府が推進する働き方改革によって導入する企業が増加。さらに2020年の新型コロナウイルスの影響で一気に広まることとなりました。テレワークをスムーズに進めるためのツールも増えています。
ワークライフバランスとは?
そもそもワークライフバランスがどのようなものなのか、ピンと来ていない人も多いかもしれません。直訳すると「仕事と生活の調和」という意味ですが、「仕事とプライベートを分ける」「仕事を減らしてプライベートの時間を充実させる」と誤解している人も多いようです。
ワークライフバランスは、仕事を減らしてプライベートの時間を増やそうという取り組みではありません。内閣府が発表している「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」では、次のように定義されています。
「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」
引用:内閣府
そして具体的には以下の3つの社会の実現を目指すとされています。
- 就労による経済的自立が可能な社会
- 健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
- 多様な働き方・生き方が選択できる社会
つまり、単にプライベートの時間を増やして充実させるのではなく、両方を充実させて良い循環を生み出そうとするための取り組みがワークライフバランスなのです。
テレワークでワークワイフバランスを実現するためのポイント4つ
では、テレワークで理想のライフワークバランスを実現するためには、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。ポイントは4つあります。
- メリハリを意識する
- セルフマネジメント能力を鍛える
- 勤務体制が整備された企業に勤める
- 社内での報告をしっかりと行う
それぞれ詳しく解説します。
メリハリを意識する
出勤型で働く場合は、企業に出社することで仕事モードがオンになる人も多いのではないでしょうか。しかし、テレワークの場合は出勤する必要がありません。そのため、どうしてもオンとオフが混同しがちです。
特に自宅で勤務する場合はテレビなどの誘惑も多く、仕事中についつい動画を視聴したりスマートフォンをいじったりしてしまう人も。結果的に生産性が低下すれば、長時間労働になるリスクもあります。
また常に仕事できる環境になるため、仕事をしていないと落ち着かない気持ちになりやすくなるのもデメリットです。このようなことを避けるためにも、メリハリを意識することがポイント。
効率良く進めるために1日の具体的なスケジュールを立てる、仕事するときは集中して休憩時間でしっかり休むなど、メリハリをつけて仕事に取り組むようにしましょう。生産性がアップすれば仕事へのモチベーションも上がり、心身への負担も減ってプライベートの時間も思い切り楽しめますよ。
セルフマネジメント能力を鍛える
テレワークでワークライフバランスを実現させるためには、セルフマネジメント能力も必要です。テレワークで働く場合、基本的に1人で業務にあたります。周りの目がないために、サボりがちになってしまう人も。
生産性が低下したり、企業から求められている成果が出せなかったりする場合は、テレワークが中止になる可能性もあるでしょう。そうなれば、ライフワークバランスの実現が難しくなる恐れもあります。誘惑に負けてしまう人、ついダラダラしてしまうことに悩んでいる人は、少しずつセルフマネジメント能力を鍛えましょう。
「自分に期待されている役割や目標の明確化」「誘惑に負けない仕組みづくり」「集中できないときの克服方法」など、できることから少しずつ取り入れてみてください。日々の積み重ねで自然とセルフマネジメント能力が鍛えられ、ライフワークバランスの実現も可能となるでしょう。
勤務体制が整備された企業に勤める
企業によって働き方はさまざまです。なかには試験的にテレワークを導入していて、現時点で改善点の多い勤務環境の企業もあるでしょう。もし転職を考えているならば、テレワークで快適に働ける環境がすでに整っている企業に勤めるのも一つの選択肢です。
もちろん、待遇や勤務体制だけが大切ではありませんが、自分が仕事に求めるやりがいやキャリアと併せて、ライフワークバランスが実現できそうな環境を整えているかどうかも考慮すると、より快適に働けるでしょう。
自分のスキルを磨く
テレワークの導入によって、やりたいことに挑戦しやすい環境が整い始めています。これを機に、自分のスキルをさらに磨くのもよいでしょう。近年では、副業を認める企業も増えてきました。
空いた時間を有効活用してスキル磨きや副業に挑戦することで、さらなるキャリアアップを目指すチャンスです。スキルアップやキャリアアップができれば、より理想的なワークライフバランスの実現がかなうでしょう。
テレワークでワークライフバランスを保つための注意点
最後にテレワークでワークライフバランスを保つための注意点を2つ解説します。
- 意思だけではオンとオフの切り替えが難しいことを理解する
- 必要な作業環境への投資は惜しまない
それぞれ見ていきましょう。
意思だけではオンとオフの切り替えが難しいことを理解する
自宅でテレワークする場合、プライベート空間と仕事の空間が同じになるためにオンとオフの切り替えがどうしても難しくなります。子育て世帯では、子どもが帰宅すれば相手しなければならないこともありますし、らいきゃくがあれば対応しなければならないこともあるでしょう。
そのため「オンとオフをはっきりさせるぞ」という意思だけでは、テレワークでライフワークバランスを保つことは難しいといえます。むしろテレワークに切り替えたことが原因で、ライフワークバランスが崩れてしまっては本末転倒です。ライフワークバランスを実現するための取り組みは、テレワークだけに限りません。
自宅での作業が難しい場合は、無理せず「スキルを磨く」「勤務形態や契約形態を見直す」など、他にできることから取り組むのもよいでしょう。
必要な作業環境への投資は惜しまない
テレワークでライフワークバランスを保つためには、快適な作業環境が必須です。仕事するスペースへの必要投資を惜しむと、作業効率の低下や心身の不調にもつながりかねません。結果的に仕事のペースが遅くなれば企業からの評価も下がるなど負のループに陥ることも。
テレワークでライフワークバランスを実現しようと思ったら、作業環境は整えるようにしましょう。快適な環境は、生産性の向上にもつながります。なかにはテレワーク手当を出している企業もあるので、確認してみてはいかがでしょうか。
まとめ
仕事とプライベートを両方充実させ、相乗効果を生み出そうという取り組みがライフワークバランスです。多くの取り組みの一つがテレワークですが、うまく活用できれば理想のライフワークバランス実現に近づくでしょう。一方で、オンとオフの境目がつかずに生産性が落ちる可能性もあるため対策が必要です。
従業員のライフワークバランス実現のために企業が取り組むべき課題は多くありますが、個人でもできることはあります。できることから少しずつ取り入れ、理想のライフバランスをかなえましょう。