いまさら聞けない!? 在宅ワークは内職や在宅勤務とはどこが違う?
近年、インターネットやパソコンの普及で、在宅ワークを選ぶ人が増えています。しかし、理解がなかなか追いついていないようで、よくわからないまま在宅ワークの求人を探したり応募したりする人もいるようです。この記事では、「在宅ワーク」が「内職」や「在宅勤務」とどう違うか、在宅ワークの応募先を選ぶには何に注意をすればいいのかをご紹介しましょう。
内職、在宅勤務、在宅ワークの定義
個人の働き方に限っていえば、自宅などでする仕事の形態は主に「内職」「在宅勤務」「在宅ワーク」の3種類です。
自宅でやる比較的単純な仕事が内職
厚生労働省は内職をする人を「家内労働者」と呼び、「自宅を作業場として、メーカーや問屋などの委託者から、部品や原材料の提供を受けて、一人または同居の親族とともに、物品の製造や加工などを行い、その労働に対して工賃を受け取る人」と定義しています。
地方自治体などが斡旋(あっせん)している実際の求人を見ると、仕事の種類には「おでん用昆布を結ぶ作業」「幼稚園児用制帽へのリボン付け」「紙袋の製造」などがあります。
こうやって見るとわかるように、手仕事が多く、ほとんどで特別なスキルは要りません。その分報酬も高くありません。内職には「本業ではなく、副業的な仕事」といった側面もあるのがわかります。
会社内での仕事を自宅に移したのが在宅勤務
「在宅ワーク」と語感も似ているために、よく混同されるのが「在宅勤務」です。もともとはオフィスだった仕事の場を、自宅に移した働き方をいいます。主に正社員について採用されますが、契約社員やアルバイトでもありえます。
通勤時間が不要で、労働環境も自分好みに整えられる場合があるのがメリットです。ただし、インターネットとパソコンが不可欠です。仕事内容もインターネットとパソコンを使ってほぼ完結できるものに限られます。とはいえ、「週1回は出社、残りは在宅」といったように、在宅勤務とオフィス勤務が併用される例も少なくありません。
以前からIT関連などの一部の企業で見られました。新型コロナが大流行したのをきっかけに、通勤時や社内での感染を避けるために採用する企業が増え、一気に普及しました。
また、仕事の場を移す先は自宅とは限らず、コワーキングスペース、カフェなどの場合もあります。これらまで含める場合は、「リモートワーク」と呼ばれます。
自宅を職場にして個人事業主として働くのが在宅ワーク
「仕事の場が自宅やコワーキングスペース」といった点で、在宅ワークは在宅勤務(リモートワーク)と共通します。
決定的に違うのは、在宅勤務が正社員や契約社員として企業に所属する働き方であるのに対し、在宅ワークはどこにも所属しない働き方である点です。
仕事をもらう相手とは「請負契約」や「業務委託契約」を結びます。請負契約とは「自分の方は仕事を完成させることを約束し、仕事を依頼する側はその仕事の結果に対して報酬を支払う契約」のことです。一方、 業務委託契約の場合は労働が報酬の対象になります。「仕事を完成させる約束」をするかどうかは契約内容次第です。
どちらにしろ、在宅ワークをする人(在宅ワーカー)は個人事業主です。デザイナーやコンサルタント、美容師などで、会社に所属せずに働いている人と違いはありません。また、これらの人たちも業務のやり方によっては、在宅ワークとみなしていいでしょう。
在宅ワークの始め方・探し方
個人事業主の一種ですから、在宅ワークの始め方や探し方も共通です。ただし、近年、多くの求人があり、在宅ワークが初めての人でも比較的簡単に始められるものもあるのが、インターネットやパソコンでほぼ完結する仕事です。
どんな仕事がある?
その「インターネットやパソコンでほぼ完結する仕事」には次のようなものがあります。
・事務
・営業
・カスタマーサポート
・ホームページ制作
・システム開発
・デザイン
ただ、これらのなかにも在宅勤務と同じように、「週(月)に1日は出社」「当初は出社すす。慣れれば自宅に移行」などいろいろな形があります。
「相手企業と自分の住んでいるところが離れている」「病人や子どもの世話で家を空けられない」などの場合は、「全く出社の必要がない」といった求人を中心に探すことになるでしょう。また、現実にそういった求人も少なくないのが、在宅ワークのいいところです。
始めるのに必要なスキルと道具は?
ここに挙げたどの職種を始めるのにも必要なのがパソコンです。ただし、どのくらいの性能のものが必要かは、職種次第です。たとえば、事務・営業やカスタマーサポートならば、古い製品や低価格の製品でもたいていは間に合います。ただし、インターネットの通信速度と安定性は大事です。ネット上でチェックできるサイトもたくさんありますので、一度確認してみましょう。
もちろん、デザインやシステム開発などになると、それに応じた性能のパソコンが必要になります。当然、自身のスキルとしても特別なものが必要です。その分報酬も高くなりますので、スキルの習得などにじっくりと取り組める人は選択肢に入れてもいいかもしれません。
また、どの職種であってもWordやExcelの基本的なスキルは必要と考えておいたほうがいいでしょう。求人では条件にされていなくても、WordやExcelで文章やデータの作成をすることは当たり前にあります。「スキルの習得に、何から手を付けていいかわからない」といった人はこのふたつから始めるといいでしょう。
どこで探せばいい?
在宅ワークを探す方法には、次のようなものがあります。
・ネット上の求人サイト
在宅ワークに限らず、最も求人の案件が多く見つかり、情報もコンパクトに集約されているのがネット上にある求人サイトです。扱っている求人は正社員募集だったり、請負契約・業務委託契約だったりと様々です。これらの求人サイトには、在宅ワークを中心にしているところもあります。
・フリーランスプラットフォーム
仕事の発注側と受注側がそれぞれ登録し、両者のマッチングをするのが フリーランスプラットフォームです。早くいえば職業紹介所なのですが、「ネット上でサービスを提供している」「受注側はフリーランスが対象」「扱っている案件の多くが請負契約や業務委託契約」の場合に、特に「フリーランスプラットフォーム」と呼ばれます。
・SNSやコミュニティー
TwitterやFacebookなどのSNSでも、「○○をしてくれる方いませんか」などの募集があります。呼びかけている側は個人だったり企業だったりと様々です。募集先や条件は玉石混交が正直なところです。 また、ホームページ制作関係者やシステム開発者らで作るコミュニティーがあり、その仲間内で募集する場合もあります。
・企業への直接接触
これら以外に、企業が自社のホームページなどで募集案内を出している場合があります。あるいは可能性は高くありませんが、募集を出していなくても、自分側から連絡をとって売り込むことで在宅ワークの機会を得る例も見受けられます。
在宅勤務などと混同すると間違った探し方をする
これら在宅ワークを探す方法のなかで、最も行動を起こしやすく、実際に機会を得られる可能性の高いのは求人サイトでしょう。
ただし、求人サイトの場合、同じ欄で在宅ワーク募集の企業も業務委託募集の企業も扱っているのが一般的です。あるいは、一つの企業の求人情報で、両方を募集しているのも珍しくありません。
在宅ワークや在宅勤務、内職の区別がついていないと、どの求人情報で自分が求める働き方が募集されているのかわからないでしょう。あるいは、「本当は在宅ワークをしたいのに、在宅勤務の正社員に応募してしまった」といった間違いも起こりかねません。
しっかり区別がつくようにするとともに、「自分が求める働き方はなにか」を確認しておきましょう。