リモートワークは当たり前になるのか?今後の課題も
日本でも導入する企業が増えているリモートワーク。新型コロナウイルス感染症が流行した2020年以降、一気に広がりましたよね。しかし、感染症が落ち着くにつれて実施状況も低下傾向にあるようです。
しかし育児や介護との両立、自身の身体的な問題など、さまざまな事情からリモートワークを希望する人も多くいるのが現状です。果たしてリモートワークという働き方は、今後当たり前になっていくのでしょうか。
本記事では、リモートワークの現状と普及した理由の他、リモートワークの今後や課題を解説します。リモートワークで正社員を希望している人は、ぜひ参考にしてください。
日本のリモートワークの割合(実施率)は?
新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が出た時期は、多くの企業がリモートワークを導入していました。感染症の流行が落ち着いてきた現在、リモートワークの実施率はどのようになっているのでしょうか。
「カオナビHRテクノロジー総研」が2022年12月時点で調査した結果によると、リモートワーク実施率は全体で18.7%。2022年2月の前回調査では20.6%だったため、10ヶ月で1.9ポイント低下したことになります。
リモートワークを実施している職種の上位は「事務系管理職」「事務職・技術系事務職」「営業職」で、前回調査と同じ結果です。しかし3職種ともに実施率は低下しており「事務系管理職」34.6%(前回から2.0ポイント低下)、「事務職・技術系事務職」で27.5%(前回から2.1ポイント低下)、「営業職」で23.6%(前回から5.0ポイント低下)となっています。
地域別にみると「首都圏(一都三県)」のリモートワーク実施率が30.3%と高く、次点の近畿エリアの15.9%を大きく上回っています。リモートワークの地域格差が浮き彫りになっているといえるでしょう。
また「通信・インフラ」の業界は、リモートワーク実施率が上昇しています。前回調査より4.3ポイントの上昇で、実施率は32.9%となりました。全体的にリモートワーク実施率が低下傾向にあるものの、業界によっては実施する企業が増えているようです。
そもそもなぜリモートワークは普及したのか
多くの企業で導入されるようになったリモートワーク。普及した背景には、大きく分けて次の3つが影響しています。
- 新型コロナウイルスの影響
- 多様な働き方の促進
- 子供が3歳になるまでの在宅勤務推奨
それぞれ詳しく解説します。
新型コロナウイルスの影響が大きい
2020年より流行が始まった新型コロナウイルスの影響により、リモートワークは一気に普及しました。感染症対策として人との接触を避ける生活を強いられ、そのなかでも事業を継続するためにリモートワークを導入する企業が増えたのです。
新型コロナウイルスが働き改革の推進にいかに影響を与えたか把握するため、KOKUYOは2021年10月に調査を実施しました。その調査のなかで「あなたの勤務先で、コロナ感染拡大前と現在で、働き方改革の推進スピードや積極性に違いを感じますか?」と質問したところ「以前は感じなかったが、現在は積極的に推進」「以前から推進されていたが、現在はより積極的」「変化はなく推進」と答えた人の合計は、約7割にのぼりました。感染症対策をきっかけに、新しい働き方を真剣に模索する企業が増えているようです。
参考:KOKUYO「働き方の変化と2030年のワークスタイル予測」
多様な働き方を定着させるため
「働き方改革」が叫ばれて久しい昨今、従業員の多様な働き方を実現するために、企業に対してさまざまな取り組みが求められています。しかし、これまでは「フレックスタイム制の導入」や「有給休暇取得の促進」など、福利厚生を充実させるだけの企業がほとんどでした。フレックスタイム制を導入しても、オフィスに出社して業務をするスタイルには変化がなかったのが現状です。
ただ新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけにリモートワークを導入し、それ以降もリモートワークを継続する企業が増えました。リモートワークは家事や育児との両立など、従業員のワークライフバランス実現にもつながるためです。感染症対策だけでなく、多様な働き方を定着させるためにも、リモートワークの導入は欠かせないといえます。
子供が3歳になるまで在宅勤務が推奨されているため
厚生労働省では、3歳までの子供がいる従業員がオンラインで在宅勤務できる仕組みの導入を企業へ求めています。育児休業後に職場復帰した際も柔軟に働ける環境を整え、希望する数の子供を持てるようにするのが目的です。
日本は、特に男性の家事や子育てへの関与が薄いといわれています。経済協力開発機構によると、日本の男性が家事や育児、介護などの「無償労働」に費やす時間は、週平均で1日あたり41分。これはアメリカやノルウェーの4分の1、フランスの3分の1です。女性だけでなく男性にもリモートワークが普及すれば、無償労働時間の男女格差是正につながると期待されています。
また国土交通省の調査によると、リモートワークが認められていない人のうち、実施したいと回答した人は67%に達しています。企業が制度を整えれば、リモートワークはさらに広がるでしょう。
リモートワークは今後どうなる?
新型コロナウイルスの影響により急速に広がったリモートワークですが、今後はどうなっていくのでしょうか。
働き方の未来2035の見解
2016年8月、厚生労働省は「働き方の未来2035」という報告書を公開しました。2035年に社会がどのようになっていて、働き方や制度がどう変化しているのかを考察した報告書です。
「働き方の未来2035」によると、デジタル技術が進化したことで、離れた場所でもリアルタイムにミュニケーションを取りながら業務を進められるようになっていくとされています。これまでは同じ場所に集まらなければコミュニケーションに時差が出ていましたが、オフィスにいるのと変わらない環境でコミュニケーションが取れるようになるという考察です。
また、これまでは同じ場所、同じ時間で仕事をしていたため、時間での評価が軸でした。しかし今後は場所と時間に縛られない働き方へと変化し、時間ではなく成果による評価が重要視されるという見解が示されています。
さらに正社員や非正規といった枠組みがなくなり、労働者がさまざまな企業を行き来しながらプロジェクトを担う働き方が生まれるのではないかと考えられています。企業が多くの人を抱え込むのではなく、労働者を複数の企業が共有する形です。
このような自由な働き方が増えると、労働者が企業を行き来しやすいような環境整備や、能力や成果による評価、そしてその情報を共有できる仕組みが必要です。既にこのような取り組みを進めている企業も出てきているため、「働き方の未来2035」の考察通りの形になりつつあるといえるでしょう。
参考:厚生労働省「働き方の未来2035(chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000476534.pdf)」
右肩上がりで実施率は上がる可能性がある
新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着いてきたため、リモートワークを実施する企業は減ってきています。しかし国として柔軟で多様な働き方を推奨していることもあり、今後リモートワーク実施率は右肩上がりになる可能性はあるでしょう。
感染症対策としてだけでなく、効率面やコスト面から考えてもリモートワークが有効だとする経営者も増えています。今後は時間や場所に捉われない自由な働き方が増えると予想されているため、優秀な人材を確保する意味でもリモートワークの導入は重要な要素です。変化する時代に対応していこうとする企業は、積極的にリモートワークを導入していくと考えられるでしょう。
リモートワークの課題に関して
リモートワークが普及する一方で、課題も浮き彫りになっています。言及されているリモートワークの課題は、次の3つです。
コミュニケーション不足に陥る可能性がある
リモートワークの最大の課題とされているのが、コミュニケーション不足です。同じ空間にいれば自然発生的にコミュニケーションが生まれます。しかしリモートワークでは基本的にひとりの空間で業務を進めるため、コミュニケーションの機会が減ってしまいます。チャットツールなどを利用しても、相手の様子や表情が確認できないため、業務に関係のない会話がはばかられるかもしれません。
コミュニケーション不足が常態化すると、重要な連絡すら漏れてしまう可能性があります。それだけでなく、孤独を感じてメンタルに影響を及ぼすリスクも高まるでしょう。かといって、チャットツールでの雑談を増やすのも集中力が途切れる原因となり、生産性が落ちるかもしれません。適切なコミュニケーションをいかに確保するかが、リモートワーク最大の課題です。
誘惑に負けてサボる恐れがある
リモートワークでは、同じ空間で業務を監視する人がいません。自宅で業務を進めるとプライベートな空間と切り離すのが難しくなり、誘惑に負けてサボる恐れがあります。
株式会社ビズヒッツが2020年に実施したアンケートによると「リモートワーク中にサボったことがあるか」との質問に対して「頻繁にある」が13.9%、「たまにある」が49.4%、合わせて63.3%という結果になっています。テレビやスマートフォンが近くにある環境で、自分を律することができず、ついサボってしまう人が多いようです。
働き方を変えても従来と同様の時間による評価が軸のままでは、短い時間のなかで成果を上げている従業員との間に不公平感が出ます。単にリモートワークを導入するだけでなく、リモートワークに合わせた評価制度を整えなければなりません。
勤怠管理が難しくなる
オフィスに出社すれば姿を確認できますが、リモートワークでは本当に出勤しているかの確認が難しくなります。勤怠管理のツールで「出勤」ボタンを押しても、本当に業務しているかはわかりません。また休憩時間も管理しづらくなり、人によっては多く休憩している可能性もあります。
サボる人がいる一方で、なかには働きすぎるケースもあるでしょう。始業前や終業後にも仕事をしていたり休憩を取らなかったりして、結果的に長時間労働につながるかもしれません。従業員の勤怠管理を適切におこなうためのツールを導入するなどして、サボりだけでなく長時間労働にも配慮したマネジメントが必要です。
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まとめ
新型コロナウイルスの感染対策として一気に広がったリモートワークですが、現在は実施率が低下傾向にあります。しかし、働き方改革の一環としてリモートワークの導入は重要な要素です。時間や場所に捉われない自由な働き方は、企業の人材確保にもつながります。
リモートワークにはコミュニケーション不足や従業員のモチベーション、勤怠管理など、さまざまな課題があるのも事実です。しかしIT技術の進歩により、オフィスと同じ環境で仕事ができる環境整備が進められています。今後、リモートワークの課題やデメリットが解消できるさまざまなツールが出てくるでしょう。