リモートワークで起こる体調不良とは?原因や解消法も徹底解説

リモートワークでは、オフィスワーク時とは異なる体調不良が起こる場合があります。リモートワークが原因の体調不良や解消法について詳しく解説します。体調が悪化する前に、早めに対処しましょう。

リモートワークは、通勤時間の削減やワークライフバランスの改善など、従業員にとって多くのメリットがあります。しかし一方で、体調不良の問題を抱える人も増えています。リモートワークを始めてから、なんとなく体の調子が悪いと感じる人もいるのではないでしょうか。

体調不良のまま仕事を続けると、集中力や生産性の低下を引き起こし、症状が悪化した場合は、仕事を休むことにもなりかねません。

今回は、リモートワーク中にありがちな体調不良とその原因、解消法をご紹介します。リモートワークが導入され、オフィスワーク時には感じなかった体調不良に悩む人は参考にしてください。

リモートワークが原因の体調不良とは

リモートワークが原因の体調不良とは

リモートワークが原因で起こりやすい体調不良は、主に以下の4つです。

  1. 眼精疲労
  2. 腰痛
  3. 倦怠感
  4. 精神的な不調

それぞれ解説します。

 

1.眼精疲労

眼精疲労は、テレワークによる体調不良の上位に挙げられます。テレワーク中に目の疲れを感じる人は、男女共に少なくありません。眼精疲労の原因は、目の使い過ぎによるものですが、疲れやかすみ、乾きなど目の症状だけでなく、肩こりや頭痛、だるさといった全身に疲れを感じることもあります。また長時間のパソコン作業で、画面を見続けると、視力が低下するリスクも。全身の症状に関しては、吐き気やイライラ感を伴う場合もあります。

眼精疲労の予防には、目を酷使しないことです。パソコンの作業環境を改善する他、定期的にパソコン画面から目を離し、遠くの景色を眺めて目を休めましょう。またプライベートでは、スマートフォンやテレビを見る時間も、ほどほどにすることです。パソコンの作業環境を整備するポイントは後述します。

 

2.腰痛

リモートワークでは座りっぱなしになることも多く、腰に負担がかかります。最初は正しい姿勢で座っていても、作業を続けるうちに姿勢が崩れてしまうこともあるでしょう。悪い姿勢で長時間座り続けるとさらに腰へ負担がかかり、腰痛が起きやすくなります。姿勢が悪くなる原因には、ノートパソコンでの作業による猫背や作業環境の問題などが挙げられます。

また正しい姿勢であっても、長時間同じ姿勢を続けていると、筋肉が固まってしまいます。結果的に首や肩、腰に負担をかけることになり、肩こりや腰痛を引き起こします。正しい姿勢で作業していても、定期的な休憩を心がけましょう。

 

3.倦怠感

リモートワークは、作業環境や仕事の進め方、生活リズムがオフィスワークと大きく異なります。そのような慣れない状況で、なんとなく「だるい」「体が重い」「疲れやすい」と感じることは珍しくありません。

一般的な倦怠感であれば、しっかり休むことで年齢や体力など個人差があるものの、回復することが多いでしょう。しかし十分休息しても倦怠感が取れなかったり、少し働いただけですぐ疲れてしまったりするときは注意が必要です。全身の倦怠感が続く場合、うつ病など心の病気も疑われます。

 

4.精神的な不調

リモートワークに移行し、コミュニケーションや勤怠管理、人事評価の方法など大きく変わった人も多いでしょう。業務環境の急激な変化は、メンタルヘルスに影響を与える可能性があります。

例えば、対面で話さない期間が続いたり、オンラインのやり取りで意思疎通がスムーズにできなかったりするのはストレスの要因になります。人によっては、直接見えないからこそ「きちんと仕事しなければ」「結果を出さなければ」と過度の負担を感じ、緊張感や不安をため込んでしまうのです。

ストレスが蓄積すると、さまざまな面で精神的な不調のリスクが高まります。気分が落ち込む、集中力が低下する、熟睡できない、不安になる、食欲が落ちるといった症状は、精神的な不調のサインです。

このようなメンタル面の不調は、症状として目に見えにくく、周囲から気付かれないことも多くあります。しかし、悪化するほど治療に時間がかかるため、自分で無理せず早めに対処することが肝心です。

リモートワークで体調不良になる原因

リモートワークで体調不良になる原因

リモートワークで体調不良になる原因を知れば、対策を取りやすくなります。主な原因は以下の5つです。

  1. 自律神経の乱れ
  2. 生活リズムが狂う
  3. 長時間の同じ姿勢
  4. ブルーライト
  5. 運動不足

順番に見ていきましょう。

 

1.自律神経の乱れ

リモートワークでは、ストレスや生活リズムの乱れから、気付かないうちに自律神経のバランスが崩れている場合もあります。例えば、オンラインのやり取りで意思疎通がスムーズにできないことや孤独感はストレスになるでしょう。後述しますが、生活リズムが狂うことで、自律神経のバランスを崩す人も少なくありません。

ストレスにより自律神経が乱れ、興奮状態が続いてリラックスできないと、夜眠れなくなったり、疲れが取れなくなったりします。気持ちが不安定になる、イライラする、不安になるなど、精神的な不調も現れます。自律神経のバランスを整えるには、質の良い睡眠が重要です。しかし自律神経が乱れているため、眠れないという負のスパイラルに陥ってしまうケースもあるでしょう。

 

2.生活リズムが狂う

生活リズムが狂うことも、体調不良の原因の一つです。オフィスに出社する必要がないため夜更かししたり、朝起きられなくなったりすることがあります。また休憩時間、昼食や夕食の時間も日によってバラつきがちです。在宅で、好きなものを好きなときに食べられる状況では、栄養バランスの悪化も懸念されます。

在宅勤務中に家族がいる場合は、仕事に集中しづらかったり、家事などに時間をとられてしまいがちです。家族の都合で、休憩のタイミングがずれてしまうこともあるでしょう。

このように生活リズムが狂うのは、自律神経の乱れにつながります。夜の寝つきが悪くなると業務に影響を及ぼし、集中力や生産性が低下します。睡眠不足による体調不良は、疲労感や肌荒れ、食欲不振、イライラなど、さまざまです。

 

3.長時間の同じ姿勢

リモートワークでは、オフィスと同様にデスクワークがメインとなります。会議も座ったまま行うことが多いため、パソコン画面に向かう時間が長くなりがちです。長時間同じ姿勢が続くと、前述のように腰痛や肩こり、眼精疲労などトラブルが起きやすくなります。

また自宅では、オフィスのような作業環境が整っていないことも多く、体に負担がかかることもあるでしょう。さらに在宅勤務では、休憩を取らなかったり、就業時間外も仕事したりするなど、長時間労働にも陥りやすくなります。

 

4.ブルーライト

パソコンを見る時間が長くなるリモートワークでは、ブルーライトにも注意しなければいけません。ブルーライトは、パソコンやモニター、スマートフォンなどから発せられる電磁波の一種です。エネルギーが強いためまぶしく感じ、眼精疲労や睡眠障害の原因になります。特に夜間のブルーライトは、目や体を疲れやすくします。

リモートワークでパソコンを長時間使う際は、ブルーライト対策をしましょう。ブルーライトカットの眼鏡をかける、モニターにブルーライトカットフィルムを貼るなどの方法があります。

 

5.運動不足

リモートワークになる前と後で、変化したことの一つに運動量を挙げる人は多いのではないでしょうか。通勤やオフィス内外の移動がなくなり、歩く時間が大幅に減少した人は少なくないでしょう。運動不足になることで、下半身の筋力が低下し、外出が面倒になったり、疲れやすくなったりします。適度な体の疲れは、質の高い睡眠のためにも必要です。

また運動不足に加え、在宅勤務中に間食が増えると、太りやすくなります。運動不足が慢性化すると、肥満や生活習慣病のリスクも増加するので注意が必要です。

体調不良の解消法

体調不良の解消法

リモートワークによる体調不良の解消法は、主に以下の5つです。

  1. 定期的な運動
  2. 規則正しい生活
  3. 日光を浴びる
  4. デスク周りを整備する
  5. 整体へ行く

それぞれ解説します。

 

1.定期的な運動

業務の合間にストレッチしたり、時間があるときは散歩やウォーキングに出かけたりしましょう。ストレッチをして全身をほぐし、血行を良くすることは、ストレス解消につながります。1日に推奨される歩数は8000歩以上です。午前と午後に分けて達成してもかまいません。散歩やウォーキングをして外の景色を見ることは、気分転換にもなります。

また腕立て伏せや腹筋、スクワットなど自宅でできる筋トレも取り入れ、リモートワーク中の筋力低下も防ぎましょう。ヨガやピラティスなどの運動も効果的です。ストレッチや運動する際は、忘れずに水分摂取しましょう。

仕事の合間にストレッチを挟む間隔の目安ですが、同じ姿勢を30分続けたら、一度椅子から離れることをおすすめします。立ち上がって少し歩いたり、トイレに行ったりして、姿勢をリセットすることで体への負担を軽減できます。30分ごとに行うのが難しいなら、60分程度を目安に小休憩を挟み、体操やストレッチをしましょう。

体の疲れを感じながら作業を続けるよりも、適度に休憩を取りリフレッシュしてから再開する方が、作業効率は上がるものです。パソコンで60分作業したら、15分程度の休みを取るようにすれば、眼精疲労の予防にもなります。ぼんやり遠くを見たり、まばたきの回数を意識して増やしたりして、目の乾燥を防ぎましょう。

 

2.規則正しい生活

規則正しい生活を送るポイントは、以下の通りです。

  • 夜更かしを避け、決まった時間に寝て起きる
  • 1日3食、栄養バランスの取れた食事を決まった時間に適量食べる
  • 適度な運動をする
  • しっかり睡眠を取る
  • ストレスをためない

特に、規則正しい食生活は、生活リズムを整えるための基本です。朝食はしっかり食べましょう。規則正しい生活を送ることで体調が良くなり、仕事の効率もアップします。免疫が上がれば、病気のリスクも減らせるでしょう。

 

3.日光を浴びる

起床後に太陽の光を浴びることも大事です。1日は24時間ですが、人の体内時計の周期は24時間よりも若干長いといわれています。朝の強い光には、体内時計を早める効果があるとされ、朝日を浴びることで、体内時計の周期を外界の24時間周期にリセットしやすくなります。

 

4.デスク周りを整備する

デスク周りを整備することで、体への負担が軽減できるだけでなく、リモートワークの快適性を高められます。目や肩、腕、腰に負担がかからない位置や高さにデスクや椅子、パソコンを設置し、正しい姿勢で作業できるようにしましょう。

厚生労働省のサイトでは、自宅でリモートワークを行う際のデスク周りの作業環境整備について、以下のようなポイントを挙げています。

 デスク 

  • 必要なものが配置できる広さがある
  • 体型に合った高さである、または高さの調整ができる

 椅子 

  • 安定していて、簡単に移動できる
  • 座面の高さを調整できる
  • 背もたれの高さを調整できる
  • ひじ掛けがある

 パソコン 

  • 輝度やコントラストを調整できる
  • キーボードとディスプレイは分離して、位置を調整できる
  • 操作しやすいマウスを使う
  • ディスプレイに太陽光が入り込まないよう、カーテンやブラインドを使用する 
  • ディスプレイ画面の明るさと周辺の明るさの差をなるべく小さくする 

デスクを広く使うため、デスク周りを整理しましょう。不要な物を捨てる、すぐに使わないものは収納する、ものを置く場所を決めるなどの方法が有効です。デスク周りがスッキリしていると、仕事が効率的に進み、集中力も高まります。定期的に掃除して、デスク周りを衛生的に保つことも大切です。

 

5.整体へ行く

ストレッチしても腰痛や肩こりが良くならない場合は、整体に行くのも手です。プロの手によるメンテナンスで、肩こりや腰痛など痛みの緩和、骨盤矯正、姿勢の改善が期待できます。また、リラックスでき、ストレス解消にも効果的です。通い続けることで、健康的な体と心を保ちやすくなるでしょう。

効果を実感するには、信頼できる整体師を選ぶことが肝心です。国家資格の柔道整復師を取得している整体師を選ぶことも、一つの目安です。もちろん資格の有無だけでなく、施術歴や口コミなども確認しましょう。しっかりとカウンセリングしたうえで、根本的な原因を見つけ、効果的な施術を提案してくれるかどうかも重要です。

体調不良が解消されないときは

体調不良が解消されないときは

紹介した方法を実践しても体調不良が解消されないときは、さらに進んだ対策が必要です。慢性的な体調不良の裏には、深刻な病気が隠れている可能性もあります。前述した解消法で体調不良が解消されない場合は、次の2つをおすすめします。

 

病院へ行き、適切な治療をしてもらう

まずは、専門医の診察を受けましょう。眼精疲労の症状が強ければ、早めに眼科の受診をおすすめします。腰痛のなかには、放置すると危険なものもあります。特にじっとしていても痛む、背中が曲がってきた、下半身にしびれがある、歩行に影響が出ているときには、放置は禁物です。一度、整形外科などで診てもらいましょう。

またメンタル面のトラブルは、体の不調に比べ症状が出ないことも多く、知らないうちに進行している場合もあります。しかし、悪化すると治療に時間を要することも少なくありません。イライラや不安、不眠など不調を感じたら、心療内科をおすすめします。職場に産業医がいる場合は、相談することも検討してみましょう。

 

出社や転職も視野に入れる

リモートワークでは、自分で意識しないと休憩を取らなかったり、運動不足に陥ったりしがちです。自己管理が苦手な人は、出社を考えてみましょう。通勤することで、歩く時間も増え、生活にメリハリも生まれます。職場によっては、リモートワークとオフィスワークを組み合わせた、ハイブリッドワークも可能でしょう。集中したい資料づくりはリモートワークで、打ち合わせはオフィスワークでと切り替えることで心が安定する場合もあります。

そして、転職は最後の手段です。体調不良の原因を明確にし、転職により改善できそうであれば、職場を変えることも視野に入れて行動を起こしてもよいでしょう。後悔しないためにも、転職先での働き方や仕事内容、業界の雰囲気、待遇、福利厚生などをしっかりチェックしておきましょう。その際は、転職支援サイトを利用するのも手です。豊富な求人から、自分の条件やこだわりに合った仕事を探すことができ、キャリアアドバイザーからのサポートも受けられます。

まとめ

リモートワークで起こる体調不良や原因は、人によりさまざまです。症状が軽度な場合は、紹介した解消法を実践することで改善できるケースが多いでしょう。長時間のパソコン操作による眼精疲労や腰痛、疲れなどは、作業環境や姿勢に気をつけたり、休憩を取ったりすることが有効です。ストレッチや整体も効果的でしょう。悩みや不安は、家族や同僚、友人に話を聞いてもらうだけで楽になるかもしれません。

ただし、解消法を試しても体調が改善しない場合は、早めに医師や専門家に相談することをおすすめします。症状が悪化すると、回復までに時間がかかってしまう可能性があります。

また、リモートワークがどうしても自分に合わないと感じたら、気持ちを切り替えて出社するのも手です。オフィスへ出勤してもストレスなど不調が改善されないときには、転職も視野に入れ環境を変えることを検討してみましょう。