リモートワークにもデメリットはある!デメリットの解消方法も解説

オフィスから離れ自宅やカフェなど自由な場所で業務に取り組むリモートワーク、あるいはテレワークと呼ばれる働き方が広がっています。

これまで長距離の通勤に負担を感じていたビジネスパーソンを中心に、リモートワークは比較的疲労やストレスのない働き方として支持されるようになりました。その一方で、多くの人が実際に経験したうえで、そのデメリットも徐々に認識されつつあります。今回はリモートワークのデメリットと、その解消方法を解説します。

リモートワークのデメリット

リモートワーク デメリット

多くのメリットがある一方で、デメリットもいくつかあります。ここでは働く側と雇用する側、それぞれのデメリットを解説します。

 

働く側(従業員側)のデメリット

まずは働く側としての、リモートワークのデメリットを見ていきましょう。通勤の負担がない、人間関係のストレスがない、と一見良いことづくめのリモートワークですが、実際に取り組んでみると以下の3つのデメリットに気づかされます。

  • コミュニケーション不足に陥る可能性
  • 生産性が落ちる可能性がある
  • 状況に落ちてサボってしまうことがある

それぞれ詳しく解説します。

コミュニケーション不足に陥る可能性

コミュニケーション不足は、業務の進捗に深刻な影響を与えます。例えば上司とのコミュニケーション。わからないことや相談したいことがあったとき、オフィスにいれば上司のデスクに行って5分で用件が済むのに、リモートワークでは相手の仕事の状況が読めず連絡が取りにくいという問題が起きやすくなります。

カレンダーツールで上司の予定を確認すると、打ち合わせがぎっしりなんてことも。メールやチャットで尋ねると返答まで数時間かかり、そのあいだ業務がストップしてストレスが溜まります。

上司に限らず同僚との頻繁なコミュニケーションは、業務を円滑に進めるために欠かせません。新しいアイデアが得られたり、デスクワークの気分転換になったりと、さまざまな効果があります。コミュニケーションがなくなると、チームの一体感が損なわれるのも問題でしょう。

生産性が落ちる可能性がある

自宅やカフェはくつろぐには快適ですが、必ずしも仕事向きの環境とはいえません。リモートワークによって、かえって生産性が落ちる可能性もあります。

自宅であれば家族に話しかけられたり、周りに漫画やゲームといった誘惑があったりと、始終何かに邪魔されて作業が進まないこともあります。カフェも同様で、周囲で楽しくおしゃべりしている人たちがいては、なかなか仕事に集中できないでしょう。

リモートワークでは、自身でしっかりと作業のペースを管理しなくてはなりません。1日の終わりに思ったように業務が進んでいないと、かえってストレスを感じることになります。

状況に応じてサボってしまうことがある

リモートワークでは自己管理が難しく、つい怠けてしまうのも問題です。上司や同僚の目が行き届かないぶん、息抜きやサボりのハードルが低くなるのです。

企業の多くは、リモートワークのときにパソコンのログイン・ログアウトで従業員の就業状況を確認しています。しかし実際には、従業員がログインしながらプライベートな用事をこなしていたり、席を離れて休憩していたりしても、企業側はそれを把握できません。

そのような監視の緩い環境では、強い責任感があり自制心のある従業員でなければ、オフィスで働いている場合と同程度の真面目さで業務に打ち込むことは難しいでしょう。

 

雇用する側(企業側)のデメリット

企業側にも、従業員にリモートワークさせるデメリットがあります。雇用する側が懸念するのは、主に以下の3つです。

  • 勤怠管理が適切にできない可能性がある
  • 正社員の生産性が落ちる可能性がある
  • セキュリティリスクが高まる

それぞれ詳しく解説します。

勤怠管理が適切にできない可能性がある

リモートワークしている従業員について、現状では適切な勤怠管理は困難です。勤務時間はほぼ従業員側からの申告制になり、実際に業務以外のことをしていても企業はそれを把握できません。

企業は従業員の仕事の成果ではなく、勤務時間に対して報酬を支払っています。本来は正しい勤務時間を把握しなくては、それに見合った給与を支払うこともできません。しかし、リモートワークでは勤務時間の把握が難しいために、皆がきちんと業務に取り組んでいることを前提に、一律で同じ給与を支払うしかないのです。

ほとんど勤務していない従業員と、自宅でも真面目に働いている従業員が、給与でも社内評価でも同じように扱われては、組織内の不満の種になります。さらに、実際には仕事が就業時間内に終わらずに残業しているのに、リモートワークではそれを申告できない従業員もいます。労働環境の管理の側面から見ても、リモートワークには大きなリスクがあるのです。

正社員の生産性が落ちる可能性がある

チームのメンバーが皆バラバラに働いていては、チームとしてのマネジメントができずに生産性が大きく下がる可能性もあります。チーム間のコミュニケーション不足や、仕事向きでない環境で働くことによる生産性の低下は深刻です。オフィスで一緒に働いていれば、メンバーを個別にフォローしたり全体のモチベーションアップのために声をかけたりできますが、リモートワークではそれもできません。

リモートワークでは、従業員が個々に取り組んだ仕事の成果を受け取るしかないのです。そしてその成果が十分でない場合も、改善のためにできることは限られています。

セキュリティリスクが高まる

従業員の作業環境に問題があると、セキュリティリスクも高まります。万が一顧客情報などの流出が起きれば、企業は大きな社会的責任を負うことになるでしょう。

本来、企業の機密情報や個人情報などは、万全のセキュリティ対策がされたオフィスから持ち出すことはできません。しかし、リモートワークではその危機管理意識が薄くなりがちです。情報の扱い方が間違っていたとしても、誰もそれを見咎める人間がいないためです。

自宅やカフェなど社外の人間が耳にする可能性がある場所で、つい重要な問題について電話で話してしまうケースもあるでしょう。「ちょっとくらいなら大丈夫だろう」という気の緩みが、やがて深刻な情報漏洩を引き起こす可能性があります。

リモートワークはデメリットよりもメリットのほうが大きい

リモートワークはデメリットよりもメリットのほうが大きい

ここまでさまざまなデメリットを見てきましたが、リモートワークは本来デメリットよりもメリットのほうが大きい働き方です。

働く場所を選ばないため、従業員は結婚・配偶者の転勤・マイホームの購入といった生活環境の変化に左右されず、同じ組織で同じ業務に従事できます。自分のペースで働けるので、子育てや介護との両立も可能になるでしょう。それは従業員だけでなく企業側にとっても大きなメリットで、時間とコストをかけて育成した人材を失わずに済みます。

通勤の体力的負担や職場の人間関係のストレスから解放された働き方は、多くの人にとって魅力的です。リモートワークを導入すれば、企業側は優秀な人材を集められるようになるでしょう。

リモートワークのデメリットを解消するには

リモートワークのデメリットを解消するには

これからの時代は柔軟な働き方を可能にするため、リモートワークのメリットを活かしてデメリットを最小限に抑えなくてはなりません。従業員・企業が取り組むべき課題は以下の3つです。

  • コミュニケーション方法を見直す
  • 自宅の環境を整える
  • 評価方法を見直す

それぞれ詳しく解説します。

 

コミュニケーション方法を見直す

リモートワーク特有のコミュニケーション不足を解消するためには、もっと気軽にオンラインでやり取りできる風土を整える必要があります。

まずはマネジメントする側が旗振りし、定期的なオンライン会議や打ち合わせを実施しましょう。このとき互いの顔を見て話すようになれば、一緒にオフィスで働いているときと同じようにチームとしての一体感も生まれます。気軽に雑談やプライベートな会話ができる雰囲気をつくれば、リモートワーク中でもメンバーは孤独を感じずに済むでしょう。

チャットやメールは頻繁に活用し、常に互いの作業の進捗を把握することも大切です。つい怠けたくなる気持ちの抑止につながりますし、上司がこまめにフィードバックすることで、生産性も維持できるでしょう。

 

自宅の環境を整える

働く側は、まず自宅の環境を整える努力が必要です。リモートワークが頻繁にあるならば、自宅内に仕事専用のスペースをつくるのがおすすめ。

仕事部屋には機器やインターネット環境を揃えることはもちろん、紙の資料は鍵のかかる引き出しにしまうなどセキュリティの観点からも見直しをしましょう。また仕事中には外部の人間が仕事場に立ち入ることがないよう、家族の理解を得ることも大切です。

仕事を怠ける誘惑になるようなものは仕事部屋に置かないようにし、勤務時間内は集中できる環境をつくります。一方で決められた休憩時間にはしっかりと休息を取り、働き過ぎないよう注意しなくてはなりません。

 

評価方法を見直す

リモートワークを本格化させた場合、組織内の評価方法自体を見直す必要もあるでしょう。従業員に責任感を持って業務に取り組んでもらい、チーム全体の生産性を高めるためには、勤務時間よりも目標の達成度や成果で評価する仕組みづくりが大切です。仕事に集中して成果を上げるほどに評価される風土であれば、従業員もモチベーション高く業務に取り組めるでしょう。

もちろん、成果が目に見えにくい業務においては、従業員がどのように仕事に取り組んでいるかの過程を見る努力もしなくてはなりません。こまめにコミュニケーションを取り、作業の進捗を確認しましょう。

いずれにせよ、どのような基準で評価し報酬を決定するかのルールを全体に明示し、互いの働く様子が見えないリモートワーク下での、従業員の不満や不安を解消することが大切です。

【企業側】リモートワーク監視ツールの利用も検討

【企業側】リモートワーク監視ツールの利用も検討

従業員の勤怠をより厳しくチェックしたい場合は、監視ツールの導入が有効でしょう。チェックできる内容はツールによって変わりますが、最も基本的なのが出勤・退勤をチェックする勤怠管理システムです。さらに、ちゃんとパソコンの前に座って作業しているかをWebカメラで確認する在席確認システムや、業務に関係ないサイトへのアクセスなどをチェックするアクセス監視ツールもあります。

監視ツールは「従業員がリモートワーク中に怠けていないか」という企業側の不安解消につながる一方で、従業員側にとっては強いストレスや不満の原因にもなります。導入に際しては事前に丁寧な説明を実施し、真面目に業務に取り組む人を評価するための制度という理解を得ておきましょう。

まとめ

新型コロナウイルス対策をきっかけとして、リモートワークは多くの企業に普及しました。従業員側にも企業側にもまだまだ改善すべき点はありますが、より柔軟な働き方を可能とするリモートワークは、これからの時代には無視できない選択肢の一つといえるでしょう。

リモートワーク下での生産性の低下やコミュニケーション不足といった課題は、便利なツールに頼ることで改善できます。家庭生活との両立や生活環境に左右されないといった多くのメリットがあるリモートワーク。ツールをうまく活用しつつ、前向きに取り組んでいきましょう。