リモートワークを海外でしてバレると問題になるのか?ポイントを解説

近年、日本の企業で働きながら海外で生活する人が増えています。しかし、すべての企業が海外でのリモートワークを許可しているわけではありません。本記事では、こっそり海外でリモートワークする場合のリスクについて解説します。

オフィスに出社せず、会社以外の場所で働くリモートワーク。
政府による「働き方改革」の推進や新型コロナウイルスの流行により、急速に普及し、今では当たり前の働き方になりつつあります。
また近年は、海外に移住してリモートワークする人も増えてきました。

これまで海外で働くと言えば、企業の海外出張や海外駐在員になることが一般的でした。
しかしICT技術の発展により、海外に住みながらリモートワークで日本の企業に勤務することが可能になりました。
※ICT技術とは、Information and Communication Technologyの略で、情報通信技術のこと。

「海外に住んで働きたいけれど、仕事を辞めるのは不安」
「いろいろな国を旅しながら働きたい」

このように思いながら、なかなか踏み出せなかった人にはうれしい働き方ですよね。

とはいえ、すべての企業が海外でのリモートワークを許可しているわけではありません。
仮に、企業の許しを得ずに海外でリモートワークする場合、リスクはあるでしょうか。
今回は、リモートワークを内緒で海外で行う際に起こりうる問題点を解説します。

※以降、海外でリモートワークを行うことを「海外リモートワーク」とします。

リモートワークをこっそり海外で行うことの問題点

リモートワークをこっそり海外で行うことの問題点

ここでは、こっそり海外リモートワークする場合の問題点を4つ紹介します。

  1. うっかりフリーWiFiを使ってしまう
  2. 端末紛失リスクの増加
  3. 緊急で出勤が必要になった時に対応できない
  4. 時差で仕事に支障が出る

それぞれ解説します。

 

1.うっかりフリーWiFiを使ってしまう

海外も日本と同様、カフェや図書館、公共交通機関など無料Wi-Fiが使える場所は多くあります。しかし、フリーWi-Fiの使用は便利な反面、情報漏洩のリスクが高くなります。

セキュリティ対策が甘く通信内容が暗号化されていない場合、ウイルスに感染したり、情報を抜き取られたりする恐れがあります。
たとえパスワードが掲示されていても、誰でも使えるアクセスポイントでは、なりすましによる被害も想定されるでしょう。
うっかりフリーWi-Fiをつないでしまい、データを壊されたり、大切な顧客情報が盗み取られたりすると一大事です。特に企業に内緒でリモートワークしている場合は、自己責任が問われ、状況によっては企業が守ってくれない可能性もあります。

フリーWi-Fiを使わずにインターネット接続する方法を3つ紹介します。

  • 接続制限なしのプリペイド式SIMカードを購入する
  • Wi-Fiのルーターを借りる
  • デザリング
    ※テザリングとは、パソコンやタブレットをインターネットに接続する際、スマホを    モバイルルーターとして使用すること。

とはいえ、コストがかからないフリーWi-Fiを利用したいときもありますよね。
そのような場合は、VPNの利用をおすすめします。
VPNは「Virtual Private Network」の略で、インターネット上に仮想の専用回線を設定し、通信内容を暗号化する技術です。そのため、VPNの導入により通信環境の安全性が強化され、安心してフリーWi-Fiが使用できます。
ただし、完全な情報漏洩防止策にはならないため注意しましょう。

 

2.端末紛失リスクの増加

海外では、インターネット通信のリスク以外に盗難の恐れもあります。
海外旅行の際、日本にいるときより盗難対策に気配りをしませんか?もちろん日本にいても盗難の危険はありますが、治安の問題から海外の方がよりリスクが高いといえるかもしれません。

パソコンが盗まれるとそれだけで損害になるだけでなく、大切なデータが盗み取られ、最悪の場合第三者に悪用される可能性もあります。そのような情報漏洩は、個人の責任で済まされる問題ではありません。企業の社会的信頼を失い、大きな損失へつながる重大な事態です。

お手洗いなどで席を立つときは、パソコンや財布など貴重品はすべて持って移動すると安心です。

 

3.緊急で出勤が必要になったときに対応できない

たとえフルリモートワークが認められていても、急な出勤要請の可能性はゼロではありません。また、緊急の出社要請は、何らかのトラブルが発生した場合に出ることが多いでしょう。そうしたときに、海外にいて出社できないと業務に支障をきたしてしまいます。
海外リモートワークを希望する場合は、企業の許可を得て、トラブルが発生した際の対処方法も話し合っておくことが必要です。

 

4.時差で仕事に支障が出る

時差は、思っている以上に大変です。
アジア圏なら日本との時差が大きくないため、気にならないかもしれませんが、時差が大きいアメリカやヨーロッパでは注意が必要です。時差による主なデメリットは、以下の通りです。

  • 現地で日本時間を常に考える必要がある
  • リアルタイムでコミュニケーションが取りづらい
  • 深夜や早朝にミーティングすることが増え、寝不足になる
  • 打ち合わせ時間を間違える可能性がある
  • 連絡する時間によっては相手の迷惑になることがある
  • 睡眠時間が安定せず、生活習慣が崩れる
  • 確認作業に時間がかかる

仕事に支障が出ないようにするためには、工夫が必要です。

  • リアルタイムで連絡する時間を決めておく
  • テキストベースで進捗状況を共有できるようにしておく
  • Webミーティングの時間を決めておく

海外で効率良く業務を進めるには、事前の準備が大切です。企業に内緒で、こっそり海外リモートワークする場合は難しいかもしれません。

リモートワークを海外で行い、バレることのリスク

リモートワークを海外で行い、バレることのリスク

海外リモートワークできるかどうかは、企業の就業規則や個々の雇用契約の内容によって変わります。海外でリモートワークを行っても、雇用契約が継続するのであれば大丈夫でしょう。問題はリモートワーク場所が国内のみに限定され、海外でのリモートワークが許可されていない場合です。

「フルリモートだから、海外でリモートワークしてもバレないはず!」と思う人もいるかもしれません。しかし前述の通り、出勤せざるを得ない事態が起きたとき、海外では対応できず企業にバレてしまう可能性もあります。
またWebミーティング中に季節感のない服を着ていたり、窓の外の景色が映り込んだりしてバレてしまう事態もあり得ます。

こっそり海外でリモートワークを行い、バレてしまったらどうなるでしょうか。
ここでは、会社に知られてしまった際のリスクについて解説します。

 

契約違反の場合

就業規則や雇用契約書で海外リモートワークが認められておらず、契約違反とされた場合、懲戒処分を受ける可能性があります。

懲戒処分とは、従業員が望ましくない行動や問題を起こした際に行われる処分のことです。
懲戒処分には、始末書の提出など比較的軽いものから、懲戒解雇といった重いものまであります。懲戒処分の種類や程度、手続き方法などは企業の就業規則に定められており、就業規則に基づいて処分が決まります。いずれにせよ、企業に内緒で行った海外リモートワークがバレて契約違反となった場合、始末書の提出や減給など処分を受ける可能性があります。

 

機密情報漏洩の場合

過失により機密情報が漏洩してしまった場合、処分は企業機密の内容や過失の程度などによって変わります。

「無料Wi-Fiを利用して情報を抜き取られた」
「トイレに立った隙にパソコンを盗まれた」
「電車で寝ていた隙に会社用携帯を盗まれた」

以上のように意図せず情報漏洩した場合は、戒告、減給、出勤停止、降格などが処分の相当と考えられます。

ただし、海外リモートワーク中に情報漏洩したことがバレた場合、企業に守ってもらうことは期待できず、逆に企業から損害賠償を求められる可能性もあります。企業に内緒で海外リモートワークを行い、情報漏洩を起こすと企業だけでなく、自身も多大な損害を被ることになるため注意しましょう。

海外リモートワークが可能な会社はあるのか

海外リモートワークが可能な会社はあるのか

結論から言うと、海外リモートワークを認める企業はあります。実際に働きながら世界一周を目指す人や、入社後数ヶ月で海外移住する人もいるようです。

海外を含め、自分の好きな場所で仕事するのは、ライフステージに合わせた働き方の選択肢が増えることにつながります。
例えば、結婚後にパートナーが海外駐在になった場合、仕事を辞めず赴任先に同行し働き続けることができます。そして妊娠や出産、育児も、海外と日本のどちらで行うか選べるようになります。

企業がこのような柔軟な働き方に寛容であれば、海外リモートワークの許可も得やすいでしょう。海外リモートワークのメリットは、働き方の選択肢が増えることですが、一方で国内以上に自己責任が伴うことも忘れてはいけません。日本では近くに上司や同僚がいて、状況を確認してくれたり相談に乗ってもらったりすることができますし、時差もありません。海外は時差があり日本と環境が違うため、自己管理が大切です。

また、海外に長期滞在する場合はビザが必要です。手続きの際にサポートがあるかすべて自分で行うかは、企業によって異なります。
滞在先の国の企業で就労する場合は、就労ビザが必要です。しかし、海外に拠点を持たない日本企業の場合、観光ビザで滞在できる場合もあります。また最近増えているのが、リモートワークの受け入れを推奨する「リモートワークビザ」です。例えば、リモートワークビザを発行しているマルタ共和国では、月収などの条件はありますが、1年間の滞在が認められています。
ビザの条件や取得方法は国によって異なるため、海外リモートワークを計画する際はあらかじめ確認しておきましょう。

リモートワークできる正社員求人を探すなら

リモートワークできる正社員求人を探すなら

リモートワークできる仕事を探す場合、Webの転職サイトやクラウドソーシングを利用する方法があります。インターネット上には多くの情報があふれていますが、なかでもおすすめは「ReWorks」です。フルリモート正社員の求人に特化した転職支援サイトで、さまざまな業種や職種の求人が多数掲載されています。
会員登録も基本情報の入力だけで簡単にでき、登録したその日から転職活動が始められるのもポイントです。またプロフィールを見た企業からのスカウト制度もあり、仕事探しの幅が広がるのも魅力でしょう。

とはいえ、「転職活動は不安」「1人で探すのは大変」という人も多いのではないでしょうか。そのようなときは、キャリアアドバイザーに無料相談できます。
特に海外リモートワークが可能な求人は、まだ国内ほど一般的に浸透しておらず、不安や悩みもあるでしょう。キャリアアドバイザーに相談することで、不安や悩みを解消でき、思いがけず自分に合った求人に出会えるかもしれません。

まとめ

リモートワークが普及したとはいえ、日本の企業に勤めながら海外で生活する勤務スタイルは、これまであまり一般的ではありませんでした。
新型コロナウイルスが収束しつつある今、海外のリゾート地や観光地など、美しい海や街並みを眺めながら仕事する生活に憧れる人も多いでしょう。また結婚や出産などライフイベントにより、住む場所が変わっても働き続けられる点も海外リモートワークのメリットの一つです。

一方、企業に内緒で海外移住して働くことは、契約違反であったり情報漏洩などリスクが増えたりするきっかけになります。さらに、インターネット環境や時差により、業務効率が下がってしまう可能性も考えられます。海外リモートワークするには、企業の規則を確認のうえ、現地では自己責任で環境を整えなければならないでしょう。

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